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November 08, 21
スライド概要
講演アーカイブ:
https://www.youtube.com/watch?v=pGFx16BK24E&list=PLr_Cbd4sUDTyMGAtfqRojwzFxkVXuU-_L&index=7
講演内容:
アニメーションの企画制作会社Noovo Inc.にて制作した短編アニメーション「青い羽みつけた!」では手描きアニメーションにおけるUE4を活用した新たな取り組みを行った。それは背景を全てUE4で制作する、というものであった。日本のアニメーション業界の課題の1つは背景クリエイターの不足にあり、その課題解決の取り組みの1つとして、UE4を活用した背景制作を行ったのでその事例紹介を行う。
講演者:
宇田 英男(株式会社ノーヴォ 代表取締役 )
千野 勝平 (フリーランス UE4アーティスト)
UNREAL FEST EXTREME 2021 WINTER公式サイト:
https://unrealengine.jp/unrealfest/extreme2021winter/
#uefest
Unreal Engineを開発・提供しているエピック ゲームズ ジャパンによる公式アカウントです。 勉強会や配信などで行った講演資料を公開しています。 公式サイトはこちら https://www.unrealengine.com/ja/
短編アニメーション「青い羽見つけた!」 におけるUE4の活用事例について
登壇者自己紹介 宇田英男 プロデューサー 千野勝平 UE4アーティスト
企画の実現経緯(絵本からアニメへ)
作品の企画コンセプト 普遍的な物語 ☓ 最新のデジタル技術 クリエイターの「作りたい」というモチベーションをデジタル最近技術で 実現する、というのがこの企画のチャレンジポイント
EPIC MEGA GRANTSに採択
アニメ業界の課題 アニメ業界全体の市場規模は2019年で約2.5兆円と10年で2倍伸長する成 長産業。ただし、アニメ制作市場の市場規模は2020年で約2,500億とアニメ 産業全体の1/10しかなく、またアニメ制作市場だけみると2020年は減少傾 向にある。一因としてはアニメ制作会社の経営環境の悪化(アニメ制作会 社は約4割が赤字)やクリエイター不足にあると考えている。市場全体が伸 びているのに、制作市場が衰退しているという状況がアニメ業界の課題の 1つ。
テクノロジーでクリエイターが出来ることを増やす ことでアニメ業界における課題解決の1つの事例と したいと考えてます。 今回のプロジェクトではCGクリエイターがUE4を 活用する事で背景制作も行える事を目指しました。 アニメ業界のクリエイター不足という課題解決の 1つのきっかけになる事を考えています。
短編アニメーション「青い羽見つけた!」 UE4の実作業について
■経歴 2015年に3DCGアニメ会社に就職 2019年より3DCGのゼネラリストとしてフリーランスでの活動を開始 ■業務内容 2Dルックのアニメの制作 モデリング~コンポジット、3D業務全般 ■使用ソフト 3Dソフト ・maya・zbrush・marvelous Designer・UnrealEngine その他ソフト ・Photoshop・AfterEffects
今回のプロジェクトでは背景に使用 イメージボードを参考にルックを作成
使用ソフト photoshop アセットの質感 unrealEngine シーンの構築 ルックの作成 レンダリング maya カメラアニメーション aftterEffects コンポジット ↑最終的なルック
・Megascans(メガスキャンズ)の活用 ・UnrealEngine上での表現上での工夫、実作業風景 ・レンダリング~afterEffectsでの素材処理 ・今後の利用について
Megascansとは スウェーデンのQuixel社が提供する、実物のスキャンデータのアセットライブラリ unrealEngineを用いた制作であれば、アセットの使用制限はありません
実際に使用したモデル メガスキャンズのアセット 最終的なアセット
photoshopでの処理 ベースのイメージに対して、 カットアウトでデティールを落とした素材を70% 水彩のムラのある画像を、レベルで異なる絞り方をした素材を 2枚用意※1 ベースイメージから輪郭検出をしたものを90% これらをそれぞれ重ねています。 ↑※水彩ムラの素材をレベルで絞った画像 → ↑ベースイメージ ↑photoshopで修正後のイメージ
鳥が乗れるようにモデルを変形後、 テクスチャを張り替えてルックを確認
unrealEngineの使用 アセットをシーンに配置
①フォーカス設定 カメラの詳細タブから フォーカス設定 →フォーカスメゾット を、disableにします ↓ →
②モーションブラーの無効化 カメラの詳細タブからポストプロセス→rendering Features→MotonBlur の数量にチェックを入れ0に数値を設定 ③露出補正の無効化 カメラの詳細タブからポストプロセス→ Lens→exposureの 側光モードにチェックを入れ、Manualに 露出補正にチェックを入れ、 数字は任意の数字に
④ニアクリップの設定 プロジェクトの設定から、基本設定→設定→平面近傍のクリップ 数値を設定
レイアウト作業 1つのシーン内で、カットの行き来をしながら、 最終ルックに近い状態で、リアルタイムにカメラを修正
マテリアルの設定 イメージボードや絵本のルックを見ると、物体のふちが白く抜けた表現をしています。 こちらはフレネルで表現。 他のライティングの影響を受けず、基本色+フレネルのマテリアルを作成
実際のノード ①他のライティングの影響を受けないように、 Metallic、スペキュラ、ラフネスの影響を切る ②その代わりに、マテリアルが直接発光する、 エミッシブカラーを使用 ベースイメージを用意 ③フレネルが白い色になるようにMultiplyに接続 フレネル部分の幅を数値を編集できるように組み、 最終的にベースカラーと合わせて、ルックを表現
レンダリング レンダリングにはムービーレンダキューを使用 レンダリング設定のプリセットを作り、 全てのカットをレンダリング
レンダリング設定 出力設定で保存パス、名前などを設定 レンダリング後の画像でジャギーが気になる場合は、 解像度を上げて対応 左のレンダリングタブに項目を追加していくことで、 レンダーパスを設定 ↓zDepth等は、ディファードレンダリング内の 設定で追加が可能
レンダーパス コンポジットに使用した素材一覧 bookは、レイヤーを使用したレンダリングで対応 基本色 zDepth オブジェクトID ノーマル ライティングのみ
afterEffectsの利用 zdepthを利用した木の本数の調整 zdepthの画像をレベル補正で絞り、アルファでBGを抜くことで、カットによる 木の過不足を調節 zDepth→ コンポジット済BG→ 森の奥の平面画像→
今後の利用 ・キャラも合わせて、unrealEngineでアニメを表現 ・unrealEngine上で、コンポジットまで完結 ・アニメ業界におけるUE4クリエイターの拡大