多変量解析によるスマートフォン向けリズムゲームの分析

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October 04, 23

スライド概要

デザイン企画論B(2年後期)にてスマートフォン向けリズムゲームについて多変量解析を用いて分析したレポート。

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和歌山大学システム工学部システム工学科メディアデザインメジャー3回生(25卒)です。 ゲームやWebアプリの開発、各種デザインを行っております。

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多変量解析による スマートフォン向け リズムゲームの分析 デザイン企画論B 最終課題 所属:和歌山大学システム工学部システム工学科 メディアデザインメジャー 学生番号:60266047 氏名:大倉千波 提出日:2023年1月30日

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02 本分析の背景と目的 App StoreやGoogle Playといったスマートフォン向けアプリのダウンロードサービスでは、日々新 たなリズムゲームが投稿され、多くの若者がプレイしている。PR TIMESの2021年10月14日の記事 (※1)によると、25歳~40歳あたりを指すZ世代の60.5%が「好きなゲームジャンルは音ゲー」と答 え、Z世代の一番好きなゲームは音ゲー、すなわちリズムゲームが圧倒的に1位だったという。しか し、このリズムゲーム内でも人気には格差があり、人気上位のアプリと下位のアプリの間ではプレイ ヤー人口や認知度に大きな差があると考えられる。 そこで、本分析では、スマートフォン向けリズムゲームアプリの人気や評価に影響するものが何か をより詳しく分析するため、多変量解析を用いて分析を行った。 (※1)株式会社テラーノベル, "Z世代が一番好きなゲームは音ゲーが圧倒的1位。55.4%がゲームでの オンラインの交流がきっかけで友達ができたと回答。|株式会社テラーノベルのプレスリリース", PR TIMES, 2021/10/14, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000023974.html (2023年1月30日閲覧) 使用したデータについて スマートフォン向けリズムゲームのサンプルとしては、「【人気投票 1~42位】音ゲー(音楽ゲー ム)アプリランキング!みんなのおすすめリズムゲームは? | みんなのランキング」 (https://ranking.net/rankings/best-rhythm-game-apps)に掲載されているリズムゲームから上位 30個までのアプリを抽出し、分析に利用した。ただし、2023年1月30日時点においてサービスが完全 に終了しているアプリについては除外した。 実際に評価に使用したカテゴリとアイテムは以下のようになっている(表1)。 表1 アイテムとカテゴリー 元ネタ 値段 形式 曲 クリア判定 ノーツ ユーザ評価 あり 無料無課金 上下平面 既存のみ 体力ゲージ タップのみ 5位まで なし 無料課金 円・半円 オリジナル 75% 精度 ロング有 10位まで その他 全方向 オリジナル 50% その他 フリック有 15位まで 上下奥行き オリジナル 25% オリジナル 有 20位まで オリジナル のみ 25位まで 30位まで 35位まで 分析の目的と使用データ

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03 また、分析に使用したサンプルのアプリは以下の30個である。アプリ名は略称を使用している。 プロセカ Arcaea Phigros バンドリ あんスタ DEEMO D4DJ Cytus Ⅱ VOEZ デレステ Lanota スクフェス 東方鍵盤 Dynamix ツイステ グルコス2 ChainBeeT TAKUMI³ ユニエア Tone Sphere Orzmic RAVON ときアイ FNF Beatstar DEEMO Re NOISZ Melody Space Run 乃木坂 これらのカテゴリ、アイテム、サンプルデータから作成した星取表は以下のようになった(表2)。 表2 サンプルとカテゴリ・アイテムの星取表 使用データ

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04 数量化第3類による分析 まず、数量化第3類を用いてカテゴリスコアとサンプルスコアについて分析し、散布図を作成した ところ、以下の図のようになった。(図1、図2) オリジナル要素が多い 難 易 度 が 低 い 難 易 度 が 高 い オリジナル要素が少ない 図1 カテゴリスコアの散布図 オリジナル要素が多い 難 易 度 が 高 い 難 易 度 が 低 い オリジナル要素が少ない 図2 サンプルスコアの散布図 数量化第3類

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05 カテゴリスコアの軸の解釈としては、第一軸において左側に「オリジナルノーツ」「体力ゲージ」 「フリックあり」、右側に「タップのみ」「上下平面」などが見られたため、難易度が高いか低いか を示す軸であると解釈した。第2軸については上側に「オリジナル曲75%」「元キャラなし」、下側 に「既存曲のみ」「元キャラあり」などが見られたことから、オリジナル要素が多いか少ないかを示 していると解釈した。 クラスター分析 さらに、クラスター分析を行ったところ、次の図のようになった。(図3) クラスター1 クラスター2 クラスター3 クラスター4 図3 クラスター分析の結果 クラスター分析においては郡平均法の結果を採用し、4つのクラスターに分類した。 数量化第3類とクラスター分析

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06 クラスター分析の結果を数量化第3類で求めたサンプルスコアの散布図に重ねると、以下のように なった。(図4) 図4 クラスター分析と数量化第3類の結果 まとめ 以上の分析結果より、今回使用したサンプルは以下のように分類することが出来る。 ① クラスター1:オリジナル要素が少なく難易度が高めの低人気グループ ② クラスター2:オリジナル要素が少なく難易度も低い、人気に格差のあるグループ ③ クラスター3:オリジナル要素も難易度も平均的な人気が高めのグループ ④ クラスター4:難易度が平均的でオリジナル要素が多い、高人気グループ 数量化第3類とクラスター分析のまとめ

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07 考察 今回の分析結果では、クラスターはまとまりごとに分類できているものの、カテゴリスコアにばら つきがあり解釈しづらく、また今回の解釈では実際のアプリの評価とは一致していない部分が多い。 この理由については、カテゴリに関してストーリーのオリジナル性やアプリのUIなど考慮できていな い部分が多くあるため、それらのような要因が今回の結果につながったと考えられる。しかし、結果 としてオリジナル性の差や難易度の差が見られたことから、難易度やアプリのオリジナル性もアプリ 評価に影響要因の一つである可能性はあると考えられる。 考察