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September 28, 13
スライド概要
第18回 関東甲信越核医学画像処理研究会 (SKIP会)
診療放射線技師です.
治療効果判定 モニタリングの現状 大阪市立大学医学部附属病院 片山 豊
Contents • • • • 施設紹介 治療効果判定の基準 PERCISTの判定基準 PERCISTの手技
Contents • • • • 施設紹介 治療効果判定の基準 PERCISTの判定基準 PERCISTの手技
大阪市内にある唯一の大学病院 N 青空カラオケ 通天閣 公園&動物園 新世界 地下鉄 御堂筋&谷町線 阪神高速 松原線 JR 天王寺駅 あべのハルカス & 近鉄阿部野橋駅 市大病院 再開発 マンション群 飛田新地 撮影: 大阪市立大学医学部附属病院 阪堺電車 髙尾 由範 先生
大阪市内にある唯一の大学病院 あべのハルカス N 青空カラオケ 通天閣 公園&動物園 新世界 大阪市立大学 医学部附属病院 地下鉄 御堂筋&谷町線 阪神高速 松原線 JR 天王寺駅 あべのハルカス & 近鉄阿部野橋駅 市大病院 再開発 マンション群 飛田新地 阪堺電車
大阪市立大学医学部附属病院 概要 診療科 総合診療センター 整形外科 乳腺・内分泌外科 循環器内科 リハビリテーション科 肝胆膵外科 呼吸器内科 泌尿器科 心臓血管外科 膠原病内科 女性診療科 呼吸器外科 生活習慣病・糖尿病センター 眼科 小児外科 腎臓内科 耳鼻いんこう科 脳神経外科 内分泌・骨・リウマチ内科 皮膚科 麻酔科・ペインクリニック科 消化器内科 放射線科 形成外科 肝胆膵内科 放射線治療科 血液内科・造血細胞移植科 小児科・新生児科 核医学科 老年内科 神経精神科 消化器外科 神経内科 地下3階,地上18階 病床数: 1000床,診療科: 33科 外来患者数: 3000人/日
核医学検査室 医師 2〜5名 看護師 1名 薬剤師 1名 サイクロトロンオペレータ 1名 診療放射線技師 4〜5名 Single Photon Positron 2010年度 3537件 1672件 2011年度 4087件 1795件 2012年度 3751件 1538件
撮像装置: PET 島津 Eminence B SIEMENS Biograph 16 PET PET/CT 2検出器型 3検出器型 SPECT/CT 1台 1台 2台 1台 1台 サイクロトロン JFE オスカーⅢ
撮像装置: ガンマカメラ ADAC FORTE PET PET/CT 2検出器型 3検出器型 SPECT/CT 1台 1台 2台 1台 1台 ADAC VERTEX-PLUS Phillips Bright View X 東芝 GCA-9300A
読影環境 • 病院PACS – GE Healthcare Centricity RA1000 × 3式 • 部門内Server – J-Mac System XTREK × 6式 – 富士フイルム SYNAPSE VINCENT × 2式
Contents • • • • 施設紹介 治療効果判定の基準 PERCISTの判定基準 PERCISTの手技
治療効果判定の基準 1970年 代後期 1994年 国際対癌連合 (UICC) および世界保健機関 (WHO) が 腫瘍縮小効果の評価体系として明確な規準を提唱 腫瘍病変を一次元的に測定することで 奏効率が得られる1つのモデルを開発 Response Evaluation Criteria in Solid Tumors Group により大規模な検証が行われ新ガイドラインに統合 2000年 日本臨床腫瘍研究グループ (JCOG) は 固形がんの治療効果判定のためRECISTを提唱
病変の評価 高 低 治療効果判定 完全奏効 complete response: CR すべての病変の消失 部分奏効 partial response: PR 治療前 (ベースライン) と比較して 病変が基準値以上縮小 安定 stable disease: SD PRとするには腫瘍の縮小が不十分 PDとするには腫瘍の増大が不十分 進行 progressive disease: PD 治療開始以降に記録された病変が 基準値以上増大 評価不能 Not Evaluable: NE なんらかの理由で検査が行えない 何れの基準とも判定できない
RECIST • • • • • • 世界的に治療効果判定にはRECISTが一般的 日本の癌取り扱い規約にも反映 治療効果判定の標準化を念頭に定められた 全ての施設において利用できる 腫瘍サイズの変化を用いて治療効果評価 2009年1月にRECIST 1.1 が制定
RECIST 1.1 の判定基準 治療効果判定 完全奏効 complete response: CR すべての標的病変の消失 リンパ節病変は10mm未満に縮小 部分奏効 partial response: PR 標的病変の径和が30%以上減少 安定 stable disease: SD PR,PDでない 進行 progressive disease: PD 標的病変の径和が20%以上増加 標的病変の径和が5mm以上増加 *径和: 非リンパ節標的病変の長径,リンパ節標的病変の短径,すべての標的病変の径の和 *RECIST 1.1: 対象とする病変数 合計 5 (臓器ごとに最大2)
臨床腫瘍学的解釈 • 腫瘍における18F-FDG集積 – 同一患者: 腫瘍増殖能よりも生存腫瘍細胞数や 細胞密度と相関が強い – 異なる患者: 悪性度と関連がある • 腫瘍に対する治療効果 がん細胞死 壊死 代謝停止 貪食 集積低下 吸収・排除 細胞自己融解 腫瘍体積の縮小 • 形態よりも先に血流・代謝に変化が起こる – がんの治療効果判定にPET/CTが用いられている
From “morphology” to “metabolic” • ベースライン時のPETにおける集積度合いを 治療後と比較することで行われる • 1999年,European Organization for Research and Treatment of Cancer (EORTC) によりPETを 用いた治療効果判定が初めて提案 • RECIST 1.1では,「新規病変」に関してのみ PETによる治療効果判定が部分的に導入
EORTCの判定基準 治療効果判定 完全奏効 complete metabolic response: CMR すべての代謝活性腫瘍の消失 部分奏効 partial metabolic response: PMR 化学療法1サイクル後に15%以上の集積低減 治療終了後に25%以上の集積低減 安定 stable metabolic disease: SMD 25%以下の集積増強 15%以下の集積減弱 集積域の拡大が見られない 進行 progressive metabolic disease: PMD 25%以上の集積増強 集積域の拡大が見られる 新規病変の出現
治療による変化と評価 外科的手術 化学療法 放射線治療 期間 6週間以降 4~6週間以降 3ヶ月以降 特異的集積 手術による炎症 性変化 治療直後の一過 性集積減弱,フレ ア現象,治療に 随伴した炎症反 応などが関与 照射後壊死の吸 収,繊維芽細胞 の増殖,血管炎 のための非特異 的集積 * 治療効果判定にPETを用いるのであれば上記期間以上間隔を開けることが望ましい
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PERCISTとは • PET Response Criteria in Solid Tumors Richard L. Wahl, et al. : From RECIST to PERCIST: Evolving Considerations for PET Response Criteria in Solid Tumors, J Nucl Med. 2009;50(1):122S–150S.
PERCISTの日本語文献 殆どありません http://www.lisit.jp https://sites.google.com/site/texelcraft/
PERCISTの判定基準 治療効果判定 完全奏効 complete metabolic response: CMR すべての代謝活性腫瘍の消失 血液プールレベルまでの集積低減 部分奏効 partial metabolic response: PMR 30%以上及び0.8 SUL 単位のSULpeakの集積低減 FDG取込の範囲の減少はPMRの要件ではない 安定 stable metabolic disease: SMD PMR,PMDでない 進行 progressive metabolic disease: PMD 30%以上及び0.8 unitのSULpeakの集積増強 新規病変の出現 *PERCIST 1.0: 対象とする病変数 合計 5 (臓器ごとに最大2)
治療効果の判定基準 WHO RECIST 1.0 RECIST 1.1 EORTC PERCIST 1.0 全ての標的病 全ての標的病 全ての標的病 全ての代謝活 全ての代謝活 完全寛解 変の消失 変の消失 変の消失 性腫瘍の完全 性腫瘍の完全 Complete 消失 リンパ節病変 消失 Response: CR は10mm未満 SUV SULpeak サイズ サイズ サイズ 部分寛解 50%減少 30%減少 30%減少 1cyc.15%減少 30%減少 Partial 2cyc.25%減少 0.8 unit 減少 Response: PR PR,PDでない PR,PDでない PR,PDでない PMR,PMDで PMR,PMDで 安定 ない ない Stable Disease: SD SUV SULpeak サイズ サイズ サイズ 進行 20%増加 20%増加 25%以上増加 30%増加 Progressive 25%増加 5mm増加 新規病変出現 0.8 unit 増加 Disease: PD 新規病変出現
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PERCIST で推奨されている試み • SUVの補正に体重を用いたSUVbw (SUV) では なく除脂肪体重を用いたSUVlbm (SUL) を推奨 • 関心領域の値を最大値や平均値ではなく ピーク値を用いることを推奨 • 基準となるSUL値を設定し病変の閾値を定義
SUV (standardized uptake value) T: 関心領域中の組織1mlあたりの集積放射能量 D: 体重1gあたりの投与放射の量 • SUVとは18F-FDGの取込を投与量と体重で補 正した指標である • 比重を1.0g/mlと仮定しうると無単位指標と なり,全身に均等分布し排泄がない場合に SUV=1.00となる
SUVの変動要因 • • • • • • • • 体格 血糖値 撮像までの時間 呼吸性移動 PET装置の精度 画像再構成法の違い SUVの計算方法 関心領域の値
SUVの変動要因 • • • • • • • • 体格 血糖値 撮像までの時間 呼吸性移動 PET装置の精度 画像再構成法の違い SUVの計算方法 関心領域の値
体格が及ぼす影響への取組
SUV の問題点 • SUVの定義 ”全身に均等分布した場合SUV=1.00となる” – FDGの脂肪や筋肉への集積は乏しく体内分布は 不均一となる – 脂肪の多い症例では,FDGが分布する容積が過 大評価され,SUVは過大評価される BMIの大きい症例: SUVが過大評価 BMIの小さい症例: SUVが過小評価
体重とSUVの相関 除脂肪体重により補正 SUL SUV 体重により補正 Sugawara Y, Zasadny KR, Neuhoff AW, Wahl RL. Reevaluation of the standardized uptake value for FDG: variations with body weight and methods for correction. Radiology 1999;213:521–525.
SUL 一般的なSUV SUV = 組織放射能[MBq/g] FDG投与量[MBq]/体重[g] 除脂肪体重で補正したSUV 組織放射能[MBq/g] SUL = FDG投与量[MBq]/除脂肪体重[g]
除脂肪体重 女性の除脂肪体重 1.07 × 体重[kg] – 148 × (体重 [kg] / 身長 [cm])2 男性の除脂肪体重 1.10 × 体重[kg] – 120 × (体重 [kg] / 身長 [cm])2
新しい関心領域の値
関心領域の値 Richard L. Wahl, et al. From RECIST to PERCIST: Evolving Considerations for PET Response Criteria in Solid Tumors, J Nucl Med. 2009;50(1):122S–150S.
関心領域の値 • SUVを診断に使用する際,関心領域の 最大値や平均値を使用するのが一般的 方法 問題点 最大値 収集マトリックス,再構成条件,測定部位により統計的な ばらつきが大きくなる 平均値 関心領域の大きさにより比較的小さな領域の高集積の感度低下 ピーク値 関心領域内の統計的なばらつきが抑制され,収集・処理条件に伴う ノイズの影響を低減 ピーク値とは 関心領域内で1cm3の球を動かしてその平均の最大値で評価する 病変関心領域のVOI自身の体積が1cm3未満の場合は, 病変VOIの平均値をピーク値とする (SULに限定されない指標)
最大値とピーク値の比較 最大値 ピーク値 Martin A. Lodge, Muhammad A. Chaudhry, and Richard L. Wahl Noise Considerations for PET Quantification Using Maximum and Peak Standardized Uptake Value J Nucl Med. 2012;53(7):1041-7.
PERCISTの具体的な手技
単一の時相での解析 肝臓は健康か? yes 肝臓の右葉に直径3cmの 球状参照VOIを配置する no 下行大動脈に1cm×2cm以上の 円筒状参照VOIを配置する 病変にVOIを 設定する PERCISTの 閾値を計算する ピーク値 > 閾値 が成立しているか? Liver: 1.5×mean + 2SD以上 Aorta: 2.0×mean + 2SD以上 yes PERCIST報告が 可能な病変 no PERCIST報告が 不可能な病変 他に懸念の 病変はあるか? no 報告可能な病変の ピーク値を記録する yes
閾値 Richard L. Wahl, et al. From RECIST to PERCIST: Evolving Considerations for PET Response Criteria in Solid Tumors, J Nucl Med. 2009;50(1):122S–150S.
複数の時相での解析 参照VOI SULの変動は20%以下 SULの変動は0.3以下 yes 時点の間の最大ピーク値の パーセント変化を算出する no PERCIST非適合 全ての病変が バックグラウンドレベルに消失 yes CMR no ピーク値が30% (SULが0.8) 以上減少 yes 対象外病変の30%以下の増加 PMR no ピーク値が30% (SULが0.8) 以上増加 yes 腫瘍取込範囲の増加 新規病変の発生 no SMD PMD
PERCIST GE VCAR
SIEMENS syngo.via
PERCISTを導入するには?
PERCISTが可能なソフトウェア • • • • • • 装置付属のWS SIEMENS: syngo.via 処理が半自動化 GE Healthcare: PET VCAR (株)LISIT取り扱い ORS: ORS Visual ソフトウェア Mint medical: mint Lesion 富士フイルム: SYNAPSE VINCENT (Option) J-Mac System: XTREK (Option/開発中)
PERCISTの長所 • 効果的な治療においても腫瘍径が最小限度しか 変化しない腫瘍の治療効果判定には代謝的な 定量解析が有効 – リンパ腫,肉腫,肝癌,中皮腫,消化管間質腫瘍など • 手技が簡単 – VOIの設置 – ピーク値の計測 – SULの計算 • 繰り返し治療効果判定が行える – SULpeakの増減割合の評価
PERCISTの問題点 • 同一の装置で撮像する必要がある – SUV算出に必要な係数は装置メーカーにより異なり 単独の絶対値として使用するには注意を要する – 参照VOIの値で画像を標準化していない • ソフトによって仕様が異なっている – 参照VOIの値が定義されていない – 解析を自動化してしまうと根拠が見えにくいが VOIの設置などは自動化するべきだと考える – RECISTでも推奨していない体積計算を行っているた め誤差が大きくなる • 保険適用をどの様に考えるか
FDG-PET/CT検査の保険適用 (2012年4月改訂) 疾患 保険適用要件 てんかん 難治性部分てんかんで外科切除が必要とさ れる患者に用いる 虚血性心疾患における 心筋バイアビリティ診断 * 虚血性心疾患による心不全患者における 心筋組織のバイアビリティ診断** 心サルコイドーシス * 心サルコイドーシスにおける炎症部位の診 断が必要とされる患者に使用する 悪性腫瘍 早期胃癌を除き,悪性リンパ腫を含む 病期診断,転移・再発の診断が確定できな い患者に使用する** *心疾患は PET 検査のみに適用が認められている PET/CT 装置で心疾患の検査を実施した場合でも,診療報酬はPET検査として算定する **他の検査で診断のつかない場合に限る
Contents • • • • 施設紹介 治療効果判定の基準 PERCISTの判定基準 PERCISTの手技
参考文献 • Wahl RL, Jacene H, Kasamon Y, Lodge MA. From RECIST to PERCIST Evolving Considerations for PET Response Criteria in Solid Tumors J Nucl Med. 2009;50(1):122S–150S. • SIEMENS Expanding the Power of PET with PERCIST • M. Yanagawa et al. Evaluation of Response to Neoadjuvant Chemotherapy for Esophageal Cancer: PET Response Criteria in Solid Tumors Versus Response Evaluation Criteria in Solid Tumors J Nucl Med. 2012;53(6):872-80.