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November 24, 24
スライド概要
なぜ、今マイクロモビリティなのか?ロボットと人、共に道を走る時代を考えよう。
なぜマイクロモビリティなのか ロボットと人、共に道を走る時代を考えよう もくじ • モビリティのこれまで • なぜ今、マイクロモビリティに注目すべきなのか • 日本市場での課題 • 海外事例に学ぶ • 将来への展望 • マイクロモビリティは今後どうあるべきか? 2024 @tsubute
モビリティのこれまで 都市交通の変遷 1950年代以降、日本では高度経済成長期を背景に「車社会」が急速に進展しました。 都市構造は、高速道路網による広域移動と生活道路による域内移動という二層構造が定着しましたが、 以下の課題が生じました。 • • • • 慢性的な交通渋滞 生活道路への自動車の流入 歩行者・自転車との接触事故の増大 排気ガスなどの自動車公害 交通整備などが進み、いくつかの問題は解消されましたが、その一方で、高齢化社会の進行や環境問題の深刻化により、 依然として以下の課題が残っています。 ・高齢者にとっての移動手段の確保 ・環境負荷の増大 これらの背景より、都市交通の新たな選択肢が必要性となっています。 シェアリングエコノミーの台頭 近年、モビリティ分野ではシェアリングエコノミーの急速な普及が進み、これにより新たな都市交通の可能性も広がって います。 カーシェアリングや自転車シェアリングといった既存の移動手段が広く受け入れられている一方で、電動キックボード、 パーソナルモビリティ、小型電動車両といった新しいマイクロモビリティも登場しています。 これらの手段をうまく組み合わせて活用すると、柔軟で効率的な移動を可能にし、都市部における交通手段の選択肢が広 がると考えられます。
なぜ今、マイクロモビリティに注目すべきなのか 現代都市が抱える課題に対し、マイクロモビリティはその特長を活かし、いくつかの解決策を提供します。 1. 機動性と利便性 マイクロモビリティは、渋滞や駐車問題の影響を受けず、狭い路地でもスムーズに移動が可能です。 また、即時利用が可能な利便性も魅力で、短時間での移動を容易にします。 2. 環境性能 CO2排出量削減や騒音軽減に寄与し、都市のエネルギー効率向上や環境保全と親和性の高い移動手段です。 特に、再生可能エネルギーとの連携により、持続可能な都市づくりに貢献します。 3. 経済合理性 車両の導入・維持コストが低く、シェアリングサービスの利用で資源の有効活用が可能です。また、都市インフラ整備の 負担を軽減し、公共交通との連携で効率的な運用が期待されます。 4. 都市課題への解決策 駅やバス停からの短距離移動(ラストマイル/ファーストマイル)を補完し、高齢者や観光地での利用にも適しています。 5. 地域活性化と社会的価値 商店街や観光地での利用促進により地域経済を活性化。また、健康増進や交通弱者支援など、社会的包摂も実現します。 6. スマートシティとの連携 ロボット、AI、IoTを活用したデータ駆動型運営により、都市空間の最適化や交通効率の向上が期待されています。 これらの特長を活かし、安全性や持続可能性を確保しながら、都市課題の解決に向けた取り組みが求められています。
日本市場での課題 法規制・制度面の壁 最高時速が20キロ以下の電動キックボードについて「特定小型原動機付き自転車」という新たな区分を設けられ た。 車体は長さ190センチ以下、幅60センチ以下とし、道路運送車両法に基づく保安基準に適合するブレーキ装置やウ インカーを備える必要がある。16歳以上で運転可能とし、ヘルメットの着用は努力義務としている。 どのような法律制定するかというのも大きいが、それがどこまで守られているかという所でも、だいぶ話が変わって くる。 例えばループ利用者の運転マナーも、本来は利用者の問題だと思うが、しっかり守られてないので、免許制に近い状 態にしたほうがよいのではないかという意見もあれば、ループが悪いという意見もある。 インフラ整備の課題 日本特有の狭い道路空間では、歩行者・自転車・車両を適切に分離することが困難である。加えて、駐輪スペースの 確保や雨天・積雪時の運用にも課題がある。特に、既存の放置自転車問題と類似した事態が懸念されており、専用ス ペースの整備や管理が求められる。 社会受容性の課題 日本では安全意識が高く、事故リスクへの不安が普及の障壁となっている。 利用者教育の徹底や、シェアリング文化の醸成、地域住民の理解促進が重要である。 また、既存の交通事業者との調整や共存のための取り組みも不可欠である。 事業性の確保 マイクロモビリティ事業においては、車両やシステムの開発といった初期投資や、メンテナンスや車両再配置にかか る運営コストの最適化が課題である。さらに、季節や時間帯による需要の変動に対応する柔軟な運用も求められる。 これらを踏まえた持続可能な事業モデルの確立が重要である。
海外事例に学ぶ 成功事例 パリでは、段階的な導入と明確なルール設定により、マイクロモビリティが都市交通の重要な一部と して定着しています。特筆すべきは、専用レーンの整備と駐車スポットの戦略的配置です。これによ り、放置問題を最小限に抑えながら、利用率を着実に向上させています。 失敗から学ぶ教訓 一方、サンフランシスコやロンドンでの初期の失敗は、重要な教訓を提供しています。 過剰な車両投入による街の景観悪化や、不十分な利用者教育による事故の増加は、段階的な展開の重 要性を示唆しています。特にBirdやLyftの撤退事例からは、持続可能な収益モデルの構築が不可欠で あることが分かります。 日本への示唆 これらの事例から、以下の3点が日本にとって重要と考えられます。 ・新たなルールと専用インフラの整備 安全で効率的な運用を支えるための法規制やインフラの整備が必要です。 ・地域との対話を通じた段階的な展開 一方、近年ではSNSなどを通じて偏った情報や印象が広がりやすく、新しいモビリティ 地域住民や自治体との対話を重ね、受け入れられやすい形で段階的に導入を進めるべきです。 の登場に対して「事故が増えている」などの否定的な見方が増幅される可能性もありま ・適切な料金設定と運営効率化による収益性の確保 す。しかし、高齢者の自動車事故の問題に対して、シェアリングエコノミーやマイクロモ 利用者に負担が少なく、事業者が持続可能な収益を得られる仕組みが不可欠です。 ビリティを活用すれば、高齢者の移動を支援しつつ、他の人々の移動や物流もより安全か 特に、パリのように官民が協力して包括的な交通戦略を立案し、それに基づいて着実に展開すること つ効率的になるはずです。 が、日本での成功の鍵となるでしょう。 新しいモビリティを適切に育てることは、その地域や国の未来を育てることにつながりま す。これは社会全体での取り組みが必要な課題です。
将来への展望 テクノロジーがもたらす進化 自動運転技術とAIの進展により、マイクロモビリティは更なる革新を遂げようとしています。自動再配置シ ステムによる運営効率の向上や、AIによる需要予測に基づく最適配置が実現されつつあります。また、IoT センサーを活用した安全管理システムにより、事故リスクの大幅な低減が期待されています。 スマートシティとの融合 次世代都市交通において、マイクロモビリティは重要な役割を担います。MaaSプラットフォームとの統合 により、シームレスな移動体験が実現。環境センサーとの連携で、天候に応じた最適な交通手段の提案も 可能になります。さらに、災害時の代替交通手段としても注目されています。 持続可能な社会の実現に向けて カーボンニュートラルへの貢献、高齢化社会での移動支援、観光分野での活用など、マイクロモビリティ の可能性は広がり続けています。官民連携による包括的な交通戦略の中で、安全で効率的、かつ環境にや さしい移動手段として、その重要性は更に高まるでしょう。 今後5年間で、技術革新と社会実装の加速により、マイクロモビリティは都市の必須インフラへと進化して いくと考えられます。
マイクロモビリティは今後どうあるべきか マイクロモビリティの理念と展望 マイクロモビリティは、「誰もが安心して使える移動手段」を基本理念とし、安全性、アクセシビリティ、サステナビリティ、 都市との調和を重視すべきです。低速走行や直感的なルールで安全性を確保し、多様な利用者が使いやすい設計や、 環境負荷の低減を追求することで持続可能な運営が可能になります。 都市部におけるモビリティの再設計 都市部では、電車や自動車に加え、小型で柔軟なモビリティを活用することで、安全で利便性の高い交通システムが構築できる と考えられます。 一部のマイクロモビリティはヘルメットなしでも安全に利用可能で、適切なルールや啓発活動により普及が進む可能性がありま す。 地方における活用と地域経済への貢献 地方でもマイクロモビリティは、観光客や住民の移動手段として地域経済の活性化に貢献します。 特定のスポットに経済活動が集中せず、広域的な地域振興を促進できる点で重要です。 まとめ マイクロモビリティは都市部・地方問わず、交通効率化と地域活性化の鍵を握る存在です。 安全性や使いやすさ、地域との調和を重視した普及が、新しい移動スタイルの構築につながります。 従来の交通インフラを再構築する事、新しいモビリティを育て知識を深めること、それは、その地域や国の未来を 育てることにつながります。 これは社会全体での取り組みが必要な課題だと考えます。 関連投稿 LUUPは何を変えたか https://note.com/tsubute/n/n140f3ef99184