.NET Frameworkから.NET 6への移行でやった細かいこと

109.7K Views

August 26, 22

スライド概要

「.NET 6 移行祭り! C# Tokyo イベント」で発表したスライドです。
https://csharp-tokyo.connpass.com/event/254206/

profile-image

会社勤めのSE・プログラマです。個人としての情報発信も行っており、このアカウントはその用途で使用します。同一ID「suusanex」でGitHub・はてな等でも発信しています。

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

.NET Framewarkから.NET 6への移行で やった細かいこと(C++/CLIもあるよ) 2022/8/26 須藤(suusanex)

2.

自己紹介  ID:suusanex( connpass・Twitter・GitHub共通)  名前:須藤圭太  サイエンスパーク株式会社という独立系ソフトウェアベンダーに所属  https://sciencepark.co.jp  4年ほど受託開発で、上流から下流まで全部を回す  ここ8年ほどは、自社製品開発も担当  Windowsアプリ開発のネタが多い  勉強会もやってます。  https://sciencepark.connpass.com

3.

.NET 6への移行  .NET Frameworkの既存コードを、.NET 6に移行しよう!  メニュー1つでコンバート、とはいかない  細かくやることが色々あったので、細かいことを紹介します  プロジェクトの置き換え編  ビルド編  発行編

4.

プロジェクトの置き換え編  プロジェクトの作り直し  プロジェクトの編集  プロジェクト設定の移植  AssemblyInfo.csに注意  C++/CLIプロジェクト

5.

プロジェクトの作り直し  C#はプロジェクトの形式が変わるので、プロジェクトファイルを作り直し  Frameworkと違って、プロジェクト=フォルダ。   フォルダ内のファイルは、全てプロジェクトに入る 新プロジェクトは、デフォルト値なら書かず、必要なものだけ書くという作り  フォルダの状態 エディタ無しでも、プロジェクトファイルを読み書きしやすい プロジェクトファイル プロジェクトに含まれるファイル 自動

6.

プロジェクトの編集  プロジェクトの編集は、従来は右クリックして「プロパティ」  その機能は今も有るが、テキストファイルとして編集する方が便利  プロジェクトをダブルクリックすると、テキストで開く テキストとプロパティ画面

7.

プロジェクト設定の移植  旧プロジェクトから、NuGetや参照などプロジェクト特有のものだけを書き写 す  記法が分からない物は、一度プロパティ画面のGUIで設定して、どのようなテ キストになったか見ると良い良い  NuGetのライブラリは、旧プロジェクトとXMLの記法が同じなので、旧プロ ジェクトをテキストエディタで開けばまとめてコピペできる  旧プロジェクトがpackages.config型の場合は、Reference型に変換しておくと良い <ItemGroup> <PackageReference Include="Microsoft.Extensions.Hosting" Version="3.1.16" /> <PackageReference Include="Microsoft.Toolkit.Mvvm" Version="7.0.2" /> <PackageReference Include="NLog.Extensions.Logging" Version="1.7.4" /> </ItemGroup>

8.

AssemblyInfo.csに注意  そのまま組み込むと、二重定義になる  .NET 6では、プロジェクトの情報から自動生成するのがデフォルト  デフォルトに合わせるなら、AssemblyInfo.csを削除すればOK  ただし、バージョンの記載を1ファイルにまとめるなどの工夫ができない  そういう工夫をする場合は、プロジェクトに次の設定を入れて自動生成を止め ると良い <PropertyGroup> <GenerateAssemblyInfo>false</GenerateAssemblyInfo> </PropertyGroup>

9.

C++/CLIプロジェクト  C++のプロジェクトは旧型のまま  一部だけ書き換えてそのまま使うこともできるが、作り直した方が確実  書き換える場合のポイント(作り直して比較したもの)   <TargetFrameworkVersion>v4.8 → <TargetFramework>net6.0  <Keyword>ManagedCProj → <Keyword>NetCoreCProj  <VCProjectVersion>16.0 → <VCProjectVersion>17.0  <CLRSupport>true → <CLRSupport>NetCore 言語仕様が変わっていないので、C#とC++の間の薄いアダプタとして使ってい るなら、プロジェクトを変更するだけで問題なく動く

10.

ビルド編  型(ライブラリ)が見つからない  名前空間が変わっている  一部はメソッドの定義自体が違う

11.

型(ライブラリ)が見つからない  型が見つからなくてコンパイルが通らない、というのが大量に出る  ライブラリ廃止か?!と慌てない  .NETのライブラリは、標準ではなくNuGetでの選択取得になったものが多い  MS Docsで適用対象が「.NET Platform Extensions」という表記になっているものは、 NuGetで取得  たいてい、型の名称そのままでNuGetに登録されている  例:Microsoft.Extensions.Hosting→ Microsoft Docs / NuGet MS Docs NuGet

12.

名前空間が変わっている  EntityFrameworkからEntityFramework Coreなど、クラスもメソッドも同じだ が名前空間が丸ごと違うというものがある  global usingを使ってまとめて定義してしまうと今後が楽かもしれない  using System.Data.Entity;  ↓ 上の行を置換で全部削除して、1つだけ次の行を追加  global using Microsoft.EntityFrameworkCore;

13.

一部はメソッドの定義自体が違う  例えばFile・DirectoryのSetAccessControlは  staticメソッドからFileInfo,DirectoryInfoのメソッドに  File.SetAccessControl(path, sec)  ↓  var fi = new FileInfo(path); fi.SetAccessControl(sec);  こうしたものは、1つずつ手で書き換えるしかない  ほとんど無かったので、かなり例外的なケースだと思う

14.

発行編  デスクトップアプリもビルドから発行へ  発行のコマンドライン実行  言語用のアセンブリ

15.

デスクトップアプリもビルドから発行へ  ビルドではなく発行を使う  確実に動くように依存モジュールなどをまとめてくれる  対象環境の指定、1ファイルにまとめるかなどの設定も可能  単独のプロセスとして起動するもの(つまり.exe)ごとに発行を行う  設定は対象プロジェクトごとに.pubxmlファイルで保存可能 設定が保存された.pubxml

16.

発行のコマンドライン実行  GUIからの実行だと、対象プロジェクトが多い場合は面倒なので、コマンドが 良い  C#のみなら、dotnet publishコマンドにソリューションファイルを渡せば一発  C++/CLI混在の場合は、dotnet publishコマンドではエラーが出て解決できない  msbuildでpublishを呼ぶ必要がある  例:msbuild ソリューション名.sln /t:"プロジェクト名1:Restore;Rebuild;Publish";" プロジェクト名2:Restore;Rebuild;Publish; /p:Configuration=Release /p:Platform="Any CPU" /p:PublishProfile=Release /m  上の例は、発行の設定を各プロジェクトの.pubxmlファイルに設定しておいた場合

17.

言語別のアセンブリ  発行すると、全言語用のresources.dllを入れたサブフォルダが作られる  これらは使わないことの方が多く、邪魔  プロジェクトに SatelliteResourceLanguages を追加すれば良い   <SatelliteResourceLanguages>ja-JP</SatelliteResourceLanguages> この設定は、「発行を行うプロジェクト」へ書く必要がある点に注意  MSのドキュメントでは「対象ライブラリを参照しているプロジェクト」と書いてあ るが、それだと効かない・・・

18.

まとめ  .NET Frameworkから.NET 6への移行は、ボタン一発というほど簡単ではない  しかしポイントを押さえれば、1つずつの作業量はそう多くない  恐れず移行してみよう!