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April 16, 22
スライド概要
抵抗,コンデンサの働き,使い方を理解し,利用できるようにする
機械系のためのメカトロニクス
これまでに主に,ロボティクス・メカトロニクス研究,特にロボットハンドと触覚センシングの研究を行ってきました。現在は、機械系の学部生向けのメカトロニクス講義資料、そしてロボティクス研究者向けの触覚技術のサーベイ資料の作成などをしております。最近自作センサの解説を動画で始めました。https://researchmap.jp/read0072509 電気通信大学 名誉教授
UEC 第2回エレクトロニクス基礎その1 メカトロニクス 「抵抗,コンデンサ,コイル」の働き 下条誠* *電気通信大学 名誉教授 機械系のためのメカトロニクス 1
UEC 達成目標 1. 抵抗,コンデンサの働き,使い方を理解し,利用でき るようにする 2. ダイオード,LED,トランジスタなど半導体の原理を理 解し,利用できるようにする 参考のためのスライドです。とばしても構いません。 2
UEC 電気回路とは 電圧:電子を流す圧力,電流:流れる電子の量 電流 電流 電圧 抵 抗 抵 抗 電圧 実際の回路 回路図 3
UEC 電気回路とは(電気回路と水流回路) 流量 電流 水圧 電圧 抵 抗 ポ ン プ 抵 抗 電気回路と水流回路は似ている 電圧とは電荷を動かす力 水圧とは水を動かす力 電流とは電荷(電子)の動き 流量とは水の動き 4
UEC 電気回路の基本法則(オームの法則) オームの法則 𝑉 = 𝑅𝐼 𝐼 = 𝑉 Τ𝑅 , 𝑅 = 𝑉 Τ𝐼 電流 V 電 圧 0 I 電圧 V ✓ 直流でも交流でも 成立する 抵 抗 R 0 電圧降下 ⚫ 電圧は差の量(差異量) 𝐿 𝑅=𝜌 𝐴 𝜌 = 𝜌0 1 + 𝛼𝑡 一様な導体の抵抗は,長さLに 比例,断面積ρに反比例 ρ:電気抵抗率 ⚫ 電流は通過する量(流通量) 5
UEC 電気回路の基本法則(キルヒホッフの第一法則) 𝐼2 𝐼1 𝑛 𝐼3 𝐼𝑛 𝐼𝑖 = 0 𝑖=1 節点に電流が流れ込む量と, 流れ出る量の和はゼロとなる。 𝐼𝑖 例) 𝐼1 𝐼4 𝐼2 𝐼3 節点 電気回路を作るとき,部品を繋ぐ,複 数の配線が集まる点があり(節点),そ の点に「流れ込む電流」と「流れ出す電 流」の和はゼロになること。 𝐼1 + 𝐼2 − 𝐼3 + 𝐼4 =0 注: 節点への流れ込みはプラス,流れ出しはマイナスとする 6
UEC 電気回路の基本法則(キルヒホッフの第二法則) 𝑉2 𝑉3 𝑉1 𝑛 𝑉𝑖 = 0 𝑖=1 ループになっている回路 の節点間の電圧の和は ゼロとなる。 𝑉𝑖 𝑉2 ループ 𝐸1 電気回路を作るとき,部品を繋ぐ,複数 の配線で閉回路(ループ)となる部分では, 電圧は一周して足し合せたらゼロになる 𝐸2 𝑉1 𝑉3 𝐸1 − 𝑉1 − 𝑉2 − 𝐸2 + 𝑉3 = 0 注: 電圧でループと同じ方向はプラス,反対方向はマイナスとする 7
UEC オームの法則理解度 テスト Q: A点,B点の電圧を求めよ。 12V 2Ω A 4Ω 12V 2Ω 2Ω B 4Ω ヒント:発生する電圧は,抵抗に流れる電流を乗算したもの。各抵抗に流れる電流を求めれば計算できる。 8
UEC 抵抗について ⚫ 抵抗の働き ⚫ 抵抗の定格電力 ⚫ 抵抗の種類 https://www.youtube.com/watch?time_continue=69&v=lwvgG1DBfuU&feature=emb_logo 9
UEC 抵抗の働き (電気回路と水流回路の比較) 流量 電流 水圧 電圧 ポ ン プ 抵 抗 電流の流れを 制限する ➢電流を制御 ➢抵抗の両端に 電圧が発生 電 圧 低 下 水の流れを 制限する ➢流量を制御 抵 抗 水 圧 低 下 ➢抵抗の両端に 水圧が発生 10
UEC 抵抗の役割 抵抗は電気回路で「電流の制限」,および 「電圧の調整」などのため用いる。 ⚫ 電流の制限 ⚫ 電圧の調整 11
UEC 例:抵抗の働き(LEDを発光させる1) 問題:この回路は正しく機能する? ✓ LED(発光ダイオード)の 端子間電圧は約2V注)。 ✓ 電池電圧は3V。 i 2V ✓ つり合いが取れない。 LED LED に電流が過剰に 流れLED を破壊 注)半導体のとこで説明 12
UEC 例:抵抗の働き(LEDを発光させる2) 対策:抵抗を直列に挿入する 抵抗rを直列に挿入することで,LED に対し て適切な電圧・電流となるように調整する。 電圧低下 i 1V r 2V 重要 ✓ LEDの端子間電圧は2Vで ✓ LEDに流れる電流を0.01A注)とする 抵抗rによる電圧降下を1Vとすると電池 電圧3Vと釣り合う。 𝑅 = 𝑉 Τ𝐼 1[𝑉] 𝑟= = 100[Ω] −3 10 × 10 [𝐴] 𝑛 𝑉𝑖 = 0 𝑖=1 成立! 注)流す電流量でLEDの発光量が変化する i=0.01A =10mA 13
UEC 順電流-相対光度特性 ◆ LEDに流す電流と発光光度の関係 例題では電流を10mAとした。 この値を,例えば 20mAとしても良い。もちろん,その場合の抵抗 値は前頁と異なる。 電流と光度は左図のように変化する。また電流 の増加により,LEDの発熱量も増加するので注 意が必要だ。なお,利用するLEDのデータシート から各種特性を調べ,設計を行うことが重要だ。 http://www.my-craft.jp/html/aboutled/led_tokuseichi.html Q1:電流を20mAとした場合の抵抗値を求めよ。 順電流 LEDの発光原理 https://www.youtube.com/watch?v=fxZpRqbxHwA LEDの過電流破壊 https://www.youtube.com/watch?v=GUYZ-Rek6c0 14
UEC 定格電力(抵抗は発熱体) 発熱 発熱 煙,発火 破壊 𝑃 = 𝑖2𝑅 電流 発熱量 P[W] 𝑣2 𝑃 =𝑣×𝑖 = = 𝑖2𝑅 𝑅 15
UEC 定格電力(抵抗は発熱体) 例)電圧が12Vとなった。電流を10mAと すると,抵抗rは? 10mA 12V 10V r 回路の平衡から,必要な電 圧降下は10V。よって 10[𝑉] 𝑟= = 1000[Ω] 10 × 10−3 [𝐴] 2V ただし このとき抵抗rに発生する熱量は? 𝑃= 𝑖2𝑅 𝑃 = 𝑖 2 𝑅 = 10 × 10−3 = 0.1[𝑊] 2 × 1000 16
UEC 定格電力 定格電力: 1. 抵抗には,連続動作可能な電力の最大値 がある(定格電力)。 2. 抵抗の定格電力として,1/8W, 1/4W, 1/2W, 1W などがある。 3. 利用は定格電力の1/2 以下が望ましい。 𝑷= 𝒊𝟐 𝑹 𝟐 𝒗 = ൗ𝑹 = 𝒊 × 𝒗 発火する抵抗器 https://www.youtube.com/watch?v=PV23dljpaWg 17
UEC 抵抗の種類 抵抗器には多くの種類があり, 精度,形状,定格,価格で使 い分けている 半固定 抵抗器 可変抵 抗器 固定抵 抗器 可変抵抗器:回転,スライドなどの操作によって,抵 抗値を変化可能なもの。ボリュームなどに利用。 半固定抵抗器:電子機器の調整などで抵抗値を設 定後,ほぼ固定するもの。 https://article.murata.com/ja-jp/series/compo_func 𝑣 = 𝑅𝑖 金属皮膜抵抗 チップ抵抗 18
UEC 抵抗の種類 炭素被膜抵抗 集合抵抗 金属被膜抵抗 セメント抵抗 チップ抵抗 19
UEC 抵抗の種類 1. 炭素皮膜抵抗器(カーボン抵抗器):磁器等の絶縁体上に炭素皮膜を覆って抵抗体としたもの。 最もよく使われる抵抗。安価。但し,温度係数が大きく, 精度もバラツキがある。定格電力は1/8W, 1/4W, 1/2W が主流である。抵抗値は後述のカラーコードで示される。 2. 金属皮膜抵抗器 ➢ 塗布型:磁器等の絶縁体上に金属の皮膜を覆って抵抗体としたもの。温度係数が小さく,精度の良い。用 途としては,精度の必要な一般のアナログ回路に向いている。 ➢ 薄膜型:セラミック基板に金属を蒸着し, 抵抗パターンを形成したもの。温度係数が大変小さく,精度が高く, 熱雑音も少ない。このため精度の必要なアナログ回路, 微小信号回路に使われる。 3. 酸化金属皮膜抵抗器:セラミック棒に金属酸化物皮膜をつけ, これに螺旋状に溝を切り抵抗としたもの。 熱に強いので電源などの電流が大きい時に中・大電力用として使う。 4. 巻線抵抗器:セラミック棒にニクロム線などの抵抗線を巻き付けたもの。低抵抗で大電力のものが得られ る。また温度係数の低いものも可能のため,(精密用) 高安定,計測器に使われる。 5. セメント抵抗:巻線型抵抗体等をセラミック製のケースに入れ, シリコン系の樹脂で封止したもの。不燃性 のケースで覆われているので発火しにくく, 絶縁性にすぐれる。中・大電力用に用いる。 6. ほうろう抵抗:セラミック性円筒に抵抗線を巻き, その上をホウロウ膜で覆ったもの。高温に耐え大電力を 扱う場合に用いる。 7. 集合抵抗器:抵抗器をいくつか(4~10 個くらい) まとめてIC のような形にしたもディジタル回路など、同 様な回路に多くの抵抗器を必要とする場合に用いる。 8. チップ抵抗器:表面実装を行うため,薄型で小型化したもの。抵抗体は炭素皮膜や金属皮膜がある。 20
UEC 抵抗の表示(カラーコード) (例) 写真とは違う 25 × 103 = 25𝑘Ω 赤,緑,橙, 金 2, 5, 3 5% ± 5%誤差 抵抗の読み方 https://www.youtube.com/watch?v=NoPlirWsNuc 21
UEC コンデンサについて 1. コンデンサは,電荷を溜めこむ貯蔵庫である 2. コンデンサは,直流を通さず,交流を通す 22
UEC コンデンサの働き ⚫コンデンサは電荷を溜めこむ貯蔵庫 ✓ コンデンサに電流が流れ込むと電荷がたまり,電圧が高くなる。 ✓ コンデンサに加わる電圧が低くなると,電荷(電流)を放出する。 ✓ 電圧の変動を抑える働きがある ⚫コンデンサは直流を通さず,交流を通す ✓ コンデンサの電極板は絶縁体よって隔てられているため直流を 通さない ✓ コンデンサは,変化する交流に合わせて充電、放電を繰り返し 交流電流を流す 23
UEC コンデンサのイメージ(水の例) q: 流量 1. 流 量: q [m3/s] 2. 水 位: h [m] 3. 底面積: A [m2] 𝑄水 = 𝐴ℎ(𝑡) h 面積×高さ 𝑇 A: 面積 Q水:体積 [m3] 𝑄水 = න 𝑞(𝑡)𝑑𝑡 0 𝑑𝑄水 𝑞(𝑡) = 𝑑𝑡 流量の時間 積分 体積の時間 微分 水を貯める水槽。 24
UEC コンデンサのイメージ (水の例との対応関係) q: 流量 h:水位 A: 面積 Q水:体積 [m3] 1. 電流I ←流量:q 2. 電圧V ←水位: h 3. 容量C ←底面積:A コンデンサは電荷を貯める貯蔵庫。 𝑄(𝑡) = 𝐶𝑉(𝑡) 電流I 𝑡 𝑄(𝑡) = න 𝐼(𝑡)𝑑𝑡 容量C Q:電荷量 電圧V 0 𝑑𝑄(𝑡) 𝐼(𝑡) = 𝑑𝑡 容量×電圧 電流の時間 積分 電荷量の時間 微分 25
UEC コンデンサの働きのイメージ 流量変動 が大きい 一定の水位 水を蓄えるダム 電流 コンデンサ 少ない 電圧変動 26
UEC コンデンサの働き 一般的なRC回路を数式を基に 解析する 𝐼(𝑡) R +++ + 𝐸 (電気回路解析) 𝑄(𝑡) 𝑉(𝑡) −−− − 𝐶 左図の回路方程式を求めてみ よう。 𝑛 (1)キルヒホッフの第二法則から または,電流Iは抵抗Rに加 わる電圧差から次の式にな る,としても同じになる。 𝐸 − 𝑉(𝑡) 𝐼 𝑡 = 𝑅 𝑉𝑖 = 0 𝑖=1 𝐸 − 𝑅𝐼 𝑡 − 𝑉(𝑡) = 0 ⋯(1) (2)電流Iと電荷量の関係から 𝑑𝑄(𝑡) 𝑑𝑉 𝑡 𝐼 𝑡 = =𝐶 ⋯ (2) 𝑑𝑡 𝑑𝑡 27
UEC (2)式の電流Iを(1)式に代入,移項して整理,(3)式の微分方程式が得られる。 𝑅𝐶 𝑑𝑉 𝑡 + 𝑉(𝑡) = 𝐸 ⋯ (3) 𝑑𝑡 微分方程式,初期条件;t=0,V(0)=0 で解法する 𝑉 𝑡 = 𝐸 1 − 𝑒 −𝑡Τ𝐶𝑅 ⋯ (4) 微分方程式の解 𝐸 −𝑡Τ𝐶𝑅 𝐼 𝑡 = 𝑒 ⋯ (5) 𝑅 CR:時定数( t:時間の次元) t=1[ms] Ex) R=10kΩ,C=0.1uF 電圧 𝐸 電流 𝐸 𝑅 0.63𝐸 RC = 10 × 103 × 0.1 × 10−6 = 10−3 = 1 [𝑚𝑠] I(t) V(t) 時間 𝐶𝑅 時定数 電圧の時間変化 時間 𝐶𝑅 電流の時間変化 28
UEC A B R OFF 𝐼(𝑡) ON 𝐶 𝑉(𝑡) コンデンサの働き (充電と放電) ① 充電,放電には時間が必要である ② このため短時間の変化には追従できない 𝐸 充電期間 放電期間 E=5[V],V(0)=0 [V] B点の電圧 R=10kΩ,C=0.1uF t=1[ms] 時定数 上図の電気回路の simulation結果を示す A点の電圧 Ltspice XVII simulate 利用 https://www.analog.com/jp/designcenter/design-tools-andcalculators/ltspice-simulator.html Switch ON Switch OFF 29
UEC OFF ① 充電,放電には時間が必要である I(t) ON E コンデンサの働き (充電時間と出力) Va R C 電圧を加える時間が短いほど V(t) ② このため短時間の変化には追従できない →出力電圧V(t)は低くなる t=1[ms] →出力電圧の変化は少ない ON時間が短くなると 充電 ピーク値が減少 5ms 3ms Va 2ms 放電 1ms Switch ON時間を変化 0.1ms, 0.5ms,1ms, 2ms,3ms, 5ms E=5[V] 一定 0.5ms 0.1ms 0ms 5ms 10ms 30
UEC コンデンサの働き (電圧の変動を抑える) 入力 波形 R C 出力 波形 t=1[ms] R=10kΩ 1V 入力 5Vの定電圧+3Vの白色雑音 1V C=0.1uF 出力 電圧を加える時間が短いほど →出力電圧V(t)は低くなる →出力電圧の変化は少ない 高周波成分の雑音(ノイズ)は, コンデンサを用いて低減すること が出来る。 コンデンサの容量が大きくなるほ ど効果が大きい。 1V 出力 C=10uF 注:コンデンサの種類によって,高周波特性などに 違いがあるため,一概には言えない。 31
UEC RC回路Bode線図 ⚫ 周波数が周波数が高くなるにつれGainが低下する ✓ 高周波をカットする Low Pass filter ✓ (高周波)電気ノイズをカットする Noise filter -3dB R 入力 波形 C 出力 波形 t=1[ms] R=10kΩ,C=0.1uF R=10kΩ,C=0.1uF 遮断周波数 Gain 1 𝑓𝑐 = 2𝜋𝑅𝐶 =159.2[Hz] Gain: -3dB Phase: 45° Phase 𝑓𝑐 32
UEC コンデンサの働き ⚫コンデンサは直流を通さず,交流を通す 直流 一瞬しか 流れない 𝐸 𝐸 𝐶 時間 充電 時間 ⚫ コンデンサの 電極板は絶縁 体よって隔て られている ⚫ 直流電源をつ なぐと、一瞬 充電電流が流 れ、すぐに流 れなくなる 注:正確にはこのような接続は疑問がある。 𝐼(𝑡) 流れる 𝑉(𝑡) 電 圧 電 流 交流 𝐼(𝑡) 𝑉(𝑡) 𝐶 電 圧 電 流 ⚫ 交流電流はプラ ス、マイナスと極 性が周期的に変 化する ⚫ コンデンサは,変 化する交流に合 わせて充電、放 電を繰り返し交 流電流を流す 33
UEC コンデンサの働き(交流は通す) CとRの位置 が逆転! 2Hz 入力 入力 波形 1s C R 出力 波形 t=1[ms] R=10kΩ,C=0.1uF ⚫ 通しやすさは周波数によって 変わる 出力 ✓ 直流は通さない ✓ 高周波ほど通しやすい 200Hz 入力 10ms ✓ 右上の回路では2Hzの交流 はほぼ通さないが ✓ 200Hzの交流は通す ✓ 周波数特性は時定数τ依存 出力 (τ=RC) 34
UEC a コンデンサの働き(交流は通す) 入力 波形 ⚫ 本当にそうなのか? 分かり易くするため50Hzの方形波を入力してみた b C R 出力 波形 t=1[ms] ① R=10kΩ,C=0.1uF a 10ms 入力 コンデンサの充放電が繰り返し ていることが分かる。 ①時点でa点が5Vになると,b点 (出力波形)も5Vとなる。 何故か? b それはコンデンサの電圧が変わる ためには,電荷の変化が必要,す なわち電流の入出力が必要の為。 出力 コンデン サは電 圧を安 定させる すなわち 電圧が 変化しに くい 注:入出力が微分のような関係ですね 変化のた めには電 流の入出 力が必要 そのため の,時間 が必要 よって, 短い時間 では変化 し難い よって,高 周波ではコ ンデンサ電 圧は変わら ない 電圧a点=電圧b点 (高周波では) コンデンサは 交流を通す 35
UEC CR回路Bode線図 ⚫ 周波数が低くなるにつれGainが低下する C 入力 波形 R 出力 波形 t=1[ms] ✓ 低周波をカットする; High-Pass filter ✓ 直流はCUTして高周波を通過させる; バイパスコンデンサ,パスコン R=10kΩ,C=0.1uF -3dB 遮断周波数 1 𝑓𝑐 = 2𝜋𝑅𝐶 Gain =159.2[Hz] Gain: -3dB Phase Phase: 45° 𝑓𝑐 注:RC回路,CR回路と呼び分けているが決まりはない? 36
UEC コンデンサの働き (これまでのまとめ) ⚫コンデンサは電荷を溜めこむ貯蔵庫 ✓ その容量Cは,貯蔵庫の大きさを表す ✓ 充放電に必要な時間の目安として時定数tがある ✓ 充放電によりコンデンサは電圧の変動を少なくする働きがある ⚫コンデンサは直流を通さず,交流を通す ✓ コンデンサは,二枚の電極が絶縁体で挟まれた構造なので直流は 通さない。但し,充放電電流は一瞬流れる! ✓ コンデンサは,変化する交流に合わせて充電、放電を繰り返し交流 電流を流す ✓ 通しやすさは周波数によって変わり,高周波ほど通しやすい 37
UEC コンデンサの働き (その応用) ⚫ コンデンサは電荷を溜めこむ貯蔵庫 ✓ その容量Cは,貯蔵庫の大きさを表す ✓ 充放電に必要な時間の目安として時定数tがある ✓ 充放電によりコンデンサは電圧の変動を少なくする働きがある ⚫ コンデンサは直流を通さず,交流を通す ✓ コンデンサは,二枚の電極が絶縁体で挟まれた構造なので直流は通さない。但し,充放電電流は一瞬流れる! ✓ コンデンサは,変化する交流に合わせて充電、放電を繰り返し交流電流を流す ✓ 通しやすさは周波数によって変わり,高周波ほど通しやすい ⚫ このコンデンサの特性は,各種電気回路に用いられる ✓ 平滑回路,フィルタ回路,共振回路 ✓ バイパスコンデンサ(パスコン)での使用が圧倒的に多い Q:スナバ回路,微分回路,積分回路も調べてみよう 38
UEC コンデンサの構造 ビデオ コンデンサの仕組み 村田製作所 https://www.youtube.com/watch?v=s3cn56XiZXA 39
UEC コンデンサの構造 電極 電荷 ⚫ コンデンサは,絶縁体を2つの 電極ではさんだ構造 ⚫ 電圧を加えると,一瞬電流が 流れ,電荷Q として電極間に 蓄えられる。 コンデンサに蓄えられる 電荷量 コンデンサに流れる 電流 コンデンサに蓄えられる エネルギー 𝑄 = 𝐶𝑣 𝑑𝑄 𝑑𝑣 𝑖= =𝐶 𝑑𝑡 𝑑𝑡 1 2 𝐸 = 𝐶𝑣 2 𝜀𝐴 𝐶≈ 𝑑 A:電極面積 d:電極間距離 ε:絶縁体誘電率 40
UEC コンデンサの用途 ⚫ バイパス機能:電源ライン等の電圧変動を少な くする。 ⚫ カップリング機能:交流を通し,直流の電流を 通さないことから,直流成分をカットして信号 成分のみを通す。 ⚫ フィルタ回路:抵抗,コイル,オペアンプ等と組 み合わせて周波数フィルタを作る。 ⚫ その他:共振回路,時間を計測するタイマー回 路などなど幅広い回路で利用される 41
UEC コンデンサ利用例 パスコン カップリング TDK社 http://www.tdk.co.jp/techmag/condenser/200801u/index.htm 42
UEC パスコン パスコン ESL(等価直列インダクタンス)・ESR(等価直列抵抗) TDK社 http://www.tdk.co.jp/techmag/condenser/200801u/index.htm 43
UEC Vcc V0 パスコンの効果 Vcc パスコン パスコン あり Vcc V0 パスコン なし V0 トラ技術Jr.2014.11・12月号 44
UEC 組合わせて利用する 周波数特性 ✓ 実際のコンデンサは,インダクタ ンス成分,抵抗成分を含み,種 類によって使用できる周波数が かなり限られる。 ✓ セラミックコンデンサは,高周波 特性がよく,電解コンデンサは, 主に低周波領域に限られる。 大容量型(低周波)と小容量型 (高周波)の2つを組み合わせる と良い トラ技術Jr.2014.11・12月号 45
UEC ノイズ防止 ノイズ防止用 コンデンサ TDK社http://www.tdk.co.jp/techmag/condenser/200801u/index.htm 46
UEC コンデンサの特性 ① 使用する誘電体の種類により,その容量,周波数特性が変わる。 ② 誘電体として,磁器を用いたセラミックコンデンサ,雲母を用いたマイカ コンデンサ,電解酸化によって酸化アルミニウムなどの酸化被膜を形成 させて,これを誘電体とした電解コンデンサなどがある。 ③ セラミックコンデンサは,高周波特性,温度特性に優れ,最も良く用い られている。 ④ 電解コンデンサは,主に低周波領域に用いられ小型で大容量の特徴が ある。この電解コンデンサは電極に極性があるので,利用時には注意が 必要がある。 セラミックコンデンサ 電解コンデンサ 電解コンデンサ 47
UEC コンデンサの特性・使用上の注意 1. 定格電圧:定格電圧とは電極間にかけることのできる許容 電圧であり, WV (Work Volt) で表される。この電圧はコンデ ンサの種類によって違う。特に電解コンデンサの耐電圧は低い ので注意が必要である。 2. 周波数特性:実際のコンデンサは,インダクタンス成分,抵 抗成分を含み,種類によって使用できる周波数が限られる。セ ラミックコンデンサは高周波特性がよく,また電解コンデンサは 主に低周波領域に限られる。 3. 使用温度:コンデンサは,高温に弱く,使用する環境温度に は制限がある。電解コンデンサには85℃、105℃などの記号 が記載されている。これは使用温度の上限を意味する。 48
UEC 故障した電解コンデンサ例 液漏れした電解 コンデンサ 膨張した電解 コンデンサ 正常の電解 コンデンサ 電解コンデンサには寿命がある。例えば,「 105℃・2000時間」。 周囲温度が10℃下がると寿命は2倍になるとされる。 49
UEC コンデンサの種類と特徴 定 格 電 圧 容量 TDK社 50
UEC マイカ,ペーパーコンデンサ TDK社 51
UEC 電解コンデンサ TDK社 52
UEC コンデンサの表示 (例) 473 → 47 × 103 𝑝𝐹 = 47 × 103 × 10−12𝐹 = 4.7 × 10−2 × 10−6 𝐹 = 0.047𝜇𝐹 単位はpF 53
UEC コイルについて ⚫ 電流変化はゆっくりと (←コンデンサ:電圧変化はゆっくりと) ⚫ 交流は妨げ,直流は通す ⚫ コンデンサとコイルは双対の関係 54
UEC コイル(インダクタンス) 電流は急には止まれない:コンデンサは,電圧の急激な変化が 困難なように,コイルは電流の急激な変化が困難である。 コンデンサ: コイル: 電荷による電界でエネルギーを蓄える 電圧変化はゆっくり 電流による磁界でエネルギーを蓄える 電流変化はゆっくり トロイダルコイル インダクター 55
UEC コイルの仕組み 𝑒(𝑡) コイルは,導線をコイル 状に巻いたもので,電流 を流すことで磁束Φ を 𝑣(𝑡) 生じ,電磁場としてエネ ルギーを空間中に蓄える。 参考:コンデンサ 電流による磁束Φ Φ = 𝐿𝑖 逆起電力v 𝑣= コイルに蓄えられる エネルギーE 1 𝐸 = 𝐿𝑖 2 2 𝑑Φ 𝑑𝑖 =𝐿 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑄 = 𝐶𝑣 𝑑𝑄 𝑑𝑣 𝑖= =𝐶 𝑑𝑡 𝑑𝑡 1 2 𝐸 = 𝐶𝑣 2 56
UEC コイルとコンデンサの対応 コイル Φ = 𝐿𝑖 𝑣= 𝑑Φ 𝑑𝑖 =𝐿 𝑑𝑡 𝑑𝑡 1 2 𝐸 = 𝐿𝑖 2 コイル 磁束 Φ インダクタンス 電圧 電流 𝐿 𝑣 𝑖 コンデンサ 𝑄 = 𝐶𝑣 𝑑𝑄 𝑑𝑣 𝑖= =𝐶 𝑑𝑡 𝑑𝑡 1 2 𝐸 = 𝐶𝑣 2 コイル コンデンサ 電流の 変化を ゆっくり 電圧の 変化を ゆっくり 交流を 妨げる 直流を 妨げる コンデンサ 𝑄 𝐶 𝑖 𝑣 電荷 キャパシタンス 電流 電圧 57
UEC コイルの用途 ⚫ フィルタ回路:コイルとコンデンサなどを組み合わせるこ とで、各種周波数フィルタ回路を構成する ⚫ 共振回路:コイルとコンデンサなどを組み合わせること で、特定の周波数の信号だけを取り出す共振回路を 構成する ⚫ ノイズ除去:高周波電流成分が伝わりにくいことから, ノイズ成分が後続の回路へ伝わらないようにする。 58
UEC コイルの利用例 携帯電話光るアンテナの仕組み (昔はこのようなものがあった) TDK社 https://www.jp.tdk.com/tech-mag/hatena/010 59
UEC 抵抗,コンデンサ,コイルのまとめ 60
UEC 抵抗,コンデンサ,コイルのまとめ ⚫抵抗は電気回路で,「電流の制限」,抵抗による電圧降下により適切な 「電圧調整」などに用いられる。但し,電流が流れると熱が発生するため, 発熱に耐える定格の抵抗素子を使う! ⚫コンデンサは,電荷を溜めこむ貯蔵庫のようなものである。電流が流れ込 むと電荷がたまり,コンデンサの電圧が高くなる。コンデンサに加わる電圧 が低くなると,電荷(電流)を放出する。また,貯まった電荷により電圧が 決まるので,急な電圧の変化は困難。この他,電解コンデンサでは,耐電 圧,経年変化に注意すること。 ⚫コイルは,電流が流れると磁界を発生することでエネルギーを溜めこむ素 子である。このことは急な電流の変化は困難なことを示し,コイルに流れ る電流を一定にしようとする。例えば,電流が増加するとコイル両端電圧 が電流の増加を阻むように高くなり,逆に電流が低下すると電流を増や す方向に電圧が増加する。 コンデンサとコイルは,どちらもエネルギーの蓄積と放出を行い,コンデンサは電圧を,またコイルは電流をできるだけ一定とする働きがあり ます。また,コンデンサとコイルは,電圧と電流を入れ替えると双子のような動作をします。これはその基礎方程式をみてみれば,電圧v と電 流i を丁度入れ替えたような式になっていることからも予想がつきます。このようなことを双対性(duality) と呼び,電気回路では有名な関 係です。 61
UEC 電圧と電流,主と従の関係はある? 抵抗の説明で,「電圧を加えると電流が流れる」との説明をしました。これは原因が 電圧で,結果が電流のような記述です。しかし,電圧と電流にこのような主と従の関 係はありません! 電流が流れると電圧が発生するといった説明も正しい。この場合,原因が電流で, 結果が電圧のような印象ですね。 我々は,ランプに乾電池を接続するとランプが点灯し,この乾電池を直列につなぐと 電圧が増加し,ランプが明るくなります,などの乾電池を使った例から電気を学習し ます。乾電池は電圧が1.5V と決まっており,電圧が電気現象の主役のように教育 されてきました。よって,電流から電気回路を発想することは,慣れていません。 世の中には,一定の電流を供給する電流源もあります。この場合,ランプに流す電 流とランプの明るさが電流の関係から説明されるかもしれません。 電圧と電流は対等な立場です。電圧は,要素に加わる差の量である位差量,電流 は要素を通過する量である流通量です。 62
UEC 電気回路の4変数の相互関係 電圧 𝑣 抵抗 コンデンサ 𝑣 = 𝑅𝑖 電流 𝑖 v= 𝑑∅Τ𝑑𝑡 𝑞 = 𝐶𝑣 𝑞 電荷 𝑖 = 𝑑𝑞 Τ𝑑𝑡 ∅ = 𝐿𝑖 コイル ∅ = 𝐾𝑞? ∅ 磁束 雨宮好仁,磁束と電荷を結ぶ新しいデバイスの探索,応用物理,vol.78,no.12,pp.1146-1149,2009 63
UEC おわり おわり 64
UEC Q: 繰返しパルス入力だと,どうなるかな? R 入力 波形 単一パルス入力 C R=10kΩ,C=0.1uF ? 繰返しパルス入力 65 出力 波形
UEC 電流源 VS 電圧源 𝐼(𝑡) 𝑄(𝑡) 実は,水の例(2つ前のスライド)の電気回路 に相当するのは左図です。定めた電流を流す, 電流源としなければいけない。 +++ + I 一定の電流では,電荷量Q(t)が線形に増加 するからV(t)は図のようになります。 𝑉(𝑡) −−− − 𝐶 V t = Q(t) 𝐶 電流が流れると電圧が発生するといった説明も正し い。この場合,原因が電流で,結果が電圧のような 印象ですね。 𝑉(𝑡) t Switch ON 抵抗のところで,「電圧を加えると電流が流れる」と 説明をしました。これは原因が電圧で,結果が電流 のような記述です。しかし,電圧と電流にこのような 主と従の関係はありません! 電源というと電圧源が一般的で、電流源という考 え方は馴染みがありません。ただし電気回路では, この電流源は重要な考え方です。ぜひその考え方 に慣れてください。 66
UEC R コンデンサの働き (Low Passフィルタ) C 正弦波 入力 正弦波入力に対する出力波形(20Hz,200Hz,500Hz,1kHz) 20 200 500 出力 波形 1k R=10kΩ,C=0.1uF ⚫ コンデンサは電圧の変動 を少なくする働きがある ⚫ 高い周波数ほど,変動が 抑制される ⚫ この結果図の回路では Low-Pass Filterとなっ ている BODE線図です Ltspice XVII simulate 利用 67
UEC R コンデンサの働き (ノイズフィルタ) 入力 波形 C 出力 波形 出力波形 R=10kΩ,C=0.1uF 正弦波形 振幅:(±5[V] 周波数:20Hz ⚫ コンデンサは電圧の変動 を少なくする働きがある ⚫ 高い周波数ほど,変動が 抑制される 入力波形 正弦波形 + WhiteNoise(3[V]) ⚫ 時定数より,十分長い時 間変化には追従する ⚫ この結果,この回路は Noise Filterとなっている LTspice simulation 結果 68
UEC 20Hz 出力波形 コンデンサの働き (Low Passフィルタ) R 入力 波形 200Hz 出力波形 C 出力 波形 ⚫ コンデンサは電圧の変動 を少なくする働きがある ⚫ 高い周波数ほど,変動が 抑制される ⚫ 時定数より,十分長い時 間変化には追従する 1kHz 出力波形 ⚫ この結果,この回路は Low-Pass Filterとなっ ている 正弦波入力に対する出力波形 (20Hz,200Hz,1kHz) 69
UEC コンデンサの働き (電圧の変動を抑える) 例)入力信号に雑音が加わった信号の雑音成 分を抑える 入力 波形 R C 出力 波形 t=1[ms] R=10kΩ,C=0.1uF R=10kΩ,C=0.1uF 5Vの信号+1Vの白色雑音 入力 出力信号 出力 雑音が抑制されている 70
UEC R コンデンサの働き (ノイズフィルタ) Ltspice simulation 結果 入力 波形 C 出力 波形 出力波形 R=10kΩ,C=0.1uF ノイズ成分が抑え込ま れています。 入力波形 入力のパルス波形に ±1[V]WhiteNoiseを 加えました。 71