ハウスミュージックの楽曲構成を決める要因とその法則性の分析

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October 11, 24

スライド概要

2023年度卒業研究発表

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日本大学 文理学部 情報科学科 北原研究室。 「Technology Makes Music More Fun」を合言葉に、音楽をはじめとするエンターテインメントの高度化に資する技術の研究開発を行っています。

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各ページのテキスト
1.

ハウスミュージックの楽曲構成を決 める要因とその法則性の分析 北原研究室 B4 ウルフ ジャスティン智也

2.

はじめに > ハウスミュージックとは ハウスミュージックとは ● ● ● ● ● 1980 年代にアメリカ・シカゴ発の音楽ジャンル ディスコから派生したと言われている BPMは120~130 4 つ打ち(キックドラムが鳴り続ける) ↓ ハウス発祥の地と言われているシカゴのクラブ「ウェア・ハウス」の当時の様子 反復するメロディー ハウスミュージックの例: theBasement より引用

3.

はじめに > 背景 背景・目的 背景 ハウスミュージックの楽曲構成は分かりづらい ● J-POPは楽曲構成が分かりやすい ○ ○ ● 楽曲進行: イントロ → Aメロ → Bメロ → サビ → アウトロ 楽曲展開: メロディーやコード進行の変化によって楽曲を展開 ハウスは楽曲構成が分かりづらい ○ ○ 楽曲進行: イントロ → ??? → アウトロ 楽曲展開: ??? 目的 ハウスの楽曲構成はどのように成り立っているのか探求する

4.

はじめに > 関連研究 関連研究 ● 楽曲構成の可視化・分析手法 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ SSM(Self-Similarity Matrix)を用いた2D可視化 SDM(Self-Distance Matrix)と音楽的知識ラベルによるセグメントのラベル付け Transformerモデルを用いた楽曲分析システム HMMを用いた楽曲セグメンテーション T-Measureを用いた階層的楽曲セグメンテーション CNNを用いた楽曲のセグメント境界検出 スペクトルクラスタリングによる楽曲構成分析 音楽的に異なるセグメント間の関係を視覚的に把握する Scape Plot ディープラーニングを用いた階層的楽曲セグメンテーション MIDIを用いたクラシック楽曲の構造を可視化するシステム → ハウスミュージックに特化した可視化・分析手法は存在しない

5.

はじめに > 予備実験 予備実験 実験目的 ハウスミュージックと関連性のある要素を調査する → ハウスミュージックの楽曲構成との関連性を調査すべき要素として 周波数,音圧,ドラム音(※今回は省略) の3つが見つかった

6.

実験内容 > セクションの定義 セクションの定義 ハウスの楽曲構成として以下の4つのセクションを定義する ● ● ● ● イントロ:曲の序盤 ドロップ:曲の最も盛り上がる部分 →「サビ」に該当 ブレイク:曲の休息部分 →「Aメロ・Bメロ」に該当 アウトロ:曲の終結

7.

実験内容 > データセット データセット 著名なハウスミュージックレーベルからリリースされたコンピレーションアルバム(様々な アーティストによる楽曲集)7つから合計195曲を使用

8.

実験内容 > 周波数に関する実験 > 手法 周波数に関する実験:内容 実験概要 各セクションの周波数特徴量の平均値を可視化する 実験手順 1. 2. 3. 4. Demucsを用いて楽曲を4パート(ドラム,ベース,ボーカル,その他)に音源分離 All-In-Oneを用いて楽曲のセクション情報を取得 各楽曲に対してセクションごとの周波数特徴量(Spectral Centroid)の平均値を計算 全楽曲のデータを基に箱ひげ図で可視化

9.

実験内容 > 周波数に関する実験 > 結果 周波数に関する実験:結果 各セクションの周波数特徴量 (Spectral Centroid)の平均値を箱ひげ図として可視化 結果 ● 各セクションごとに周波数に大きな違い は無い

10.

実験内容 > 周波数に関する実験 > 結果 周波数に関する実験:結果 デモ動画

11.

実験内容 > 音圧に関する実験 > 手法 音圧に関する実験:内容 実験概要 各セクションの音圧の平均値を可視化する 実験手順 1. 2. 3. 4. Demucsを用いて楽曲を4パート(ドラム,ベース,ボーカル,その他)に音源分離 All-In-Oneを用いて楽曲のセクション情報を取得 各楽曲に対してセクションごとの音圧(RMS)の平均値を計算 全楽曲のデータを基に箱ひげ図で可視化

12.

実験内容 > 音圧に関する実験 > 結果 音圧に関する実験:結果 各セクションの音圧 (RMS)の平均値を箱ひげ図として可視化 結果 ● 各セクションごとに音圧に違いがある ドロップ>ブレイク>イントロ>アウトロの順に 音圧が高い

13.

実験内容 > 総合考察 総合考察 ● ● 周波数 → セクションの変化と相関がない 音圧 → セクションの変化と相関がある セクションと相関のない要素:楽曲内の統一感を演出 セクションと相関のある要素:楽曲内の展開を演出

14.

まとめ > 結論 結論 ハウスミュージックでは,セクションによって変化する要素とセクションに問わず変化しな い要素が存在することから, 楽曲の統一感を演出しつつ,展開の起承転結を演出している と考えられる.

15.

まとめ > 今後の展望 今後の展望 ● ● ● 他の要素について調査 セクション情報や各種アルゴリズムの精度向上 異なる音楽ジャンル(テクノ,ディスコ,J-POP など)との比較分析

16.

ありがとうございました

17.

補足 > All-In-Oneについて All-In-Oneについて 音源を入力すると,その楽曲に関する様々な情報を提供するライブラリ (テンポ情報,セクション情報,ビートタイム情報など) GitHub:https://github.com/mir-aidj/all-in-one ↓ All-In-Oneで得られるセクション情報の例

18.

補足 > Demucsについて Demucsについて Demucsは高精度で各パート(ドラム,ベース,ボーカル,ピアノ,ギター,その他)への音源分離を 実現するライブラリ ↓音源分離の例

19.

補足 > Spectral Centroidについて Spectral Centroidについて Spectral Centroidは,その周波数を分岐点に,上下でエネルギーが釣り合う点を表す. Spectral Centroidが低いほど周波数が低く,高いほど周波数も高い傾向にあることを 示す. 同一楽曲におけるスペクトログラム(上)とSpectral Centroid(下)の比較

20.

補足 > RMSについて RMSについて RMSは,Root Means Square(二乗平均平方根)の略称であり,音の持続的な強さを表 す.例えば,ドラム音のような瞬間的な値は持続性が無いので,RMSは低くなりやす い.