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January 27, 23
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ビジネス課題解決型 データサイエンティスト ビジネス理論解説:DX時代の組織論 This illustration was generated by Painting AI: MidJourney.
自己紹介 高木 宏明 Hiroaki Takagi うどんの国(香川県)出身 データ分析コンサルタント フレイ・アンド・テクノロジーズ株式会社 代表 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 非常勤講師 「データサイエンス」(2019年度1学期~) 青山学院大学 社会情報学部 非常勤講師 「データマイニング」「データマイニング演習」(2018,2020,2021年度) 非常勤講師としてビジネススクール(MBA課程)の社会人学生へデータサイエンスを教えています ビジネス理論から機械学習アルゴリズムまでわかりやすく解説することが得意です 連絡先:[email protected] 2
Agenda はじめに:分業による飛躍的な生産性向上・アダムスミスの功罪 組織論入門 なぜDXプロジェクトは失敗するのか? (組織論の観点からの考察)
分業による飛躍的な生産性向上 アダム・スミスは縫製用のピンの製造工程を観察して…。 ✓ 一人では1日あたりピンを1本も作れない (熟練しても20本も製造できない) ✓ 一人が針金を引き伸ばし、2人目がそれを まっすぐに延ばし、3人目がこれを切り、 4人目がそれを尖らせる、5人目は頭部を 作る(中略)。分業により10人で一日 48,000本のピンをつくることができる。 ✓ これは一人当たり4,800本のピンを製造し ていることになる ※経済学者アダム・スミス著「国富論」 1776年出版 4
分業によりなぜ生産性が向上するのか? 経験効果 ①分業により作業を単純化させると 職人はそのプロセスの技術向上ができる 製品 単位 コスト ②分業することで1つの作業から 別の作業へ移る時の無駄な時間を 無くすことができる ③各職人はごく単純な目標に集中し、 適切な器具の使用に気づく (創意工夫が進む) 累積経験数 (累積生産数) 5
アダム・スミスの功罪 製造工程の規格化と労働の規格化 ✓ 20世紀の初頭、フォード自動車製作工場において 約9000工程にも及ぶ徹底的な分業が行われた ✓ 同一の自動車を製作するために、労働者は機械と 同じであることが求められた(労働時間・休憩時間 ・賃金・職務内容は詳細に決められた) ✓ マネージャーは彼らが規定通りに働くよう管理 ✓ 労働者の人間的な不確実性を排除 ✓ 当時の労働者の離職率は370% ※T型フォード組立ライン(1914年) 6
Agenda はじめに:分業による飛躍的な生産性向上・アダムスミスの功罪 組織論入門 なぜDXプロジェクトは失敗するのか? (組織論の観点からの考察)
組織デザインの基本形 組織の特徴 分業 調整 「分業」と「調整」 「専門性」や「地域」等で役割を分けることで,メリットを追求すること 分業された人々の活動が,あたかもひとつであるかのように連動して動かすこと 組織設計の基礎・・・ 官僚制 悪い面が注目されがちだが,「官僚制」自体が悪いわけではない。 健全な官僚制 上司 スタッフ 判断に迷う問題は即座に 上司に確認 標準化 健全な「官僚制」の基本ができていない組織は 凡ミスを連発する 自分で判断できる問題は 自動的にミスなく解決 健全な官僚制だからこそ,効率的で信頼性の高いアウトプットを生み出すことが可能 過剰な標準化や階層重視は問題だが,それを破壊したからといって創造性が手に入るわけではない 8
ピラミッド型組織のメリット・デメリット メリット 繰り返し実行 デメリット 意思決定に時間がかかる →学習効果で品質向上 →信頼性向上 →生産性と顧客評価が向上 組織変革を妨げる・新しいことが定着しない トップダウン体制を取りやすい 上司 判断に迷う問題は即座に 上司に確認 外部要因 標準化 法令・業界ルール 確立された評価 スタッフ × 内部要因 “もったいない”精神 社内政治 自分で判断できる問題は 自動的にミスなく解決 既存業務の「カイゼン」には必要不可欠 新規業務の阻害要因になり得る 「上層部ほど情報を持ち,能力も高い」というわけではなくなっている 9
組織が陥る「慣性」のワナ 組織慣性 変化を抑制し現状を維持しようとする傾向 組織は,基本的には変わることができない(基本スペック) ・・・(程度の差はあるが)いかなる組織も慣性からは逃れられない 慣性が強く働く組織に起こりがちなこと5選 1.新しい制度が定着せず,いつの間にか「なかったこと」になる 2.「イノベーションを起こしている!」と思っているが,実はそうでもない 3.「仕事に慣れている」=「仕事ができる」になっている 4.投資した資産がもったいないので,それを生かす方向で考える 5.「やったもん負け」になるので,誰も自分から手を挙げない 10
ネットワーク型組織 ネットワーク型組織 外部資源を重視・・・各チームが自由に外部と連携 協力会社 チーム内の関係はフラット(階層なし) 消費者 案件に応じて誰でもリーダーになり得る 消費者情報の分析の強化 チーム間で 互いに情報共有 消費者 協力会社 「オープンイノベーション」 外部の 研究所 各チームのリーダーが独自に意思決定 外部の 研究所 「スピーディな意思決定」と「創造性」の両立 11
ピラミッド型 vs ネットワーク型 組織文化の違い ピラミッド型組織 ネットワーク型組織 経営者 管理職 従業員 上位者が発言するまでは,誰も発言しない 創造的な活動が自由に行えて,それが支持される 社内で名前に役職をつけて呼ぶ すべての意思決定がファクトに基づいて行われる 研修への参加者は上司が指名して決める 人材が多様で,自由に連携ができる 何を話したかではなく,誰が話したかが重要視される 個人の組織への貢献が可視化され,正当な報酬が支払われる 何か始めるときに事例・前例を求められる リスクが許容され,失敗から学習できる 12
チームの重要性 特定の優れた人間の「ひらめき」ばかりが,世界を変えてきたわけではない 「Pixar」「Google」「トーマス・エジソン」 複雑で創造性を要する問題には「チーム」でのアプローチが有効 複雑化・専門化 + 多様化 AIによる人間の業務の複雑化 雇用形態の多様化 個人の担当業務の専門化 リモートワークの増加 創造性を求められる仕事の増加 外部とのコラボレーションの増加 今後はチームワークがいっそう重要になる 13
良いチームをつくるために必要なこと 結果への 無関心 具体的な成果目標を公に宣言 結果に紐づいた報酬を設定 チーム全体の 目的に集中 説明責任の回避 責任感の不足 衝突への恐怖 信頼の欠如 互いの責任を 追及する 目標・行動指針の公表と定期レビュー チームとしての報酬を設定 全員一致を もとめない アイデアについて 謙虚なくぶつかる 互いを信頼する 伝えるべきことを明確化 決定の実行期限を設定 健全な議論から逃げないように誘導 性格や行動パターンを共有 チームで起こる問題 14
Agenda はじめに:分業による飛躍的な生産性向上・アダムスミスの功罪 組織論入門 なぜDXプロジェクトは失敗するのか? (組織論の観点からの考察)
既存事業組織 既存事業 「既存事業の深堀・深化」 ✓ 計画性・確実性重視 ✓ 高い品質、失敗・ミス0 ✓ 利益重視 ✓ ビジネス実行力・オペレーション ✓ 分業による効率化 16
DX新規事業組織 DX事業(新規事業) 「新たな事業機会の発掘・探索」 ✓ アジャイル(実験・チャレンジ) ✓ 失敗・不確実性を前提(多死多産) ✓ 顧客課題・顧客価値の創造を重視 ✓ フラット・横断的組織 ✓ 専門人材・外部人材の活用 17
既存事業組織とDX新規事業組織(理想) 共存・相互協力 既存事業 DX事業(新規事業) 「既存事業の深堀・深化」 「新たな事業機会の発掘・探索」 ✓ 計画性・確実性重視 ✓ アジャイル(実験・チャレンジ) ✓ 高い品質、失敗・ミス0 ✓ 失敗・不確実性を前提(多死多産) ✓ 利益重視 ✓ 顧客課題・顧客価値の創造を重視 ✓ ビジネス実行力・オペレーション ✓ フラット・横断的組織 ✓ 分業による効率化 ✓ 専門人材・外部人材の活用 リソースの共有 (専門人材・資金力・ブランド力・販売チャネル etc.) 18
既存事業組織とDX新規事業組織とのハレーション ✓ 新規事業と既存事業のカニバリゼーション(暗黙的妨害へ) ✓ リソースの出し惜しみ(例:現場エース社員を新規PJへ出さない) 既存事業 DX事業(新規事業) 「既存事業の深堀・深化」 「新たな事業機会の発掘・探索」 ✓ 計画性・確実性重視 ✓ アジャイル(実験・チャレンジ) ✓ 高い品質、失敗・ミス0 ✓ 失敗・不確実性を前提(多死多産) ✓ 利益重視 ✓ 顧客課題・顧客価値の創造を重視 ✓ ビジネス実行力・オペレーション ✓ フラット・横断的組織 ✓ 分業による効率化 ✓ 専門人材・外部人材の活用 VS (既存事業と新規事業の対立は古くて新しい問題) 19
組織土台の不整合(組織形態・組織文化・意思決定プロセス・インセンティブ) ✓ 新規事業ではリスクをとりながら臨機応変にビジネスの方向性を変えることが重要 ✓ 既存組織の論理を持ち出され、リスク回避思考や意思決定スピードの遅延が蔓延すると 新規事業が土台から崩壊しかねない ✓ インセンティブ設計が見合わず高度人材の採用・リテンションに問題が発生する (実例) • 役員会単位(月一開催)でしか意思決定できない • 極度のリスク回避思考・前例思考で何もできない • 短期的利益の重視(長期的ビジョンのビジネスは不可能) • テクノロジー音痴がテクノロジーにおける意思決定を行う(非専門家による意思決定) • メンバーが組織文化があわず離職につながる • 高度人材への給与が市場価値と乖離しており採用できない 20
プリンシパル・エージェント問題 業務を「依頼する側」と「依頼される側」の“すれ違い”問題 依頼する側 依頼される側 株主 経営者 上司 部下 PJオーナー PJマネジャー すれ違い(意見の対立)が起きる理由 1.利害の不一致 依頼する側と依頼される側の目的や利害が異なる 2.情報の非対称性 依頼する側は,依頼される側の行動のすべてを 把握できるわけではない 例:リスクをとってプロジェクトを成功させても給与は変わらない であるならば、PJリーダーは成功よりもリスク回避・根回しを優先させる 21
Q&Aディスカッション 22
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