STEM教育を目的とした二重振り子の簡易軌跡推定

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October 02, 23

スライド概要

北村大地, 岸本麗央, "STEM教育を目的とした二重振り子の簡易軌跡推定," 令和5年度電気・電子・情報関係学会四国支部連合大会講演論文集, p. 96, 高松, 2023年9月(査読無).

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北村研究室の学内・対外発表の発表スライドをまとめています.

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各ページのテキスト
1.

令和5年度 電気・電子・情報関係学会 四国支部連合大会 2023年9月23日 第7分野 計測(Ⅰ)7-5 14:50 - 15:00 STEM教育を目的とした 二重振り子の簡易軌跡推定 Simple Trajectory Estimation of Double Pendulum for STEM Education 北村大地(香川高専),岸本麗央(香川高専)

2.

二重振り子の運動 2

3.

長時間露光撮影した二重振り子の軌跡 3

4.

本研究の背景 • 二重振り子(double pendulum)系 – 非線形項を含む微分方程式 • 非線形微分方程式に現れるカオス現象 – 決定論的でも初期値鋭敏性によって長期予測不可能な系 – 自然現象にもカオス現象は多く表れる • 磁場中の振り子の起動 • 天気の長期的な変化 • 空気抵抗を加味した紙の落下軌道 等 4

5.

本研究の動機と概要 • STEM教育 – Science / Technology / Engineering / Mathematics • 教育イベントでデモンストレーションを実施 – 小・中学生の数理科学分野への興味の誘発を狙う – 実際にイベント会場で軌跡推定するのは意外と難しい • 長時間露光撮影は暗い室内で撮影する必要がある • 先端にLEDが付いた二重振り子は参加者に自作してもらうのが難しい – 二重振り子先端軌跡を簡易システムで可視化する方法を検討 • STEM教育のイベント(一般的な環境)でも容易に可視化 • 本発表の貢献 – ラズパイやスマホ等で動画を撮影し 貢献1:動画中の二重振り子(動体)と背景を分離 貢献2:二重振り子の概形情報から先端位置を推定 – する簡易軌跡推定法を提案 5

6.

提案システムの処理概要 入力動画 貢献1 貢献2 動体と背景の分離 概形情報を用いた 先端軌跡推定 6 推定軌跡 動画の2次元 行列化 中央値処理に よる背景推定 減算とマスクによる 動体推定 2次元畳み込みによる 連結部の位置推定 円周上の輝度値を 用いた先端位置推定 2次元3次スプライン 補間による軌跡計算

7.

提案システムの処理概要 入力動画 貢献1 貢献2 動体と背景の分離 概形情報を用いた 先端軌跡推定 7 推定軌跡 動画の2次元 行列化 中央値処理に よる背景推定 減算とマスクによる 動体推定 2次元畳み込みによる 連結部の位置推定 円周上の輝度値を 用いた先端位置推定 2次元3次スプライン 補間による軌跡計算

8.

動画の2次元行列化 8 Pixel Reshape Pixel Pixel element [pixel] • 「縦ピクセル×横ピクセル×時間フレーム」(3次元テンソル)を 並び替え「縦横ピクセル×時間フレーム」(2次元行列)に変換 Time frame

9.

中央値処理による背景推定 9 2次元行列化 背景は輝度値が変化 しないため横筋になる 行(時間)方向に 中央値フィルタを 適用 抽出された 背景動画 輝度値の変化が無い 背景のみが抽出される

10.

減算とマスクによる動体推定 10 • 入力動画行列から背景行列を減算 (動体+背景) - 背景 = 動体 (動体+背景) - 背景 = 動体 – 実際は背景の推定誤差の影響を低減する必要あり • 減算結果の各要素に ついて絶対値を計算 • この行列を閾値 で 要素毎に2値化 (バイナリマスク化) • 入力動画行列に対して バイナリマスクを乗算 (要素毎の積) 各要素値が 以上なら1 未満なら0 行列の要素毎の積

11.

減算とマスクによる動体推定 • 先の例で動体を抽出した結果 11

12.

提案システムの処理概要 入力動画 貢献1 貢献2 動体と背景の分離 概形情報を用いた 先端軌跡推定 12 推定軌跡 動画の2次元 行列化 中央値処理に よる背景推定 減算とマスクによる 動体推定 2次元畳み込みによる 連結部の位置推定 円周上の輝度値を 用いた先端位置推定 2次元3次スプライン 補間による軌跡計算

13.

提案システムの処理概要 入力動画 貢献1 貢献2 動体と背景の分離 概形情報を用いた 先端軌跡推定 13 推定軌跡 動画の2次元 行列化 中央値処理に よる背景推定 減算とマスクによる 動体推定 2次元畳み込みによる 連結部の位置推定 円周上の輝度値を 用いた先端位置推定 2次元3次スプライン 補間による軌跡計算

14.

14 2次元畳み込みによる連結部の位置推定 • あらかじめ用意したテンプレート画像を用いて連結部の 位置を推定 連結部 推定した 連結部の位置 テンプレート 要素毎の積 最大値 30 0 2 5

15.

円周上の輝度値を用いた先端位置推定 • 連結部の同心円上の輝度値から先端の位置を推定 – 2つの半径の同心円周上の 先端部 輝度値をベクトルとして 集めて差分を取る 打ち消される 250 Brightness 200 150 100 50 0 -180 -120 -60 0 Phase [degree] 60 120 180 連結部 15

16.

2次元3次スプライン補間による軌跡計算 O • 2次元3次スプライン補間 • X軸に1次元スプライン補間 • Y軸に1次元スプライン補間 時間 [s] – 各軸の補間の組み合わせ 1次元補間 t=1 2 3 4 5 X軸 X軸 t=3 1次元補間 Y軸 Y軸 t=2 t=4 t=1 O t=1 2 3 4 時間 [s] 5 2次元補間 O 16

17.

実験結果 • 比較的精度良く 推定することに 成功 正解の先端位置 推定の先端位置 推定の先端位置から補間した曲線(推定軌跡) 18

18.

まとめ 19 • 目的 – 動画から簡易的に二重振り子の軌跡を推定法の検討 • 長時間露光は実際のSTEM教育現場では難しい • 提案手法 入力動画 動体と背景の分離 概形情報を用いた 先端軌跡推定 推定軌跡 動画の2次元 行列化 中央値処理に よる背景推定 減算とマスクによる 動体推定 2次元畳み込みによる 連結部の位置推定 円周上の輝度値を 用いた先端位置推定 2次元3次スプライン 補間による軌跡計算