VoiceOver API の基本

VoiceOver API の基本 宇佐見公輔 2025-03-21 / YUMEMI.grow Mobile #20 株式会社ゆめみ

自己紹介 • 宇佐見公輔（うさみこうすけ） ‣ 株式会社ゆめみ iOS テックリード 近況 • 引き続き「モバイルアプリアクセシビリティ入門」 読書会に参加中 https://gihyo.jp/book/2024/978-4-29714602-3 1 / 21

• https://gihyo.jp/book/2024/978-4-297-14602-3

月刊 I/O に記事が掲載されました • 月刊 I/O 2025 年 4 月号 •「iOS 18 の視線トラッキング」を書きました https://www.kohgakusha.co.jp/books/ detail/4852 2 / 21

• https://www.kohgakusha.co.jp/books/detail/4852

アクセシビリティと VoiceOver

iOS のアクセシビリティ 身体サポート • 視線トラッキング 視覚サポート • 読み上げ（VoiceOver） • 音声コントロール • スイッチコントロール など • 文字サイズ変更 • ダークモード など 音声サポート • 音声合成 など アクセシビリティと VoiceOver 認知サポート • アシスティブアクセス など 聴覚サポート • 字幕 など 4 / 21

VoiceOver • iOS で UI の要素を読み上げる機能 ‣ Android の TalkBack に相当 • 全盲など視覚障害があってもアプリを利用できる ‣ なお、弱視などある程度見える人も利用している • アプリ開発時のアクセシビリティ対応で行う機能の代表格 ‣ 多くの人はこの UI 読み上げ機能を思い浮かべる ‣ 本当はアクセシビリティ対応っていろいろあるけど アクセシビリティと VoiceOver 5 / 21

VoiceOver 対応の基本

デフォルト動作 • デフォルトで、ある程度適切に読み上げられる ‣ 標準コンポーネントの強み ‣ この点は、Web とモバイルアプリの違いのひとつ • ただし、いくつかの場合に実装が必要 ‣ 画像のみのコンポーネント ‣ カスタムコンポーネント など VoiceOver 対応の基本 7 / 21

accessibilityLabel デフォルトの読み上げでうまくいかない場合に利用する。 var body: some View { Button(...) { // 画像のみ（テキストがない） Image(systemName: "heart") } // 指定しないと画像リソース名が読み上げられてしまう .accessibilityLabel("いいね") } VoiceOver 対応の基本 8 / 21

accessibilityTraits UI 要素の種類や性質を指定する（カスタムコンポーネント向け）。 • 種類 ‣ button（「ボタン」と読み上げてくれる）など • 状態 ‣ selected（「選択中」と読み上げてくれる）など • 性質 ‣ header（「見出し」とみなす）など VoiceOver 対応の基本 9 / 21

SwiftUI と UIKit 基本的に、SwiftUI と UIKit のどちらでも同様のことができるが、 API は異なる（主に、モディファイアとプロパティの違い）。 // SwiftUI CustomButton(...) .accessibilityAddTraits(.isButton) // UIKit customButton.accessibilityTraits = [.button] VoiceOver 対応の基本 10 / 21

他の VoiceOver API

基本 API 前述の 2 つでほとんどの場合は問題ない。 • accessibilityLabel • accessibilityTraits 一方で、VoiceOver 関連は API がたくさんある。 知っておくと有益な場合もあるかも。 他の VoiceOver API 12 / 21

ヒント情報を追加する 読み上げ内容は基本的に accessibilityLabel で与えるが、追 加の情報を accessibilityHint で与えることができる。 Button(...) .accessibilityLabel("削除") .accessibilityHint("このアイテムを削除します") • 基本的に、ラベルだけで分かるようにする • より詳しい説明をヒントで与える ‣ ヒントは読み上げられない場合もある 他の VoiceOver API 13 / 21

読み上げ順序を制御する（SwiftUI） 読み上げ順序を指定するには、SwiftUI では、 accessibilitySortPriority を使う。 // SwiftUI Text("後に読み上げ（優先度が低い）") .accessibilitySortPriority(10) Text("先に読み上げ（優先度が高い）") .accessibilitySortPriority(20) 他の VoiceOver API 14 / 21

読み上げ順序を制御する（UIKit） UIKit では、accessibilityElements を使う。 // UIKit override var accessibilityElements: [Any]? { get { [firstElement, secondElement] } } 他の VoiceOver API 15 / 21

能動的に通知する 重要な通知、モーダル表示やレイアウト変更を伝えたい、など。 // SwiftUI AccessibilityNotification .Announcement("メッセージ").post() // UIKit UIAccessibility.post( notification: .announcement, argument: "メッセージ") 他の VoiceOver API 16 / 21

読み上げ音声の調整 読み上げ音声のピッチや言語を調整できる。 • UIKit : accessibilityAttributedLabel • SwiftUI : accessibilityLabel(Text()) AttributedString にはアクセシビリティ関連の要素がある。 • accessibilitySpeechPitch • accessibilitySpeechLanguage • accessibilitySpeechSpellOut 他の VoiceOver API 17 / 21

リファレンス Apple Developer Documentation の次の場所にある。 フレームワーク • Accessibility SwiftUI • Accessibility modifiers UIKit • Accessibility for UIKit • UIAccessibility 他の VoiceOver API 18 / 21

• https://developer.apple.com/documentation/accessibility
• https://developer.apple.com/documentation/swiftui/view-accessibility
• https://developer.apple.com/documentation/uikit/accessibility-for-uikit
• https://developer.apple.com/documentation/uikit/uiaccessibility-protocol

リファレンスの特徴 ドキュメントとして充実している。 • 全体的な説明文がわりとちゃんと書かれている • アクセシビリティ関連でまとめられているので、VoiceOver 以外 も含めてたくさんある ただ、多いので読むのが大変。リファレンスの細かい項目は説明が少 ないものもある。 • 関連するデータ構造などが多い • API の細かい要素になってくると記述がなくなる傾向はある 他の VoiceOver API 19 / 21

VoiceOver 対応の整理

VoiceOver 対応の整理 実のところ、一番大変なのは API の問題ではなくて、実際に読み上 げてみて、どう読まれるかを確認すること。そこは頑張るしかない。 一方、API はたくさんあるものの、基本 API はふたつ。それ以外を 必要に応じて少しずつ追加対応していくとやりやすい。 • accessibilityLabel • accessibilityTraits VoiceOver 対応の整理 21 / 21