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November 25, 24
スライド概要
現行の厚生労働省標準を中心にデジタルヘルス標準を普及させるための技術的課題について整理しました。
1970年生まれ。マイコン少年として育ち、1995年に医師免許取得。以後、血液内科で修練すると同時にインターネット、情報システムに興味を持ち医療情報学の研究を始める。 医療分野のオープンソースソフトウェア、医療情報標準規格について研究、医療DX教育にも携わってきた。
デジタルヘルス標準 小林慎治
2023年
2002年
政策としての医療情報標準 2002年 2022年 • 保険医療分野における情報化 にむけてのグランドデザイン • 持続可能な社会保障制度の構 築 • 電子カルテの普及 • 医療に役に立つ • レセプト電算化 • 標準化 • セキュリティ • 全国医療情報プラットフォーム • マイナンバーカード保険証 • 電子カルテの標準化等 • 診療報酬改定DX • サイバーセキュリティ
医療情報の普及に関する調査(厚生労働 省) • 日本における医療情報システムの標準化に係わる実態調査研究業務等の報 告書(2019年3月、シードプランニング) • 2厚生労働省標準規格の普及率を医療機関にアンケート調査を行い集計 • https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/0 000214316.html • 諸外国における医療情報の標準化動向調査報告書(2019年、ボストンコ ンサルティンググループ) • 米国、英国、スウェーデン、シンガポールの医療情報標準化政策について調査 • https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/2 07754.html • 医療等分野の標準化についての現状及び今後の課題に関する調査研究 報 告書(2021年3月、アクセンチュア株式会社) • 2019年の調査で普及していない理由について調査 • https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25406.html
厚生労働省標準(HELICS標準) No 規格提案名 実装率/活 用率(%) 採択日 No 規格提案名 実装率/活 用率(%) 採択日 HS001 医薬品HOTコードマスター 49.5/21.0 2003/05/23 HS026 57.8/40.9 2016/02/19 HS005 ICD10対応標準病名マスター 92.0/86.6 2004/12/28 SS-MIX2ストレージ仕様書および構築ガイ ドライン HS007 患者診療情報提供書及び電子診療データ 提供書 8.6/5.9 2007/03/16 HS027 処方・注射オーダ標準用法規格 23.9/14.5 2016/09/09 HS028 7.8/6.2 2016/04/13 HS008 診療情報提供書(電子紹介状) 8.6/5.9 2008/09/01 ISO 22077-1:2022保健医療情報-医用波形 フォーマット-パート1:基本規格(MFER) HS009 IHE統合プロファイル「可搬型医用画 像」およびその運用指針 14.8/12.4 2008/12/01 HS030 データ入力用書式取得・提出に関する仕様 (RFD) 2.8/0.9 2019/05/09 HS011 医療におけるデジタル画像と通信 (DICOM) 22.6/20.4 2010/01/25 HS031 地域医療連携における情報連携基盤技術仕 様(IHE) 17.7/13.4 2017/02/10 HS012 JAHIS臨床検査データ交換規約(HL7 V2) 34.9/18.0 2010/02/10 HS032 HL7 CDAに基づく退院時サマリー規約 8.3/5.9 2019/06/20 HS013 標準歯科病名マスター 51.8/36.3 2010/09/20 HS033 標準歯式コード仕様 21.0/12.4 2018/10/02 HS014 臨床検査マスター 28.5/15.6 2011/01/31 HS034 口腔診査情報標準コード仕様 2019/12/19 HS016 JAHIS放射線データ交換規約 32.0/16.9 2011/09/29 HS035 医療放射線被ばく管理統合プロファイル 2020/05/7 HS017 HIS, RIS, PACS, モダリティ間予約, 会計, 照射録情報連携指針(JJ1017指針) 22.0/13.4 2011/12/16 HS036 処方情報HL7 FHIR記述仕様 2022/02/28 HS037 健康診断結果報告書HL7 FHIR記述仕様 2022/02/28 HS022 JAHIS処方データ交換規約(HL7 V2) 31.4/18.0 2014/12/16 HS038 診療情報提供書HL7 FHIR記述仕様 2022/02/28 HS024 看護実践用語標準マスター 32.8/22.3 2016/02/12 HS039 退院時サマリーHL7 FHIR記述仕様 2022/02/28 実装率/活用採用率は厚労省「日本における医療情報システムの標準化に係わる実態調査研究報告」2019年より病院でのデー タを抜粋https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000685906.pdf
コード・用語(2019年) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000685907.pdf
データ形式(2019年) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000685907.pdf
データ交換(2019年) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000685907.pdf
医療情報規格を実装して活用していない 理由 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000685907.pdf
医薬品コード https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/000933119.pdf
HOTコード 1003031010101 処方用番号 対応する医薬品コード 製造会社 包装形態 物流形態 薬価基準収載医薬品コード HOT7 レセ電・YJコード HOT9 製品情報コード HOT11 HOT13 JAN・GS1コード
YJコード https://www.data-index.co.jp/knowledge/146/
薬価基準収載コード https://www.data-index.co.jp/knowledge/146/
JLAC10 https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000558085.pdf
厚生労働省標準マスタ・用語集の課題 •正規化
HL7系標準 • CDA • FHIR Documentsとsemanticsな違いはほぼない。 • 今ある実装がすべて。 • FHIR • Modern V2 + Better CDA • V2部分のModernizeには成功している • CDAで挑戦した記録・文書の形式化はHL7が元々苦手としている領域 • 抽象度に幅があり、Profileにて制約を加える必要がある。
レターパック
薬品だな(百味箪笥)
政府事業における医療標準規格採択 事業名称 採用標準 対応する厚生労働省標準 電子処方箋 ??????、YJコード、薬価 基準収載医薬品コード 処方情報 HL7 FHIR記述仕様、処方・注射 オーダー標準用法規格、JANIS処方オーダー 交換規約(HL7 V2)、 マイナポータル: 健診データ 独自CSV、独自XML 健康診断結果報告書HL7 FHIR記述仕様 特定健康診査 健康診断結果報告書規格(厚労省、健康診断結果報告書HL7 FHIR記述仕様 JAHIS、HL7) レセプト電子提出 独自CSV、レセプト電算コード 医薬品HOTコードマスター、臨床検査マス ター HER-SYS 独自API(非公開) - G-MIS 独自API(非公開) -
厚生労働省医薬局:電子処方箋管理サービス の導入に関するシステムベンダ向け技術解説 書(2024年1月) ? HL7 CDA
電子処方箋サービス記録条件仕様(処方 編)
電子処方箋ファイルの構成イメージ
医療情報標準規格の三要素 以下の3つをバランスよく構成する • 医学的に正しい情報を表現できているか • 情報学的に正しく構成されているか • 技術的に正しい方法が選択されているか 医学 情報学 技術 結果として下記を実現する • 容易に(低コストで)実装できる • 異なるシステムで情報連携できる • データとして多用途に活用できる
まとめ • 医療情報標準化が進まない要因について検討した • 厚生労働省標準は政府採用率が低い • 情報学的にも医学的にも問題のある標準は採用されにくい。 • 技術の変遷に伴い既に時代に合わなくなってしまった標準もある。 • 解決策 • 用語集は日本独自のものを作るのではなく、国際的標準を採用するこ とも検討したほうがいい。 • HOT、YJ、JLAC10は桁ごとに意味を持たせているが、正規化したテー ブルを作成すべきである。 • 政府が率先して標準規格を採用すべきである。