動作原理の説明を付加した家電製品マニュアルにおける注視行動分析-紙と動画の比較-

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June 24, 24

スライド概要

日本人間工学会第65回大会
講演番号:2F5-3

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大阪公立大学生活科学部居住環境学科デザイン人間工学研究室(土井俊央研究室)

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各ページのテキスト
1.

2024.6.23 日本人間工学会第65回大会 動作原理の説明を付加した家電製品マニュアルにおける注視行動分析 —紙と動画の比較— 黒田俊希(大阪市立大学居住環境学科) 土井俊央(大阪公立大学大学院生活科学研究科)

2.

研究背景 製品の誤使用によって多数の事故が発生しており,その原因の1つとして 製品に対する正しいメンタルモデルが構築されていないことが挙げられる メンタルモデル構築において大きな役割を担うものである製品マニュアルに注目 正しいメンタルモデルの構築に繋がる マニュアルの提示方法について考える必要がある 2

3.

先行研究からのアプローチ 動作原理を示すこと 提示媒体として動画を用いること 先行研究(山本ら,2023)から上記の2つの条件で 製品に対する理解度が向上することが示されている 山本彩智, 土井俊央, 他. “製品マニュアルにおける動画による動作原理の概念説明の有効性”. 日本デザイン学会第70回研究発表大会. 東京都江東区, 2023/6/23-6/25, 日本デザイン学会, 2023, 1A-01. しかし,実際にマニュアルがどのように確認されたことで 理解度の向上に繋がったのか十分な知見がない 3

4.

本研究の目的 動作原理の説明を付加した製品マニュアルを確認する際のユーザの注視行動を分析し, 紙と動画という提示媒体による違いはあるのか, またその違いがどのように理解度に影響しているのかを調査する 4

5.

実験方法 マニュアルの提示 理解度テスト 主観評価アンケート 注視行動分析 実験参加者 電子レンジの利用経験がある大学生14名 (男性:10名,女性:4名,平均:20.6歳,SD:0.97) 実験条件 紙のマニュアル(n=7) 動画のマニュアル(n=7) 視線計測機 Pupil Labs社のPupil Coreを使用 5

6.

実験の様子・実験器具 6

7.

対象のマニュアル(紙) 7

9.

理解度テスト 加熱原理に関する理解度 記述式の全3問(3点満点) 注意点に関する理解度 選択式の全3問(1問につき選択肢2つ×3問=6点満点) 計測指標 注視に関する指標 注視平均時間(マニュアル確認中の注視1回当たりの平均持続時間) 10秒当たりの注視回数(紙と動画のマニュアルで確認時間が異なるため) これらに理解度テストの結果,主観評価項目(マニュアルのわかりやすさ)を加えたもの を指標として用いる 9

10.

実験結果(紙と動画の比較,t検定) 紙と動画でそれぞれ1名ずつ測定エラーが発生したため,6名ずつのデータを使用する 理解度に関する2つの指標のみ有意差が認められた(p<0.05) 10

11.

実験結果(相関係数の算出) 10秒あたりの注視回数 10秒あたりの注視回数 注視平均時間 加熱原理の理解度 注視平均時間 -0.31 加熱原理の理解度 注意点の理解度 0.20 0.33 -0.74 -0.52 0.52 注意点の理解度 注視に関する指標と理解度に関する指標の間での相関関係の算出を行い,加熱原理の理解度 と注視平均時間において有意な負の相関が見られた(p<0.01) 11

12.

実験結果(紙における注視行動観察) 6名中5名が動作原理についての説明の確認が不十分(下:確認が不十分だった実験参加者) 12

13.

残りの1名は動作原理,注意点それぞれについての説明箇所を他の5名よりも多く注視しており, 理解度テストの得点も高い(下;より多くマニュアルを注視していた実験参加者) 13

14.

考察 紙と動画の比較 理解度テストの結果で両条件間には有意差が確認されたため,改めて動画のマニ ュアルにおける有効性を得ることが出来た しかし,注視に関する有意差は確認することが出来ず,今回の実験の範囲では紙 と動画の条件において注視回数および注視時間に大きな差はないことが示唆され た 相関係数の算出 紙と動画の両条件を含めたデータで注視平均時間と加熱原理に関する理解度に有 意な負の相関がみられたことから,理解度が高いほど注視時間が短かく,容易に 理解できたと考える 14

15.

考察 注視行動観察 紙のマニュアルは紙面左側の動作原理についての説明を見たのち,右側の注意点 についての説明を読んでもらうことを想定したレイアウトであった 実際に動作原理について,十分に注視していた被験者は理解度が高かったため, 注意点についての説明を読む前に動作原理についての説明を読むことが重要であ ったと考えられる 動画では想定した順番に情報を提示できるため,ユーザの情報取得の順番がバラ バラになったり,未確認の部分が発生しにくくなる そのため,動画の方が理解度が高くなる傾向にあると考える 15

16.

まとめ 動画の理解度向上に対する有効性を改めて確認することが出来た 理解度の高さは注視平均時間に表れる可能性が示唆された 動作原理の確認の有無と理解度の関係性を視線計測機を用いて実 際に確認することができ,このことが動画の有効性を高める要因 の1つであると考えられた 16

17.

謝辞 今回の研究において,利用した紙と動画のマニュアルを製作・提供 によってご協力いただいた株式会社クレステック様に感謝します 17

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ご清聴ありがとうございました 黒田俊希(大阪市立大学居住環境学科) 土井俊央(大阪公立大学大学院生活科学研究科)