生成AIを右腕にする。〜ChatGPTでチームはどう変わるか?マーケティング・人材育成の現場事例

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March 15, 24

スライド概要

情報処理学会 第85回全国大会の「アジャイル開発オムニバス」での発表資料です。

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本業は永和システムマネジメント http://agile-studio.jp のアジャイル実践者。副業で福井県のCDO補佐官としてDX支援やってます。

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各ページのテキスト
1.

生成AIを右腕にする。 ChatGPTでチームはどう変わるか?マーケ ティング・人材育成の現場事例 2024年3月15日 永和システムマネジメント 岡島 幸男 情報処理学会第86回全国大会 アジャイル開発オムニバス 1

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福井県CDO補佐官 永和システムマネジメント 取締役CTO/ Agile Studio ディレクター 岡島 幸男 岡島 幸男 福井大学 非常勤講師(ソフトウェア工学) 2

3.

福井本社 ● 金融、医療、組込み(自動車) ● Web/Cloud、アジャイル開発 ● 社員 210名 WeWork 3

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本日お伝えしたいこと 1. 生成AIの活用を通じて実現できたこと(事例) 2. 生成AIの価値(AIが右腕になることで自己実現に近づく) 3. Agile&AI時代のWayOfWorking(スキル+マインドの重要性) 4

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生成AIで実現できたこと 5

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【事例:マーケティング】 Agile Studio見学者の関心を探れ! 6

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Agile Studioはアジャイル開発拠点 7

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Agile Studio 見学とは ● 開発現場のZoom中継 ● 事例紹介 ● ディスカッション ● 1.5~2時間 ● リアル(@福井市)見学も可能 https://www.agile-studio.jp/tour 8

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マーケティング担当としてやりたいこと ● 私は、Agile Studioのマーケティング責任者として、見学者(アジャイルに 関心のある層)が、どのようなことに課題感を持っているのかを知りたい。 これにより、Agile Studioのコンテンツをより良くすることができるからだ。 9

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分析対象データ ● Agile Studio見学者事前アンケート ○ 対象期間は2020年8月~2023年6月、回数にして120 ○ 事前に聞いた「Agile Studio見学時に質問したいことは何ですか?」 に対する、782件の回答 ○ フォーマットは自由(短いものもあれば、超長いものもある) 10

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ディスカッションテーマとなる様々な質問を ● フルリモートでメンバーと活動していますが、メンバーが今やっていることとリーダーが「今やっていてほしいこ と」の差が出ています。緊急の保守対応等、急な作業も入り込んでくるからというのもあると思うのですが、どの ように状況を共有するとメンバー内でのコミュニケーション取れるか、話したいです。 ● 現場感として、従来のウォーターフォール型と大きく異った部分(メリット・デメリット) ● 開発中の予算・工数管理の方法 ● Readyな状態のPBIの記述粒度 ● 品質はどのように担保、定義しているのか ● スクラム開発における各ポジションの技量の高め方。 ● WFからアジャイルに移行した際の手順について教えていただきたい 11

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一つ一つ分類してきた ● フルリモートでメンバーと活動していますが、メンバーが今やっていることとリーダーが「今やっていてほしいこ と」の差が出ています。緊急の保守対応等、急な作業も入り込んでくるからというのもあると思うのですが、どの ように状況を共有するとメンバー内でのコミュニケーション取れるか、話したいです。 【人・組織・コミュニケーショ ン】 ● 現場感として、従来のウォーターフォール型と大きく異った部分(メリット・デメリット) 【なぜアジャイル・得手不得 手】 ● 開発中の予算・工数管理の方法【予算・契約】 ● Readyな状態のPBIの記述粒度【アジャイル・Scrumの中身】 ● 品質はどのように担保、定義しているのか【品質】 ● スクラム開発における各ポジションの技量の高め方。【採用・育成・評価】 ● WFからアジャイルに移行した際の手順について教えていただきたい 【アジャイルへの移行・定着・スケール】 12

13.

人間がやるのは大変面倒 ● 分類問題 ○ ざっくりどのような内容が書いてあるか、分類(カテゴリ化)できればよ さそう ● 傾向がつかめる程度の精度(性能)であればよい ○ 人間の分類結果に比べて、75%程度正解でOK 13

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学習と予想 ● Scikit-LLMによるFew Shot ● 教師データはChatGPTに 作ってもらう ● GPT-4を利用 14

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ChatGPTに教師データのベースを作ってもらう 各ラベル3つ 程度あれば OK 15

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検証用データの準備 人間がラベ ル付けする 16

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性能(32件での検証結果) パターン1 Accuracy: 0.62 Precision: 0.73 Recall: 0.62 F1-score: 0.65 パターン2 パターン3 Accuracy: 0.69 Precision: 0.70 Recall: 0.69 F1-score: 0.68 Accuracy: 0.72 Precision: 0.84 Recall: 0.72 F1-score: 0.73 17

18.

ビジネスゴール達成のための改善ループ 1. 評価結果を分析 a. AIと自分の違いを眺めて考えをすり合わせる b. 自分が何をやりたい・知りたいのか再検討 2. データの修正 a. 分類(ラベル)の見直し b. Few Shotとして与える件数の見直し(※ 何を訓練データ≒Few Shotとするかはランダムにする) 3. 評価 4. 1.に戻る 18

19.

考えのすり合わせ 19

20.

性能(71件での検証結果) パターン1 Accuracy: 0.77 Precision: 0.81 Recall: 0.77 F1-score: 0.78 パターン2 Accuracy: 0.80 Precision: 0.83 Recall: 0.80 F1-score: 0.79 パターン3 Accuracy: 0.83 Precision: 0.86 Recall: 0.83 F1-score: 0.84 20

21.

生成AIの分析による見学者の関心ごと 21

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結果 ● ビジネスゴール(75%の正確性)は達成できた ○ LLMとの継続的な対話(すりあわせ)重要 ○ 継続的なラベルの見直しは、性能に寄与するだけでなく、人間に新し い気づきも与えてくれる ● わかったこと ○ 処理時間結構かかる(782件 GPT-4で40分程度かかった) ○ それでも人間がやることに比べたら圧倒的効率性(データはどんどん 増え続けるので、なおさら) 22

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効果 ● マーケティングチームの負荷軽減 ● 「仕事に生成AIを活用して良いのだ」というチームの意識変化 23

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【事例:文書生成】 新入社員向け講義資料を作れ! 24

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永和システムの取締役としてやりたいこと ● 私は、新入社員に、今の時代に必要な Way of Working や技術に対す る取り組み方について伝えたい。激動の中でも成長し自己実現してほしい からだ。 25

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例:こんな感じのスライドを自動生成さ せた AI時代のソフトウェア開発者に 必要なマインドセット 26

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例:こんな感じのスライドを自動生成さ せた マインドセットの重要性 ● AI技術の急速な進化に対応するためには、柔軟なマインドセットが必要 ● 新しい技術やアルゴリズムに対してオープンな姿勢を持つ ● 常に学び続け、自己啓発を意識する 27

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例:こんな感じのスライドを自動生成さ せた データ志向のマインドセット ● AI開発においては、データが重要な要素となる ● データの収集・分析・活用に関する知識を持つ ● データに基づいた意思決定を行う能力を養う 28

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例:こんな感じのスライドを自動生成さ せた チームプレイのマインドセット ● AI開発は複数人でのチームプレイが必要 ● コミュニケーション能力を高め、円滑なチームワークを築く ● 他のメンバーとの協力や意見交換を積極的に行う 29

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結果と効果 ● 講義の途中でネタ晴らし ○ 誰もAIが生成したものだとは気が付かなかった ○ 本当に伝えたいことは、ネタ晴らしの後で伝えました ● ゼロから講義内容を企画し資料を作成するのに比べたら、圧倒的な効率 性(タイムパフォーマンス) ● 伝えたいことが伝えられたのが一番の効果 スライド生成プラグイン :https://github.com/HappymanOkajima/gpt-slide 30

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【事例:チャットボット】 私の代わりに問い合わせに対応して! 31

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永和システムのAI推進担当としてやりたいこと ● 私は、社員にChatGPTやOpenAIなどの技術を広く活用してほしい。その ために必要な補助は会社から行いたい。 ○ チャットボット作って、事務的な対応を任せてみた 32

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結果と効果 ● 良い感じで代わりに回答してくれている ○ 質問と回答のパターンはメンテナンスする必要あり ● 全部私が対応するのに比べたら ○ 効率は相当向上(とはいえ、大切なことは人間が対応) ● 活用事例とすることで、ChatGPT補助を利用する社員が増え、AIリテラ シーが向上するという効果 33

34.

【事例:文章生成】 女子高校生にデータ分析を教える! 34

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「ふくいGirls未来のテックリーダー」 ● 福井県の理工系分野への大学進学にお いて、女子の進学率が低い ● 女子高校生を対象に実践的なデジタル スキルを身につける機会を提供 ● 首都圏研修や地元企業・大学との連携 を通じてスキルを磨く ● 女子生徒のテクノロジーへの興味や関 心を高めるプロジェクト 35

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文章生成AIで教科書を作成 ● Python基礎および、データ分析 ● 手引きおよび、サンプルコード ● これにより大幅に作業を効率化すること ができ、ボランティアメンバーの参加意 欲を高められた ● 参加者(生徒)からも好評 36

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【事例:文章生成】 自治体のデジタル化を支援! 37

38.

文章生成AIでITパスポート試験向けの手引き作成 ● 福井県の特定自治体向け ● ITパスポート試験合格に向けた支援 ● 生成AIにて作成作業を大幅に効率化で きた 38

39.

【事例:文章・画像生成】 オリジナルの アジャイルマーケティングゲーム 39

40.

クオリティの高い教育教材を素早くつくる ● ゲームのルールとカードデザイン を生成AIを活用して作成 ● 参加者から高い評価を獲得 40

41.

生成AIの価値 41

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生成AIが私にもたらした変化 ● テクノロジーの恩恵 ○ ⇒ 新しいスキルセット。時間の制約でできなかった、いろんなことが できるようになった ○ ⇒ 自分のマインドセットの再発見。自分の人生観や仕事における価 値観のみつめなおし ● 新しいスキルとマインドによる、新しいWayOfWorkingの自覚 42

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圧倒的に進化するAIのインパクトの裏側で https://arxiv.org/pdf/2303.18223.pdf 43

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働き方やその価値観も多様化 ● リモート勤務 ● 副業・兼業 ● ワーケーション ● アジャイル 44

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アジャイルさが求められる時代 ● ラリーカー ● 機敏なドライビングが必要 ● クラッシュの不安 ● タフ、でも、たのしい 全てが速く動き変わっていく世界における働 き方・考え方が欲しい 45

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私:副業で自分のスキルと経験を活かしたい ● 自治体をアジャイルに ● 地元福井への貢献 ● 新しいことへのチャレンジ 46

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AIで効率化することで人の右腕となる時間を作る 忙しい自分を AIにカバーして もらう 自分の能力を 誰かのために 使いたいという 想い 47

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Agile&AI時代のWayOfWorking 48

49.

レガシー右腕 ● 実行する ● ボスから選ばれる ● 忠実さ ボスを頂点とする階層的な関係性 49

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モダン右腕 ● 伴走する ● 自分から差し出す=自由 ● 誠実さ 誰とでもつながるネットワーク的関係性 50

51.

モダン右腕力 =Agile&AI時代をたのしくしたたか に生きるためのスキルとマインド 51

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モダン右腕力のバックボーン スキル AI マーケティ ング 自動化 ペアプログラミング Sprint バックログ OODA マインド アジャイル 透明性 勇気 対話 ソース 原理 システム思 考 チーム リスペクト 52

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マーケティング≒自己プロデュースのスキル ● 自分のやりたいこと・できる ことを知ってもらうスキル ● SNSの使いこなしも大切だ が ● 自分の想い・実績の言語化 と表現のほうがもっと大切 53

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ソース原理とシステム思考 ● 単純な因果関係だけで 物事を理解しない ● 重要なのは関係性 ● 物事をしなやかにした たかに進める力 54

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まとめ ● 生成AIは様々な領域で成果を出している ● 生成AIにより仕事が大幅に効率化することで、チームも個人も働き方が変 わる ● アジャイルさが求められる現代に生成AIはマッチする ● Agile&AI時代のWayOfWorkingとしての、モダン右腕 ● モダン右腕力を鍛えることで、たのしくしたたかに生きることができる 55