893 Views
January 15, 24
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
BingoFit: ビンゴ型衣服提示システムの 衣服の配置変化による選択の誘導性の検証 明治大学 青木由樹乃 中村聡史
背景 • ひとはいくつもの衣服を所有 • 女子大学生の衣服は平均 99.8枚 /人 「衣料の使用実態調査」について. 日本衣料管理協会, 2020 1
所有する衣服 実際に300着以上の衣服を所有 • お気に入りで頻繁に着るもの • 存在を忘れ、タンスの肥やしになるもの 2
背景:所有する衣服 ファッションに関するアンケート (対象:10~60代の男女54名) • 「いつも同じ服になりがち」 • 「持っている服でもっといい組合せが あるのではないか」 着用の偏り 所有する衣服を活かせていない 佐藤 彩夏, 渡邊 恵太, 安村 通晃. 姿を利用したファッションコーディネート支援システム 3 suGATALOGの提案と評価. 情報処理学会論文誌, 2012, Vol.53, No.4, 1277‒1284
研究の大目的 着用のワンパターン化、タンスの肥やし →所有する衣服を満遍なく着用 所有する衣服の活用を促進させる 着用する衣服・組み合わせバリエーション増加 コーディネートの幅を広げる 6
提案した手法 ビンゴ型衣服提示システム - BingoFit ‒ • 衣服が並べられたビンゴカードを提示 • 衣服を着用することでマス埋め、ビンゴをする 青木 由樹乃, 横山 幸大, 中村 聡史. BingoFit: 所有する衣服の活用に向けたビンゴゲーム型衣服提示システムの提案 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI195) Vol.2021-HCI-195, No.41, pp.1-8, 2021. 9
手法イメージ 11
手法イメージ 12
手法イメージ 13
手法イメージ 14
手法イメージ 15
手法イメージ リーチ 16
手法イメージ リーチ 17
手法イメージ リーチ 18
手法イメージ 19
BingoFitシステム 21
これまでの研究成果 ¡ プロトタイプで2週間の利用実験 Ø 衣服の活用を促進させることを示唆 Ø 季節や天候の大きく影響を受ける可能性 ¡ 3,5,9月の複数の季節に実験 Ø 一年中利用可能なシステム設計の検討 Ø 長期利用による活用促進の可能性 ¡ 多様なユーザに対し連続1ヶ月の長期利用 Ø 衣服の所持数によらずシステムが効果的なユーザが存在 Ø ファッションに対してポジティブな意識変化 Yukino Aoki, Kouta Yokoyama, Satoshi Nakamura. BingoFit: A Bingo Clothes Presentation System for Utilizing Owned Clothes, International Conference on Human-Computer Interaction (HCII 2023), Vol.CCIS, volume 1834, pp.10-16, 2023. 青木 由樹乃, 中村 聡史. BingoFit: ビンゴ型衣服提示システムの多様なユーザを対象とした検証, 信学技報, Vol.123, No.188, HCS2023-67, pp.59-64, 2023. 22
これまでの研究成果 選ばれるマスの傾向 ¡ カード中央のマスの選択率が高い ¡ ビンゴカード上で比較的距離の近いマスが 埋められている →ユーザはビンゴに有利なマスを優先的に埋める ビンゴのマスの特性を活かした選択の誘導 23
今回の目的・手法 ¡ ビンゴの特性を用いた選択の誘導の検証 ¡ 着用回数に応じた衣服の配置変化 ¡ 偏り解消に有効な配置を検討 24
配置アルゴリズム 手順① 登録された衣服から トップス・ボトムス・ オールインワンを ランダムに25着選定 25着のT:B:Aの割合は、 13:12:0, 12:12:1, 11:11:3 の中から所持枚数に従う 25
配置アルゴリズム 手順② 25着のうち、過去の 着用回数が最も少ない 衣服は中央のマスに配置 26
配置アルゴリズム 手順③ 25着の中で、過去に組み 合わせた回数をカウント 回数の多い4ペアを選定 四隅とマンハッタン距離 が大きく、行列を共有し ないマスに配置 27
配置アルゴリズム 手順③ 25着の中で、過去に組み 合わせた回数をカウント 回数の多い4ペアを選定 四隅とマンハッタン距離 が大きく、行列を共有し ないマスに配置 28
配置アルゴリズム 手順③ 25着の中で、過去に組み 合わせた回数をカウント 回数の多い4ペアを選定 四隅とマンハッタン距離 が大きく、行列を共有し ないマスに配置 29
配置アルゴリズム 手順③ 25着の中で、過去に組み 合わせた回数をカウント 回数の多い4ペアを選定 四隅とマンハッタン距離 が大きく、行列を共有し ないマスに配置 30
配置アルゴリズム 手順③ 25着の中で、過去に組み 合わせた回数をカウント 回数の多い4ペアを選定 四隅とマンハッタン距離 が大きく、行列を共有し ないマスに配置 31
配置アルゴリズム 手順④ 残りの衣服とマスは ランダムに配置 32
実験 ¡ BingoFitを利用したコーディネート実験 ¡ 夏に計8週間の実験を実施 Ø ランダム配置:2023年 7/3〜7/30 Ø 配置変化:2023年 8/14〜9/10 ¡ 実験後にアンケートを実施 Ø 毎週、着用した衣服やビンゴ計画について Ø 全実験終了後、ファッションに対する意識について 33
参加人数 ランダム配置(第1~4週):2023年 7/3〜7/30 ¡ 衣服の所有枚数に関わらず対象 ¡ 大学生・院生25名(男性17名、女性8名) 青木 由樹乃, 中村 聡史. BingoFit: ビンゴ型衣服提示システムの多様なユーザを対象とした検証, 信学技報, Vol.123, No.188, HCS2023-67, pp.59-64, 2023. 配置変化(第5~8週) :2023年 8/14〜9/10 ¡ 7月の実験協力者のうち夏服30着以上所有者 ¡ 大学生・院生7名(男性1名、女性6名) 34
結果:ビンゴカード ビンゴカードの結果(週平均) ビンゴ達成率(%) 埋めたマス数 ランダム期間 (第1~4週) 配置変化期間 (第5~8週) 52.0 32.1 8.5 7.6 35
結果:マスの選択率 分類したマスの選択率(%) ランダム 配置変化 期間 期間 ビンゴカード 中央のマス 48.0 39.3 四隅のマス 35.0 33.9 四隅の隣のマス 26.0 29.5 上記以外のマス 34.8 29.5 36
結果:マスの選択率 分類したマスの選択率(%) ランダム 配置変化 期間 期間 ビンゴカード 中央のマス 48.0 39.3 四隅のマス 35.0 33.9 四隅の隣のマス 26.0 29.5 上記以外のマス 34.8 29.5 37
結果:マスの選択率 分類したマスの選択率(%) ランダム 配置変化 期間 期間 ビンゴカード 中央のマス 48.0 39.3 四隅のマス 35.0 33.9 四隅の隣のマス 26.0 29.5 上記以外のマス 34.8 29.5 38
結果:中央のマス 配置変化期間に過去の着用回数が0回で 中央マスに配置された服の過去の提示回数 5週目 協力者A 協力者B 協力者C 協力者D 1 0 1 1 協力者E 協力者F 協力者G 0 4 6週目 1 1 3 1 4 1 1 :着用された 7週目 1 2 2 1 1 2 8週目 2 1 3 3 1 :過去の着用回数が0回ではない (チェンジ機能によって変更された) 39
結果:中央のマス 過去の着用回数が0回で 中央マスに配置された服の過去の提示回数 5週目 6週目 7週目 8週目 協力者A 1 1 1 協力者B 0 1 2 過去のカードに計4回 協力者C 1 3 協力者D 1 1 協力者E 4 協力者F 0 1 協力者G 4 1 :着用された 2 提示されたが一度も着ていない 2 1 6週目にカード中央のマスに 1 提示され、着用された 1 3 3 2 1 :過去の着用回数が0回ではない (チェンジ機能によって変更された) 40
結果:新しい組み合わせ 実験期間に組み合わせたコーデで 今までに着たことのない新しい組み合わせ 1週間に平均0.98セット 協力者Fの配置変化3週目に組まれた新しいコーディネート 41
結果:組み合わせと配置 ¡ このペアは過去に 2回組み合わされ、 遠いマスに配置された ¡ 同列の服と組まれ、ビンゴ ¡ 「ビンゴを一列作るため, 明日何着るかを考えて, 選択した 」 協力者Gの配置変化2週目のカード 42
結果:組み合わせと配置 ¡ このペアは過去に 2回組み合わされ、 遠いマスに配置された ¡ 同列の服と組まれ、ビンゴ ¡ 「ビンゴを一列作るため, 明日何着るかを考えて, 選択した 」 協力者Gの配置変化2週目のカード 43
考察 ¡ 一度も着ていない衣服を中央に配置したが 着用されたケースが多かった 着用回数の少ない服≠着用したくない服 着用のきっかけを与えることで 着用の偏りを解消できる 44
考察 ¡ どの協力者も新しい組み合わせが 複数発見されていた パターン化回避し、所有する衣服の活用を促進 配置位置と組み合わせに関しては さらなる検討が必要 45
まとめ 背景:所有する衣服の着用の偏り 目的:ビンゴの特性を用いた衣服選択の誘導 実験:着用回数に応じた配置のビンゴカードで コーディネート実験 結果:中央のマスの着用回数の少ない衣服を選択 新しい組み合わせが多く発見 考察:配置によって着用のきっかけを作ることで 着用の偏りを解消 47