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January 14, 26
スライド概要
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
ペンギンの腹部模様描画による 個体検索アルゴリズムの改善と 実験室実験および実地実験での検証 明治大学 総合数理学部 3年 高野閑 中川由貴 中村聡史 (明治大学) 0
背景 水族館や動物園 • 娯楽に加え、教育・研究・保全といった新たな機能 [WAZA][Spoonerら 2023] • 解説パネルなどに目を通す来館者は27% [Claytonら 2009] →動物を漠然と眺める傾向[Godinezら 2019][Daveyら 2006] • 能動的に動物を個体として認識する →記憶や学習に良い影響を与える[Claytonら 2009] World Association of Zoos and Aquariums(WAZA): Social Change For Conservation–The World Zoo and Aquarium Conservation Education Strategy, https://www.waza.org/priorities/community-conservation/the-ize-waza-education-strategy/ (2020). Spooner, S. L., et al.:The Value of Zoos for Species and Society: The Need for a New Model, Journal of Zoological and Botanical Gardens, Vol. 4, No. 1, pp. 100–110 (2023). Clayton, S., et al.: Zoo Experiences: Conversations, Connections, and Concern for Animals, Zoo Biology, Vol. 28, No. 5, pp. 377–397 (2009). Godinez, A. M. et al J.: What Is the Zoo Experience? How Zoos Impact a Visitor’s Perception, Frontiers in Psychology, Vol. 10, p. 1746 (2019). Davey, G.: Visitor behavior in Zoos: A review, Anthrozoos, Vol. 19, No. 2, pp. 143–157 (2006). 1
背景 • 我々はペンギンに着目 • 個体識別の手法としてフリッパーバンドが用いられてきた →生存率や繁殖成功への負の影響 [Sarauxら 2011] Saraux, C et al.: Reliability of Flipper-banded Penguins as Indicators of Climate Change, Nature, Vol. 469, No. 7329, pp. 203–206 (2011). 2
背景 • ペンギンの腹部を描画することで個体を検索する「ペンさく」を開発 [中川ら 2024] • 描画点を9要素のベクトルに変換 • 類似度からランキング表示 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 3 2 0 2 0 1 2 0 0 2 2 2 1 0 0 3 0 中川由貴,中村聡史:ペンギンの腹部模様に注目した斑点描画型検索・観察手法とその検証,情報処理学会論文誌,Vol. 65, No. 12, pp. 1842–1853 (2024). 3
目的 • 水族館での検証を行ってきた • 精度が悪いことがある →描画の斑点が境界線付近にあった 4
目的 • 水族館での検証を行ってきた • 精度が悪いことがある →描画の斑点が境界線付近にあった 領域境界線付近の揺らぎに強い アルゴリズムへ 5
正解データセット • 精度の検証をするためには正解不正解のラベルが必要 ? ペン子 正解データ 6
正解データセット ラボ実験データ[Nakagawaら 2024] フィールド実験データ[中川ら HCI214] • 実験協力者がスクリーン画像を 模写し、個体名を入力 • 実験協力者が正解個体を選択 →どの個体を描いているのかわからない • ユーザの選択に影響を受ける Nakagawa, Y. and Nakamura, S., Drawing-type Search Method Focusing on Penguin’s Abdominal Patterns, AVI 2024. 中川由貴,中村聡史ら:ペンさく:ペンギン描画型検索システムの実地検証,HCI-214,2025. 7
正解データセット ピンク ぽてと フィールド実験データ[中川ら HCI214] • 正解データを基準を設定 • 除外して266件→139件を分析対象 ・ バックヤードのペンギンが正解とされている ・ 斑点ではない文字や模様が描画されている ・ 正解のペンギンに対して、斑点数が明らかに多い/少ない など 中川由貴,中村聡史ら:ペンさく:ペンギン描画型検索システムの実地検証,HCI-214,2025. 8
提案手法〜複数のグリッドを使用〜 あるユーザの描画データとベクトル あるペンギンの個体ベクトル ・・・ 0.06, 0.60, 1.39, 0.65, 0.93, 0.62, 0.12, 0.37, 0.00 描画から分割ごとにベクトルを作成 9
提案手法〜複数のグリッドを使用〜 𝓖 = 𝟑, 𝟒, 𝟓 の場合 3x3 類似度 5x5 類似度 4x4 類似度 3x3類似度 + 4x4類似度 + 5x5類似度 = score 10
評価 • 推定されたランキングの上位k位以内に正解個体が含まれる割合であ るTop-k精度を評価指標に用いる • 2x2から5x5の全ての組み合わせで精度を検証 ラボ実験データ (1687件) フィールド実験データ (120件) 11
結果 ラボ実験 フィールド実験 Top-1 • 従来手法 𝒢 = {3} → 0.699 • 𝒢 = {3, 4, 5} → 0.889 Top-1 • 従来手法 𝒢 = {3} →0.308 • 𝒢 = {2, 3, 5} → 0.400 →約19%の改善 →約10%の改善 Top-1 𝒢 Top-2 Top-3 Top-1 𝒢 Top-2 Top-3 {3, 4, 5} 0.889 0.948 0.965 {2, 3, 5} 0.400 0.550 0.617 {3} 0.699 0.821 0.876 {3} 0.308 0.433 0.508 12
考察:分割数がランキング精度に与える影響 • 𝒢 = 3, 4, 5 は最も高い精度 →異なるグリッドを用いることで、描画の揺らぎを捉えることができた 𝒢 = 3, 4, 5 が最も提案手法においての統合に適している 13
考察:分割数を増やすと精度は上がる? • グリッドの分割数を段階的に増加させた場合の検索精度の変化を分析 • 𝒢 = 3 から 𝒢 = 3, … , 12 までTop-k精度を指標として評価 ラボ実験 • 3x3に対して、4x4の追加で 最も大きな精度改善 • 7x7の累積で飽和 14
考察:分割数を増やすと精度は上がる? • グリッドの分割数を段階的に増加させた場合の検索精度の変化を分析 • 𝒢 = 3 から𝒢 = 3, … , 12 までTop-k精度を指標として評価 フィールド実験 • ラボと同様に3x3に4x4を追 加で最も大きい精度改善 • 6x6までTop-1向上 • 7x7以降では精度が低下 15
考察:分割数を増やすと精度は上がる? • グリッドの分割数を段階的に増加させた場合の検索精度の変化を分析 • 𝒢 = 3 から𝒢 = 3, … , 12 までTop-k精度を指標として評価 グリッド数は5x5までで フィールド実験 十分であることが明らかになった • Top-1精度 • ラボと同様に3x3に4x4を追 加で最も大きい精度改善 • 6x6まで一貫した向上 • 7x7以降では精度が低下 16
考察:観察環境の違い フィールド実験での観察環境 草原エリア:地上で観察しやすい 描画件数:79 Top-1 :0.443 天空エリア:動き回るので観察しにくい 描画件数:41 Top-1 :0.366 17
おわりに • 適切なグリッド分割の設計 → ラボとフィールドの両方には 𝒢 = {3, 4, 5} を使用 • ラボ実験データにおける正解ラベルの再設計 → 再ラベリングによる評価の信頼性向上 • 描画順序や行動を考慮したアルゴリズム → 観察者の注目過程を反映した類似度評価 →水族館における能動的な観察体験のさらなる支援 18
まとめ 背景 | 従来手法における3x3の単一グリッドの境界問題 提案 | 複数のグリッドを利用し、揺らぎに強いアルゴリズムを作成 結果 | ラボ(+19%)、フィールド(+10%)という精度の向上 考察 | グリッドは5x5までで十分 19