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October 17, 23
スライド概要
JaSST nano vol.29 で発表した「QAスキルフレームワークとヒューマンスキルを考えるの」資料を公開します。
QAスキルアセスメントと ヒューマンスキルを考えるの 2023年10月17日 JaSST nano vol.29
PROFILE HOLLY (@engineer_holly) • JaSST Kansai 実行委員長 (’21~) • テスト設計コンテスト’23 OPENクラス 予選審査委員 2
AGENDA ⚫ QAスキルをアセスメントするためのフレームワークを作成した話 ⚫ その中で考えた「ヒューマンスキル」 • • • • • • • • Context~なぜQAスキルフレームワークが必要だと考えたか そして私は新潟へ飛んだ QAスキルフレームワーク 最後に追加されたヒューマンスキル QAヒューマンスキル QAスキルアセスメントの実施 スキル判定の工夫 最後に 3
CONTEXT~なぜQAスキルフレームワークが必要だと考えたか • • • • 内製QAチームが組織を横断しサービス展開をしていきたい QAに何ができるのかを知ってもらわないと、仕事が取れない、存続できない スキルマッチしたQAをアサインできた方がいい 自分たちが何をどこまで学べばいいかわからなければならない A事業部 B事業部 C事業部 品質保証担当 (SQA弱め) 未成熟QA QAいない 育成・コンサル テスト支援・ コンサル QA立ち上げ X事業部 QA Team 4
そして私は新潟へ飛んだ 作成に取り組んでいる最中、JaSST’23 新潟の以下のテーマが発表され、私は新潟へ飛んだ。 「QAスキルアセスメントを活用したQA標準化とQA人材育成」 現地にて、湯本 剛(ゆもつよ)氏やfreeeの技術者から貴重な話を聞く • どのような思いで作り、運用しているか • 実際にスキルアセスメント~オンボーディングを受けた人の話 • 実際に使用されている資料が見れた • 現地参加素晴らしい!! 5
QAスキルフレームワーク QAスキルフレームワークは以下の流れで作成した。 ① QAエンジニアの技術領域をテスト系とそれ以外で分けてみる ② 技術領域毎にさらに細分化する=スキルカテゴリ ③ スキルカテゴリ毎に、QAとしてスキル要件(スキルの使い方、”あるべき姿”が望ましい)を書き出す (「~を理解している」 「適切な技術を選択できる」といった具合) ④ スキル要件を満たすに何を学べばよいかを書き出す (アプローチ、技法名、規格など) ※作成期間・・・約1ケ月 技術領域 5領域 スキルカテゴリ スキル要件 (チェックリスト) 主な技術 判定基準 スコア化 計・27カテゴリ カテゴリ毎に作成 「あるべき姿」とは 何を学べば よいか --- 6
QAスキルフレームワーク 分けた技術領域は以下の通り。テストに偏らせず、開発工程の前後の業務を意識して作成した。 技術領域 テスト開発技術 Test Engineering Process ソフトウェア品質保証 Software Quality Assurance 説明 スキルカテゴリ テストにおけるアーキテクチャ設計から実装まで テストアーキテクチャ設計、 テスト自動化など、 のプロセス、及びテスト自動化 7カテゴリ 品質保証はリリースするプロダクト/サービスに QAレビュー、 運用・保守マネジメントなど 安心と信頼を与える 7カテゴリ Test Management テストフェーズにおいて、目的を正しく捉え、リ テスト計画など ソースを考慮した最善最適なプランニングができ 4カテゴリ る 品質データマネジメント 品質に関するデータを収集・分析し、改善に導く 品質メトリクスなど テストマネジメント Quality Data Management 開発スキル領域 Dev skill for QA 5カテゴリ QA活動をより効果的にするために必要な開発 モデリング技術、 コードリーディングなど スキル 4カテゴリ 7
最後に追加されたヒューマンスキル 『QAヒューマンスキル』は最後に追加された技術領域である。 技術領域 テスト開発技術 Test Engineering Process ソフトウェア品質保証 Software Quality Assurance テストマネジメント Test Management 品質データマネジメント Quality Data Management 開発スキル領域 Dev skill for QA QAヒューマンスキル Human skill for QA 説明 スキルカテゴリ テストにおけるアーキテクチャ設計から実装までのプロ テストアーキテクチャ設計、 テスト自動化など、 セス、及びテスト自動化 7カテゴリ 品質保証はリリースするプロダクト/サービスに安心と QAレビュー、 運用・保守マネジメントなど 信頼を与える 7カテゴリ テストフェーズにおいて、目的を正しく捉え、リソースを テスト計画など 4カテゴリ 追加した理由 考慮した最善最適なプランニングができる • 「QAってどんな人が向いている?」と、よく聞かれる 品質メトリクスなど 品質に関するデータを収集・分析し、改善に導く • ヒューマンスキルが技術スキルをさらに効果的にする 5カテゴリ かもしれない QA活動をより効果的にするために必要な開発スキル モデリング技術、 コードリーディングなど 4カテゴリ QA活動を円滑に行うための、対人関係能力及び意思 創造力、実行・実践力、 コミュニケーション 決定力 3カテゴリ 8
QAヒューマンスキル 『QAヒューマンスキル』の作成は、IPA発行の『i コンピテンシ ディクショナリ2022(iCD2022)』を 参考にQA向けにアレンジしたものである。 スキル分類 創造力 iCD 実行・実践力 コミュニケーション力 スキルカテゴリ 創造力 QA IT ヒ ュ ー マ ン ス キ ル スキル項目 問題発見力 問題分析力 仮説設定力 論理思考力 概念化力 俯瞰力 深耕力 継続力 革新力 相手の考えを理解する力 自分の考えを伝える力 共感を呼ぶ力 ヒ ュ 実行・実践力 ー マ ン ス キ ル コミュニケーション力 ヒューマンスキル要件 問題発見力 問題分析力 仮説設定力 論理思考力(ロジカルシンキング) 概念化力 遂行力 忍耐力 行動力 革新力 理解力 伝達力 エンパシ― 調整力 瞬発力 9
QAヒューマンスキル ~ 抜粋:コミュニケーション ヒューマンスキル要件のスキル=技術ではなく、要件を”意識付けできているか”が判断基準となる。 そのため結果を付けるのが難しい。スキル要件が満たされないことによるトラブル事例がなかったか、 振り返りながら行うことを想定している。 技術 領域 QA ヒ ュ ー マ ン ス キ ル コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 力 スキル カテゴリ 評価基準:意識できているか? ヒューマンスキル要件 理解力 過去の出来事を振り返ってみる 相手の考えを正しく理解できる ☞ 中途半端な仕様理解で進めた結果、テストミスが発生した 伝達力 自分の考えを齟齬なく伝えきることができる ☞ テストの目的や内容を何回も聞かれる エンパシー 相手の立場を理解した言動と振る舞いにより、共感を得ることができる ☞ バグ検出に熱中して我を忘れる ☞ バグ検出時に、実装した開発者の隣で不用意な発言をする 調整力 意見の相違がある場合、折衷案の立案などで場を収めることができる ☞ QAが会議に呼ばれない、疎外感がある 瞬発力 相手の言葉を受け、次の会話に繋げたり、議論を広げることができる ☞ 会議やレビューでの沈黙の時間が長く、早く終わってほしい感が常に漂っている 10
QAスキルアセスメントの実施 QAスキルアセスメントの実施手順は以下の通り。 ① セルフアセスメントでスキル要件の達成/未達をチェックする ↑ [Point] 達成度合いのみでは評価しない(未達の項目があっても最高評価があり得る) ② 知識・経験の習得状況についてコメントを書く ↑ [Point] 詳細に書いておくことで、自分自身が振り返ることができる ③ スキルカテゴリ毎に①・②の情報をもとにレベル付けする ④ 1on1 ミーティングにて最終判定 QAスキルチャート Sample ⑤ QAスキルチャートが自動生成 テストマネジメント - Test Management 100% 75% ヒューマンスキル * - Human skill for QA 50% テスト開発技術 - Test Engineering Process 25% 0% ソフトウェア品質保証技術 - Software Quality Assurance 開発スキル領域 - Dev skill for QA 完成! 品質データマネジメント - Quality Data Manageme nt 知識Lv 実践Lv 11
スキル判定の工夫 スキルを習得した状態の定義を、「知識があり、それを実践できていること」であると考え、 アセスメント結果を知識レベルと実践レベルに分けたレーダーチャート(QAスキルチャート)を作成する。 チャートをもとに、知識レベルと実践レベルのギャップを埋めるように成長戦略として具体化していく。 QAスキルチャート Sample テストマネジメント - Test Management 知識レベル 実践レベル 5段階評価 5段階評価 100% 75% ヒューマンスキル * - Human skill for QA 50% テスト開発技術 - Test Engineering Process 25% パターン 読み解き方と対策 知識Lv=実践Lv 知識が実践されている、 高ければ理想の状態 知識Lv>実践Lv 実践経験が足りない タスクを見直し機会を与えましょう 知識Lv<実践Lv 知識が追い付いていない 勉強しましょう! 0% ソフトウェア品質保証技 術 - Software Quality Assurance 開発スキル領域 - Dev skill for QA 品質データマネジメント - Quality Data Man agement 知識Lv 実践Lv 12
スキル判定の工夫 ~ ヒューマンスキルの場合 ヒューマンスキルでは知識ではなく意識付けの度合いと、行動結果(思った結果になるか)で評価する。 QAスキルチャート Sample テストマネジメント - Test Management 意識レベル 実践レベル 3段階評価 3段階評価 100% 75% ヒューマンスキル * - Human skill for QA 50% テスト開発技術 - Test Engineering Process 意識Lv=実践Lv 高ければ理想の状態 0% ソフトウェア品質保証技 術 - Software Quality Assurance 意識していても、結果にギャップがある 意識Lv>実践Lv 空回りしている? 意識Lv<実践Lv 品質データマネジメント - Quality Data Man agement 読み解き方 意識付けと、行動によるギャップがない 25% 開発スキル領域 - Dev skill for QA パターン 意識Lv 実践Lv 意識せずに行動できている 意識すればもっと良くなるかも! 13
最後に QAスキルフレームワークの作成は、 「自組織のQAとしてあるべき姿」を考えるきっかけになった。 「QA=テスト」と括らないことで、テスト以外の品質向上の手段や 開発工程の前後を捉えることができた。 ヒューマンスキルの活用方法の検討はこれから。 (他の技術領域との関連性があるか?、など) ※本資料のQAスキルフレームワークは、もし要望が多ければ、 スキル項目詳細まで含めた全資料の外部公開も検討し、有識者で議論していきたい。 14