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May 08, 23
スライド概要
AI・IoT等の技術の進展によって、イノベーション競争の主戦場は、単なるものづくり、あるいは単なるソフトウェアから、ソフトウェアとハードウェアを融合してプロダクト・サービスを提供する「ソフト・ハード融合領域」に移りつつあります。
しかしながらスタートアップが「ソフト・ハード融合」のプロダクト・サービスを世に送り出すためには、これまで以上に多岐に渡るプレーヤーとコラボレーションをしながら活動をしていかなければなりません。
このケーススタディは、スタートアップとコラボレーションを行う"共創パートナー"との連携を成功させるためのポイントや取組事例を紹介しています。
スタートアップはもちろんのこと、スタートアップとコラボレーションをしたいと考えている企業、地方自治体、金融機関、その他関連事業者の方々も、このケーススタディを読んで、連携のポイントを理解して貰えれば幸いです。
"旗"を掲げ、挑戦したい人を応援するメディアです。 第一線で挑戦する人のインタビュー・コラム、政策・ビジネスに関するレポート、公募の情報など、「じっくり読みたくなる」情報をお届けしています。note:https://flag.jissui.jp/ | 運営会社JISSUIの情報はこちらから→ https://jissui.or.jp/
UIDE Startup Factory LINE LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G LINE Startup Factory UIDE G G LINE G LINE G LINE G LINE G LINE Startup Factory UIDE LINE Startup Factory G Startup Factory UIDE Startup Factory UIDE LINE UIDE G UIDE Startup Factory LINE Startup Factory G Startup Factory UIDE Startup Factory UIDE LINE UIDE G UIDE Startup Factory LINE Startup Factory G Startup Factory UIDE Startup Fa UI G LIN Startup Fa UI G LIN Startup Fa UI G LIN Startup Fa UI G LIN Startup Fa UI G LIN Startup Fa UI G LIN Startup Fa UI LINE UIDE G Startup Design/ Manufacturing Key points of collaboration between startups and co-creation partners toward the realization of an ecosystem Demonstration Intellectual Property Management W e b サイトは こちら! LINE LINE LIN Startup Factory Case study book LINE G Startup Factory UIDE G UIDE Rule Making Startup Factory テム構築事業)」に係る社会実装ガイドラインの更新および普及啓発に係る業務支援として、一般社団法人 社会実装推進センターを実施機関 とし、業務の一部を株式会社野村総合研究所に委託のうえ、作成したものです。 Finance UIDE G G 本ガイドラインは、経済産業省 令和3年度「グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業費補助金 (ものづくりスタートアップ・エコシス G Startup Factory UIDE LINE Startup Factory LINE Startup Factory Ecosystem Building LINE UIDE G G UIDE G Distribution Startup Factory LINE LINE G スタートアップと 共 創 パ ートナ ー が 共 存 共 栄 し合 える「エコシステム 」を築くことが、 イノベーション の 加 速 に 欠 か せ ませ ん 。 UIDE G Startup Factory UIDE Startup Factory LINE Startup Factory UIDE Startup Factory UIDE LINE G G LINE UIDE LINE Startup Factory ケーススタディ G Startup Factory UIDE UIDE G スタートアップと 共創パートナーの連携 LINE Startup Factory LINE ソフト・ハード融合 Startup Factory UIDE G LINE LINE Startup Factory G G G UIDE Startup Factory G UIDE LINE LINE G UIDE LINE G Startup Factory UIDE Startup Factory Startup Factory UIDE UIDE LINE LINE Startup Factory Startup Factory Startup Factory Startup Factory G UIDE UIDE LINE G G G UIDE LINE LINE LINE G Startup Factory Startup Factory G UIDE LINE LINE G UIDE G UIDE LINE Startup Factory G Startup Factory UIDE LINE Startup Factory Startup Factory UIDE G UIDE LINE Startup Factory LINE LINE Startup Factory UIDE Startup Factory Startup Factory UIDE G Startup Factory G UIDE Startup Factory UIDE UIDE LINE UIDE LINE UIDE LINE G G LINE LINE Startup Factory G G G UIDE LINE LINE LINE LINE Startup Factory G G Startup Factory Startup Factory G UIDE Startup Factory LINE LINE G UIDE G UIDE LINE G UIDE G Startup Factory G LINE LINE Startup Factory LINE UIDE G Startup Factory LINE Startup Factory Startup Factory G UIDE Startup Factory LINE UIDE G Startup Fa UI G Startup Factory LINE UIDE Startup Factory G UIDE Startup Factory G UIDE LINE UIDE LINE Startup Factory G UIDE Startup Factory Startup Factory G UIDE LINE UIDE G UIDE LINE Startup Factory LINE Startup Factory LINE Startup Factory G UIDE G Startup Factory UIDE Startup Factory G UIDE LINE UIDE G UIDE G Startup Factory Startup Factory UIDE LINE Startup Factory LINE LINE UIDE UIDE LINE Startup Factory G UIDE G Startup Factory Startup Factory Startup Factory Startup Factory G UIDE LINE UIDE G UIDE UIDE LIN G G G UIDE LINE LINE G Startup Factory LINE LINE G UIDE G Startup Factory G LINE UIDE G Startup Factory LINE LINE Startup Factory LINE UIDE G Startup Factory G G UIDE G Startup Factory LINE UIDE LINE LINE UIDE G Startup Factory G Startup Factory LINE UIDE LINE G UIDE G Startup Factory G LINE UIDE LINE Startup Factory G G UIDE ソフト・ハ ード 融 合スタートアップと共 創 パ ートナー の 連 携 につ いて、 連 携を成 功させるた め のポイントや取 組事例を 紹 介しています。 UIDE Startup Factory LINE ver. 2022 年 3 月
ソフト・ハード融合領域のスタートアップのエコシステム AI・IoTの進展等により、ソフトウェアとハードウェアを融合してプロダクト・サービスを提供する「ソフト・ハード融合」 (以下、 「SH融合」)領域がイノベーションの主戦場になりつつある。 本ガイドラインで伝えたいこと/本ガイドラインの想定読者 本ガイドラインの想定読者は、SH融合領域での社会実装に関心のあるスタートアップ、スタートアップとの連携を検討してい る・あるいは今まさに連携を進めている共創パートナー(事業会社や地方自治体)である。 本ガイドラインは、SH融合領域のスタートアップ、およびスタートアップと連携する「共創パートナー」が、共存共栄しながら 成長し合えるような「スタートアップ・エコシステム」の発展を目指して作られたものである。 SH融合領域の「スタートアップ・エコシステム」に必要な機能は、以下の7つの機能に大別される。各機能に関する目指す姿と 変 化 の 方 向 性 は 、別 紙「「 ソフト・ハ ード 融 合 」領 域 に お け る ス タ ートアップ と 共 創 パ ートナ ー の 連 携 の ポ イント 」 (https://startup-f.jp/guideline̲jissou/separate/)を参照されたい。 本ガイドラインは、別紙の内容も踏まえて、SH融合領域で社会実装を進めるスタートアップと共創パートナーの連携のポイン スタートアップ トを、実際の各社の取組事例や、有識者へのインタビュー結果を踏まえて、両者の視点から取りまとめたものである。 エコシス 事業会社 地方自治体 テムの各機能のうち、特に「Demonstration」、 「Distribution」に着目して取りまとめを行っている。 プロダクト・サービスの社会実装を進 スタートアップとの連携に関する活 スタートアップとの連携に関する活 める際の共創パートナーとの関係構 動のポイントを理解する。 動のポイントを理解する。 築、連携のポイントを理解する。 Ecosystem Building 共創パートナーとコミュニケーショ ンをとる際に、ガイドラインを参考に スタートアップとコミュニケーション スタートアップと共創パートナーと をとる際に、ガイドラインを参考にし の連携に関する課題を把握し、エコ ながら目線合わせを行う。 システム発展のための方針検討の 参考とする。 しながら目線合わせを行う。 Design / Manufacturing Ruke Making 本ガイドラインの読み方 本ガイドラインでは、必要な情報にたどり着きやすくするため、3種類のINDEXを用意している。INDEX AとBには、本ガイドラインの 掲載事例だけでなく、SH融合領域の社会実装に造詣の深い有識者へのインタビュー記事(本事業のウェブサイトに掲載)のリンクが 量産 ついている。読者の皆さまには、これらのINDEXをご覧いただき、興味のあるコンテンツからご覧いただきたい。また、初めて読む方 ルールメイキング 設計・試作 は、スタートアップと共創パートナーの連携のポイントを俯瞰できる「INDEX A」に、まず目を通していただきたい。 規制対応 連携先との契約・交渉 Demonstration 実証フィールドの確立 知財戦略の検討 IP Management 顧客価値・安全性 等の検証 販売試験 販売体制の確立 創業〜事業拡大の 連続的なファイナンス おすすめ INDEX A INDEX B INDEX C スタートアップと 共 創 パ ートナ ー の 連 携 の ポ イント スタートアップ・エ コ システム の 類 型 掲 載して い る 事 業 者 名 本ガイドラインで具体事例を紹介し スタートアップと共創パートナーそれ スタートアップのビジネスモデルによる、 ぞれの連携のポイントのエッセンス 社会実装に向けた活動のポイントや共創 ているスタートアップや共創パート が整理されている。 パートナーの違い等が整理されている。 ナーが整理されている。 各ポイントに関連する具体事例やインタ 各類型の重要なアクションと活動のポイン 各事業者に関連する具体事例にた ビュー記事にたどり着くことが可能。 トから、具体事例にたどり着くことが可能。 どり着くことが可能。 P.05-10 本紙 本紙 P.03-04 本紙 P.11-12 量販 Distribution Finance CASE スタートアップと 共 創 パ ートナ ー の 取 組 事 例 本紙 01 CASE STUDY BOOK P.15-34 スタートアップと共 創 パ ートナー の 連 携 に 関 する有 識 者へ の インタビュー 記 事 本紙 P.13 本事業 Web サイト CASE STUDY BOOK 02
本ガイドラインで紹介する事例や、有識者へのインタビュー結果を通して抽出された、スタートアップと共創パートナー(事業会社・自治体)の活動 スタートアップと共創パートナーの連携のポイント INDEX A のポイントは、以下のとおり。関心のあるポイントを中心に、本ガイドラインの事例や有識者へのインタビュー記事の詳細内容をご覧いただきたい。 複数の顧客・ユースケースでの可能性を模索する スタート アップ 「水先案内人」を介して共創パートナーに出会う スタート アップ SH融合領域は、ハードウェアがあるが故に社会実装に長い期間が必要になり、また、ニーズが無かった SH融合領域の場合、スタートアップ連携の経験が少なく、スタートアップが直接接点を持つことが難しい共創パート 時の「手戻り」も大きい。そのため、リスク分散の観点からも、複数の顧客・ユースケースの可能性を同時 ナーが多い。そのため、そのような共創パートナーとの接点を有する「水先案内人」を通したアプローチが重要である。 並行的に模索するのが王道である。 本紙 本紙 P.15-P.16 複数ユースケースでの社会実装可能性の探索 本紙 P.17-P.18 複数ユースケースを想定した製品開発 A -1 A-2 P.19-P.20 「水先案内人」を介した協力関係の構築・販路開拓 現場が求める「レベル」を理解する 事業会社 SH融合スタートアップとの実証の先には、店舗・工場・倉庫等の「現場」へのプロダクトの導入を進めることになる。 実証を成功に導くためには、現場が求める性能や安全性等に関する「レベル」を理解しておくことが重要である。 「ポートフォリオ」で考える 事業会社 SH融合領域は、特にスタートアップ連携の成果が出るまでに長い期間を見込む必要があるため、1社と の成功事例を確実に積み上げていては競争環境の変化に対応できない。複数の案件から成功事例を創 る「ポートフォリオ」で考えることが重要である。 本事業 Web サイト 社会実装 プランを 構想する 協力関係 を構築 する 本事業 Web サイト 栗田氏インタビュー/スタートアップ連携の前に、事業部の課題・ニーズを知る 地域課題を発信する/「地方の雄」との仲介役を担う 地方 自治体 牧野氏インタビュー/大企業のスタートアップ投資・新規事業開発に必要な「橋渡し」機能 ハードウェアを介して課題を解決するSH融合領域と地域課題の親和性は高いが、スタートアップと自治 体が接点を持つ機会は多くない。自治体から積極的に課題を発信することが重要である。また、各地域 で確かな事業基盤を持ちリスクを取れる一方で、スタートアップ連携の機会に恵まれない、 「地方の雄」 共創パートナーとの関係を見直し、 「次の一手」を模索する スタート アップ を積極的に紹介することも有効である。 実証・協業を進めることで、協業の範囲を拡大する(販売規模を増やす、新たなユースケースに挑戦する 等)可能性も広がってくる。自社の成長ステージに応じて、共創パートナーとの関係を定期的に見直し、 関係を発展させるか、それとも別の顧客・ユースケースにリソースを振り向けるかを判断することが求め 本事業 Web サイト 小林氏インタビュー/スタートアップを呼び込む地域課題発信の秘訣 本事業 Web サイト 長谷川氏インタビュー/今、地場企業の情報を伝える仲介者が必要とされている られる。 本紙 P.31-P.34 A-4 事業会社 相手の行動原理・組織力学を理解する スタート アップ スタートアップと共創パートナーの関係性の進化に関する事例 A-3 特にスタートアップ連携に慣れていない共創パートナーとの連携においては、エンジニアリング的な問 題解決のアプローチだけで実証・協業を成功させることは難しい。相手の行動原理・組織力学を理解し、 「ピッチャー・キャッチャー問題」を解決する 尊重した上でコミュニケーションを取ることが、共存共栄の関係を確立する上で何より重要である。 SH融合スタートアップと連携する企業の中にはオープンイノベーションの経験が少ない企業もいるが、 そのような企業ほど「ピッチャー」 (新規事業部門)と「キャッチャー」 (事業部)が接続されておらず、実 証から事業化に移行することに苦労している。これに対して、経営トップのコミットメントによる組織構 造・人員構成の見直しが必要である。 本事業 Web サイト 本紙 関係性を 進化させる 実証・協業 を進める 小林氏インタビュー/スタートアップを呼び込む地域課題発信の秘訣 本事業 Web サイト 長谷川氏インタビュー/今、地場企業の情報を伝える仲介者が必要とされている 青木氏インタビュー/メーカー企業とソフト・ハード融合スタートアップの連携の可能性 スタートアップのプロダクト・サービスを採用する SH融合スタートアップのプロダクト・サービスを実際に採用し、地域課題の解決等に活用可能であるこ とを示すことが、スタートアップの社会実装への何よりの支援になり、それが地元企業であれば地域産 業の活性化にも繋がる。 本事業 Web サイト 03 CASE STUDY BOOK 栗田氏インタビュー/スタートアップ連携の前に、事業部の課題・ニーズを知る スタートアップと共創パートナーの実証・協業の推進に関する事例 本事業 Web サイト 「Innovation Integrator」を見出す 事業会社 地方 自治体 P.21-P.34 社会実装に長い期間を要するSH融合スタートアップとの連携を円滑に進めるためには、経営と事業部 の両方の理解を得て、また期待値をコントロールしながらプロジェクトを推進することができる人材がよ り重要である。そのような、いわば「Innovation Integrator」を、理想的には社内から見出すことがで きるかが、プロジェクトの成否を握る。 本紙 P.25-P.26 本事業 Web サイト 企業の行動原理・組織力学を踏まえたコミュニケーション 牧野氏インタビュー/大企業のスタートアップ投資・新規事業開発に必要な「橋渡し」機能 CASE STUDY BOOK 04
地域に根付く事業者(特に一次産業の担い手)が抱える、人手不足や作業非効率といった問題の解決のために、 スタートアップのプロダクト・サービスが貢献する。この類型では、地域に根付いて活動する事業者との連携が必 要である。農家や漁師等がユーザーになる場合は、地域のハブ人材・組織や地方自治体による、関係構築や実証 推進の協力が必要不可欠である。また、現行の業界のルールや地域特有の「ローカル・ルール」を踏まえてプロ ダクトの改善や実証を推進しつつ、規制緩和・標準化等を目指す「ルールメイキング」も視野に入れて活動を進 めることが重要である。 Ecosystem Building 地 域 の ハブ人 材・組 織 (例:大 学 の 研 究 者、地 域 VC 等 ) B -2 社会インフラ・プラットフォームの創造 | Consumer × Community 地域住民が利用するような公共性の高い空間における課題を解決するために、スタートアップのプロダクト・ サービスが貢献する。この類型では、プロダクト・サービスに関する利便性や安全性等に関する理解を得て「社会 受容」を獲得するための活動が特に重要である。社会受容を獲得するためには、実証、活動成果の発信、現行の 法規制対応、規制緩和のためのルールメイキング等を、同時並行的に推進する必要がある。 政 府・所 管 省 庁 等 ・ スタートアップと共創パートナーの引き合わせ ・ その他、地域発の事業展開の支援 Rule Making Rule Making ・ スタートアップと共創パートナーの引き合わせ ・ その他、地域発の事業展開の支援 事 業 会 社( 実 証・協 業 パ ートナ ー) 地 方自治 体 ・ 地域に根付く事業者の紹介 ・ 規制対応・ルールメイキングの協力 Demonstration ・ 実証・協業における連携 ・ 上記活動において必要なリソース・アセットの提供 Demonstration 地 域 に 根 付く事 業 者 地 方 自 治 体( 実 証・協 業 パ ートナ ー) ・ 実証フィールドの提供 ・ スタートアップへのフィードバック Distribution 本紙 本紙 INDEX B-2 「Consumer × Community」の活動のポイント P.08 一 般消費者の課題 業種・業界課題の解決 | Business × User B-4 Consumer ユーザーのウェルビーイングの実現 | Consumer × User 特定の業種・業界における既存サービスの効率化・自動化、あるいは新規事業の開発等の実現のために、スター ユーザー(一般消費者)の課題を解決し、その人の健康や幸福度を向上させるような、新たなプロダクト・サービ トアップのプロダクト・サービスが貢献する。この類型では、スタートアップと事業会社の緊密な協力関係と、事業 スを創り出す。この類型では、ユーザーからの受容を獲得するために、プロダクトの効果や安全性等を証明する 化までのスムーズな移行が活動の成否を握る。スタートアップは、事業会社の行動原理・組織力学を理解し連携を エビデンスが必要である。そのために、スタートアップと大学・研究機関等が連携し、共同研究等を推進する。ま 進めることが求められる。事業会社は、同じくスタートアップの行動原理・組織力学を理解した上で、同時に社内の た、販路開拓・拡販のための活動(含むマーケティング活動)が重要である。初期はスタートアップ単独で活動を 関係者の巻き込み・期待値コントロールも行いながら、プロジェクトを推進することが求められる。 進めることも多いが、社会実装に向けては、ユーザー接点を有する共創パートナーとの連携が必要である。 ・ 実証・協業の意思決定 Demonstration 現場担当者 Distribution CASE STUDY BOOK INDEX B-3 「Business × User」の活動のポイント Demonstration 販 売 パ ートナ ー/ 製 造・販 売 パ ートナ ー( 事 業 会 社 、そ の 他 ) ・ 製品販売に関する連携等 Distribution 本紙 P.10 INDEX B-4 「Consumer × User」の活動のポイント User P.09 ・ 実証フィールドの提供 ・ プロダクト・サービスへのフィードバック User 本紙 新 規 事 業 担 当・O I 担 当 等 ・ 実証・協業内容の設計 ・ 関係者の巻き込み・案件リード 大 学・研 究 機 関 ・ 共同研究等によるエビデンスの蓄積 特定の組織・個人の課題 経 営 層( 決 裁 者 ) 特定の組織・個人の課題 事 業 会 社( ユー ザ ー) 05 ・ 実証・協業における連携 ・ 上記活動において必要なリソース・アセットの提供 企業の課題 Business B-3 Distribution INDEX B-1 「Business × Community」の活動のポイント P.07 Community 共同体の課題 地域産業の発展 | Business × Community 顔触れ、連携に関する「あるある問題」を類型化している。関心のある類型・ 「あるある問題」から、ご覧いただきたい。 Community 共同体の課題 B -1 本ガイドラインでは、スタートアップのプロダクト・サービスが解こうとする課題の特性によって、社会実装の要諦、共創パートナーの スタートアップ・エコシステムの類型 INDEX B CASE STUDY BOOK 06
地域産業の発展( B u s i n e s s × C o m m u n i t y ) I N D E X B -1 I N D E X B -2 各各類型の重要アクションと活動のポイント 類 型 の 重 要 アクションと 活 動 の ポ イント 地 域プレ イヤーとの 関係構築 社会インフラ・プラットフォームの創造( C o n s u m e r× C o m m u n i t y ) 各類型の重要アクションと活動のポイント スタートアップは、地域のハブ人材・組織や地方自治体と連携し、地域に根付く事業者(農 社 会 受 容 に向けた 多面 的な 検 討 業等の事業者)との信頼関係を構築し、実証フィールドの提供を相談する。その際に、頭 でっかちにならず、相手の懐に入るようなウェットなコミュニケーションが重要である。 スタートアップは、プロダクト・サービスに関する「社会受容」を獲得するために、他の類 型に比べても多くのプロジェクトを同時並行的に進める必要がある。その際に、各プロ ジェクトに閉じたフィードバックではなく、プロジェクト間で相互にフィードバックをする仕 組みを構築しておくことが重要である。 地域のハブ人材・組織や地方自治体は、スタートアップと地域に根付く事業者を引き合わ せ、必要に応じ両者の目線合わせ等を行うことで、関係構築をサポートする。地域課題の解 決に向けて、主体的にスタートアップ・コミュニティに向けた発信を行うことも重要である。 地域に根付く事業者は、スタートアップのミッション・ビジョンに共有できる場合には、実証 に関して協力を意思決定する。協力したいがリソースが足りない場合等は、補助金の活用 など、他に活路が無いかを模索するのも一つである。 本紙 P.19-20 本事業 Web サイト 「水先案内人」を介した協力関係の構築・販路開拓(Eco-Pork×リバネス・鹿児島大学、他) 本紙 P.15-16 複数ユースケースでの社会実装可能性の探索 本紙 P.23-24 スタートアップ・大企業それぞれの強みを活かした実証・協業(ZMP×ENEOS) 小林氏インタビュー/スタートアップを呼び込む地域課題発信の秘訣 特 定 地 域に おける 実 証・理 解 獲 得 スタートアップは、地域に根付く事業者からのフィードバックを受けながら、プロダクト・ 特 定 地 域に おける 実 証・販 売 サービスの動作性・安全性・経済性等を検証する。その際に、業界や地域ごとのルール・制 約を踏まえた実証のデザイン、引き続き相手の懐に入るコミュニケーションが重要である。 スタートアップは、プロダクト・サービスの安全性・経済性等を検証するための実証を行 う。他の類型に比べて巻き込むステークホルダーが多くなりやすいことから、共創パート ナーとの役割・責任分担を決めておくことが重要である。また、地域住民の理解を得るた めの活動も必要不可欠である。 また、必要に応じ、拡販を見据えて、規制緩和等に必要なエビデンスづくりにも取り組む。 事業会社・地方自治体等、スタートアップが推進する実証に関して、実証フィールドの提供 地域のハブ人材・組織や地方自治体は、スタートアップと地域に根付く事業者との間で、大 や必要なステークホルダーの巻き込み等を支援する。地域住民の理解を得るための活動 きな期待値のずれやミスコミュニケーションが生じないよう、 「橋渡し」を行う。また、地方 においては、自らの信頼・信用を活用することも有効である。 自治体は、ルールメイキングに向けて関係者への報告等の支援を行うことも考えられる。 地域に根付く事業者は、自分たちの業務や実証フィールドに関する必要な情報を提供し、 いちユーザーとしてスタートアップに対するフィードバックも提供する。 本紙 本紙 P.21-22 本事業 Web サイト P.23-24 スタートアップ・大企業それぞれの強みを活かした実証・協業(ZMP×ENEOS) 現行規制や「ローカル・ルール」を踏まえた地域での実証(炎重工×宮古市・宮古漁協) 小林氏インタビュー/スタートアップを呼び込む地域課題発信の秘訣 スタートアップは、まず自社に関連するルールをよく理解し、政府・所管省庁等の見解も踏 まえて、現行の法規制で認められる仕様のプロダクトを開発し、実証を進める。実証を通し ル ール対 応・メイキング スタートアップは、特定地域でプロダクト・サービスの実証等が完了した暁には、他地域へ ことも可能である。このような活動を進めることで、その後の参入障壁を築くことにも繋 がる。 の展開を目指す。これまでの活動では販売に関する機能を自前で補完できたが、拡販時 他 地 域への展 開(拡 販 ) て安全性等の実績を積み上げることができきれば、規制緩和等に向けた活動を推進する は外部リソースも借りて販売・リース・アフターサポート等の体制を構築することが求めら 政府・所管省庁・業界団体等は、スタートアップとの対話を通じてルールの在り方を検討 れる。一方で、これまで時間と労力をかけて構築してきた地域プレイヤーとの信頼関係に し、産業界や社会の要請に応える内容にブラッシュアップする。特に政府においては、 レバレッジをかけて、さらに新たなプロダクト・サービスを開発することも重要である。 種々の政策ツールを活用することで、スタートアップがルールメイキングを進めやすいよ う、門戸を開いておくことが重要である。 地域のハブ人材・組織や地方自治体は、せっかく構築したスタートアップとの関係をさらに 強固にしていくための仕掛けづくりを行うことが望ましい。アプローチとして、スタート アップの拡販活動を支援する、新たなプロダクト・サービスの開発に関して連携すること 等が考えられる。また、可能な範囲で、他地域でのプレゼンス向上に関するサポートも行 うことが出来れば、地域発のスタートアップの事業拡大の後押しとなり、望ましい。 07 CASE STUDY BOOK 本事業 Web サイト SH融合スタートアップのための社会実装ガイドライン/https://startup-f.jp/guideline̲jissou/fusion/ 本事業 Web サイト SH融合スタートアップと共創パートナーの連携のポイント/ https://startup-f.jp/guideline̲jissou/separate/ CASE STUDY BOOK 08
業種・業界課題の解決( B u s i n e s s × U s e r ) INDE X B-3 INDEX B-4 各各類型の重要アクションと活動のポイント 類 型 の 重 要 アクションと 活 動 の ポ イント 企 業 内の 関 係 者の 巻き込 み ユーザーのウェルビーイングの実現( C o n s u m e r× U s e r ) 各類型の重要アクションと活動のポイント スタートアップは、ユーザーとなる事業会社の異なる役職・部署の関係者に対して、プロ エビデンスの 蓄 積 ダクト・サービスの実証や試験的な利用を認めて貰えるように、提案・説明を行う。その際 スタートアップは、自社のプロダクト・サービスの効果や安全性を証明するために、大学・ 研究機関と連携し、共同研究等を推進する。その際に、スタートアップとしては早く成果を に、 (スタートアップとは異なる)事業会社の行動原理や組織力学を踏まえて、コミュニ 出し、効果を謳いたいところだが、焦らず、大学の「フォーマット」を踏まえた活動が重要 ケーション方法を変える等の柔軟な対応が重要である。 である。 事業会社(ユーザー)は、同じくスタートアップの行動原理・組織力学を理解した上で、社 大学・研究機関は、研究のアプローチ等に関する学術的な観点からのアドバイスや実験等 内の関係者の巻き込み・期待値コントロールも行いながら、事業化に向けてプロジェクトを のサポートを行う。また、スタートアップ側が共同研究等の経験に乏しい場合には、事務的 推進することが求められる。そのような機能を担う、いわば「Innovation Integrator」 なやり取りのサポートも行う。 を理想的には社内から見出すこと、また、そのような活動が進みやすい組織構造の改革 も、場合によっては必要である。 本紙 本紙 P.25-26 P.27-28 大学の「フォーマット」に寄り添った共同研究の推進(ジャパンヘルスケア×千葉大学) 企業の行動原理・組織力学を踏まえたコミュニケーション(クオリアース × USMH) 本事業 Web サイト 小林氏インタビュー/スタートアップを呼び込む地域課題発信の秘訣 本事業 Web サイト 青木氏インタビュー/メーカー企業とソフト・ハード融合スタートアップの連携の可能性 本事業 Web サイト 牧野氏インタビュー/大企業のスタートアップ投資・新規事業開発に必要な「橋渡し」機能 スタートアップは、プロダクト・サービスの最終ユーザーを設定し、そのユーザーとの接点 販 路 開 拓・拡 販 を有する共創パートナーと連携して販路を開拓する。その後、一定程度の販売実績をもと に、共創パートナーとの協業の本格化、海外市場への進出等により拡販を推進する。 事業会社等は、スタートアップのプロダクト・サービスの製造・販売に関して、保有する機 能(製造・販売・アフターサポート)やユーザー基盤を提供する。本格的な協業に移行する ためには、 「ピッチャー」 (新規事業部門)と「キャッチャー」 (事業部)の接続が必要である。 量 産 化に向けた 汎 用 性の 確 保 スタートアップは、ユーザー企業の現場担当者が抱える課題に耳を傾けてソリューション を開発する一方で、個別最適に陥らず、将来的な量産・量販を見据えて、プロダクトの汎 用性を担保するための検討を行うことが重要である。これにより、量産・量販時に期待さ れていた効果を発揮できない、導入コストが高くなってしまう、といった事態をさけること ができる。 P.19-20 本紙 P.29-30 海外市場を熟知する事業者との連携(ファーストアセント×ユカイ工学、メロディ・インターナショナル×リバネス) 本紙 P.31-32 実証に留まらない本格的量販・共同開発の実施(ORPHE × アシックス) 事業会社(ユーザー)は、実証における個別の動作環境だけでなく、自社内の別の環境で の動作性も意識して、事業部とも連携してスタートアップにフィードバックを行う。 本事業 Web サイト 本紙 P.17-18 「水先案内人」を介した協力関係の構築・販路開拓(ファーストアセント、他) 本紙 青木氏インタビュー/メーカー企業とソフト・ハード融合スタートアップの連携の可能性 複数ユースケースを想定した製品開発(LexxPluss) スタートアップは、自社の成長段階や共創パートナーとの実証等の実績を踏まえて、共創 協 業 範 囲の 拡 大 パートナーとの協業範囲の拡大を検討する。その際に、当初は設計できていたであろう共 創パートナーとのWin-Winな協業をいかに再設計できるかが重要である。 事業会社等は、スタートアップとの連携の状況や自社内での事業展開のタイムスパン等 を踏まえて、協業範囲の拡大を志向する。必要に応じて、担当者だけではなく、経営層な ども巻き込みながら判断を行うことが重要である。 09 CASE STUDY BOOK 本紙 P.31-32 実証に留まらない本格的量販・共同開発の実施(ORPHE × アシックス) 本紙 P.33-34 スタートアップのビジネスモデル変化に応じた連携の進化(トリプル・ダブリュー・ジャパン × 光洋) CASE STUDY BOOK 10
INDEX C スタートアップと共創パートナーからケースを探す スタートアップ 【凡例】 Business × Community 共 創 パ ートナ ー 本紙 P.19 Eco-Porkに、研究・講演等により培った鹿児島県内農家・企業を紹介。 HOCOH Poker 川上〜川下までの新たな養豚育成エコシステム構築の国内・世界展開を目指す。 鹿児島 大学 ジャパン ヘルスケア 本紙 密漁対策無人船の活用により危険な有人船での作業削減を目指す。 宮古市水産課と協働し、漁協の管轄水域で実証を共同実施中の漁協。 本紙 宅配、1人乗り、警備・噴霧機能を持つ自動運転ロボットを開発、提供。公道での事業 ZMP 化を目指し、ENEOS等と実証中。 少子高齢化の課題解決として、3つのロボットの提供により人の作業の代替を目指す。 大手エネルギー企業。佃・月島地域における実証実験拠点を提供。 ENEOS ガソリンスタンドの有効活用の一環として、ロボットによる配達自動化を志向。 本紙 本紙 本紙P.26-27 P.20 本紙 P.29-30 光による目覚まし、睡眠の記録や鳴き声の解析などの機能を持つ赤ちゃん向けスマート ヘッドライトを開発。海外認証取得や販路開拓などを実施中。 将来的には国内販売の拡充だけでなく、海外販売の拡大を目指す。 自社製品の海外展開経験を持つ、ものづくりスタートアップ。 ainenneの海外認証取得の際に経験をもとにアドバイス。 P.23-24 P.26-27 P.17-18 本紙 Consumer × Community ORPHE SHOES ラクロ、デリロ、パトロ Consumer × Community ファースト アセント ユカイ工学 漁業者の声を取りまとめて、炎重工に伝達。 Business × User 搬送ロボット P.31-32 履いているだけで日常の行動・歩容データを集積するスマートシューズを開発。アシッ ORPHE クスと提携し、製品を開発・販売。医療領域でのサービスを構築中。 将来的には、スマートシューズのデータを活用し、ライフログ・スポーツ・ヘルスケア・ ショッピングの4領域でのサービス展開を目指す。 大手スポーツ用品メーカー。ORPHEと共同でスマートシューズを開発、直営サイト ASICS 等で販売中。 将来的にはグローバルでの販売を目指す。 工程間搬送に特化し、Hybrid-AMRにより自律走行・軌道走行を統合制御できる自動 搬送ロボットを開発、佐川急便と実証中。 Lexx Pluss 界展開を目指す。 Business ・Consumer × User クオリ アース 本紙 Consumer × Community ハードウェアをオープン化し、ソフトウェアをクローズ化したビジネスモデルによる世 P.33-34 超音波センサーにより膀胱のふくらみを検知し、排泄を予測するデバイス「DFree」 本紙 本紙P.26-27 P.20 本紙 P.26-27 P.25-26 DFree プロトン凍結・冷凍良食 トリプル・ ダブリュー・ ジャパン を開発。個人向け、法人向けなど、販路を拡大中。 おむつなど排泄関連商材との掛け合わせ、グローバル展開、排泄全般の 課題解決を 目指す。 大手おむつメーカー。 プロトン凍結技術と調理加工技術「レシピのデジタル化」技術により、既存メニューの 光洋 冷凍食品化にあたるすべての工程をサポート。USMHと実証中。 最終的には、高品質冷凍食品による日本食の海外展開を目指す。 排泄ケアの課題解決を目指し、 「DFree」の個人・法人向け販売において提携中。単 なる販売にとどまらず、業務改革でも連携。 大手スーパーマーケット企業。 USMH 「突き抜け鮮度・商品との出会い・エンリッチ・繋がり創出」の4つの価値を顧客に提供 Business × User CASE STUDY BOOK 本紙 本紙P.26-27 P.20 MI(マテリアルズ・インフォマティクス)と呼ばれる情報科学と、ロボティクスを活用し、 MI-6 自動で実験条件を設計、ロボットがサンプルを作成・測定する自律自動型材料開発シ ステムを開発中。 システムの普及により、 「経験と勘」に依存する素材産業の研究開発の効率化、自動化を図る。 アイコンの見方 左記のアイコンは本誌P5-6の内容と連動しています。詳しくはP5-6をご覧ください。 本紙 Consumer × Community することを目指して、クオリアースと提携中。 胎児モニター iCTG MI robotics 11 ainenne Marine Drone 実証実験を共同実施中の地方自治体。炎重工と宮古漁協を仲介。 ヘルスケアと共同で実施する大学。 Consumer × Community 将来的には測量・測定、水産、物流、救助等も含め全国展開を目指す。 宮古漁協 将来的に足健診の普及とデータ蓄積により、オンラインでの足健診や靴提案、全身の 計画の改良、試験の実施支援、実証内容の分析、学会発表や論文化を担当。 P.21-22 自動運転船舶ロボットによる水辺作業(密漁警備)の自動化を図り、宮古市で実証実験中。 宮古市 ドインソール「HOCOH」を開発。千葉大学と共同で効果を実証中。 「HOCOH」を扁平足の傾向をもつ小学生に提供し、効果を検証する実証をジャパン 千葉大学 炎重工 P.27-28 筋骨格健診を目指す。 提携・実証にあたって、Eco-Porkと農家・企業との交渉を仲介。 Business × Community 本紙 Consumer × Community 扁平足など足腰の歪みの補整のために足の写真から作る3Dプリンタ製オーダーメイ AIカメラ、撮影ロボットによる養豚育成管理システムを鹿児島県で提供。 Eco-Pork 本ガイドラインで紹介するのは、令和3年度「グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業費補助金」に採択された、SH融合 スタートアップと、スタートアップと連携する共創パートナーである。関心のある事業者の事例をご覧いただくことが可能である。 P.29-30 胎児心拍と妊婦の陣痛データをいつでも・どこでも測定可能とする「胎児モニター メロディー・ インターナ ショナル iCTG」を開発。東南アジアへの展開にあたり、リバネスと提携中。 将来的には世界の周産期死亡率を低下させ、安心・安全な出産を世界中に届けること を目指す。 スタートアップの研究開発や事業展開をサポートするアクセラレーター。 リバネス 東南アジア各国における、薬事認証登録の手法調査、実証実験パートナー探索、販路 開拓パートナー探索をサポート。 CASE STUDY BOOK 12
有識者へのインタビュー記事 INDEX 本ガイドラインにおける連携のポイントの取りまとめにあたって、SH融合スタートアップに関して豊富な支援実績・専門性を持つ 有識者にインタビューを実施した。インタビューでは、SH融合領域における「共創パートナーの活動のポイント」を中心にコメント 複数ユースケースでの社会実装可能性の探索 P.15-16 複数ユースケースを想定した製品開発 P.17-18 を頂いた。 これらの有識者へのインタビュー結果は、 「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」のウェブサイト上に掲載されてい る。それぞれの視点・立場から、事業会社・地方自治体がSH融合スタートアップと連携する上で押さえておくべきポイントについ て、示唆に富んだ話を伺っている。ぜひご覧いただきたい。 グローバル・ブレイン株式会社 青木 情報科学芸術大学院大学 メディア表現研究科 P.23-24 企業の行動原理・組織力学を踏まえたコミュニケーション P.25-26 大学の「フォーマット」に寄り添った共同研究の推進 P.27-28 海外市場を熟知する事業者との連携 P.29-30 実証に留まらない本格的量販・共同開発の実施 P.31-32 スタートアップのビジネスモデル変化に応じた連携の進化 P.33-34 スタートアップを呼び込む地域課題発信の秘訣 株式会社リバネス 執行役員 CKO 和宏 今、地場企業の情報を伝える仲介者が必要とされている 株式会社Monozukuri Ventures 牧野 スタートアップ・大企業それぞれの強みを活かした実証・協業 教授 茂 本事業 Web サイト P.21-22 スタートアップ連携の前に、事業部の課題・ニーズを知る 本事業 Web サイト 長谷川 現行規制や「ローカル・ルール」を踏まえた地域での実証 インキュベーション・インベストメントマネージャー 秀臣 本事業 Web サイト 代表取締役 成将 さいごに 本事業 Web サイト 13 CASE STUDY BOOK P.19-20 メーカー企業とソフト・ハード融合スタートアップの連携の可能性 株式会社ケイエスピー 小林 「水先案内人」を介した協力関係の構築・販路開拓 英剛 本事業 Web サイト 栗田 ディレクター 「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」について P.35-36 大企業のスタートアップ投資・新規事業開発に必要な「橋渡し」機能 CASE STUDY BOOK 14
複数ユースケースでの社会実装可能性の探索 CASE A -1 社会実装プランを 構想する B -1 B -2 B -3 B-4 類 型共通 SH融合スタートアップは、複数の顧客・ユースケースでの社会実装の同時進行、あるユースケースでの成果を梃子にし た異なるユースケースへの展開、を志向している。このような活動は、スタートアップにとっては負担も大きいため、各社 が効果的に活動を進めるための工夫を凝らしている。ここでは、 「ユースケース」に着目し、各社の工夫をご紹介する。 他のユース ケース (ダム 測 量 等 ) 調 査・測 量 炎重工 密漁対策 複数ユースケースへの展開を見据えた「仕込み」 社会インフラ・プラットフォームの創造 | Business × Community ZMP ハードウェアやロボットマネジメントシステム等の一部ソフトウェアを共 自治 体 一人 乗 り モ ビ リティ 通化した上で、それぞれのプロダクトの社会実装を推進。 共通プラットフォームにより、製品開発のコストを削減。また、開発に関す るフィードバックは、 「共通化すべきかどうか」を軸に判断。 自 動 宅 配 ロ ボット また、現行の法規制の範囲で公道での走行が認められた一人乗りモビリ 自治 体 自動運転船舶ロボ(Marine Drone)の社会実装に向けて、まずユー ザー(漁協)が関心を持ってくれた、水上作業での活用からスタート。 共通プラットフォームによる 製品開発・ルールメイキングの効率化 Community 共同体の課題 Community 共同体の課題 地域産業の発展 | Business × Community ティ「RakuRo」で走行実績を積むことで、他の製品においても、実用化 動物園 自 動 警 備・噴 霧 ロ ボット ガ ソスタ 当該ユースケースでの社会実装に注力しつつ、他のユースケースも睨ん のハードルを大幅に軽減することが可能。 物流 だルールメイキング活動等を検討。 Business 企業の課題 一 般消費者の課題 業種・業界課題の解決 | Business × User Lexx Pluss ユーザーのウェルビーイングの実現 | Consumer × User ジャパン ヘルスケア 汎用的なプロダクト設計 病院 クオリ アース 複数ユースケースを想定した製品開発(LexxPluss) メー カ ー 企 業 ユーザーに応じた提供価値の発信 独自技術による「鮮度を保てる冷凍」や「レシピのデジタル化」を武器に、 to B/ to Cの両方にアプローチ。 食品製造流通業には、コア技術のプロトン冷凍技術だけでなく、それを含 む「食品流通のデジタル化ソリューション」を価値にして提案。 CASE STUDY BOOK ボ ディビ ル ディン グ これまでの実績があるため、各種の申請や顧客候補との会話も円滑に進 める事が可能。 ジャパン ヘルスケア 「コア」となる提供価値の言語化・発信 自社のインソールの提供価値は、整骨院なら「足腰の悩みの軽減」、美容 なら「美脚の実現」等、ユースケースにより異なる。 これに対して、その「コア」になる「歪みを整える」という提供価値を言語 農産品の直販 化・発信することで、自社の発想の枠留まらない引き合いや、 新たなユー スケースへの着想を実現。 User 15 美容 冷凍食品EC User 一方で、直販のECにおいては、 「名店の味」や「とれたての鮮度の保持」 を価値にして、異なるパートナーと連携し、消費者に提供。 食 品 流 通 の デ ジ タル 化 整骨院 特定の組織・個人の課題 本紙 P.17-18 野に参入。 物流企業 特定の組織・個人の課題 違いは、現場で対応することを想定。 これまでの活動実績を梃子にした ユースケースの展開 整骨院での販売試験等の実績を活かし、より参入障壁の高い医療機器分 自動搬送ロボットの社会実装を進めるにあたり、 「ハードウェアの透明 性」を重視し、汎用性の高いプロダクトを設計。倉庫や工場ごとの環境の Consumer CASE STUDY BOOK 16
複数ユースケースを想定した製品開発 CASE A -1 社会実装プランを 構想する B -1 B -2 B -3 B-4 Lexx Pluss 送ロボットを開発、複数のユーザー企業と実証中。最終的には、ハードウェアをオープン化、ソフトウェ アをクローズ化したビジネスモデルにより製品の世界展開を目指す。 より課題を精緻に把握するため、スタートアップ側で課題の仮説を構築したうえで、実証パートナーとの交 渉を実施。 大手物流企業A社、大手メーカーB社と、それぞれ倉庫・工場での実証実験を実施。実証後のプランや顧 客側のメリットの説明に注力することで、実証にこぎつけた。 複数のユース ケースでの実証 複数プロジェクトを通して、汎用性の高い製品設計に向けたフィードバックを獲得 実証 パートナー の探索 ハードウェアをオープン化、ソフトウェアをクローズ化することで、国内に留まらない海外における製品の 普及、ソフトウェアでのマネタイズを構想。 複数の設計・製造業者と連携し、汎用性の高い製品の設計を実現 量産化を見据え、製品の設計の汎用性を担保するため、試作品のアップデートごとに製造を依頼する製造 事業者を変更。地元の製造事業者それぞれの強みを把握し、試作・量産において最適な製造事業者を選 定。量産難易度が高くなる設計図上の偏りをなくすよう心掛けた。 L e x x P l u s s の 試 作・量 産 スキ ーム 製造会社C プロトタイプ製造に強みを持ち、設計段階 から受託可能な製造事業者に委託 製造会社D プロトタイプ製造に強みを持っている製造 事業者に1社目同様の設計で委託 製造会社E 量産を意識し、一定のボリューム感で製造 を委託、コストの確認を実施 試作 量産 提供 試作品 提供 相手企業のニーズや課題感に対して、 倉庫自動 化ノウハウを持つLexxPlussが「なぜ」を掘り 下げることで、ニーズを技術的な課題へと翻訳 し、製品の改良へと繋げている。 実証 フィールド 把 握した現 場の課 題 す べてを製 品 設 計に反 映 するのではなく、現場のオペレーションの変更と 製品設計の変更のいずれで解決するかを、技術 難易度と現場の負担を踏まえ判断している。 提供 A社物流倉庫 B社工場 量産試作品の製造 試作品 Lexx Pluss 量産試作品の製造 複数の企業と同時並行的に実証を実施することで、個別の現場の課題解決のためだけでなく、現場共通 の課題を把握。汎用性の高い製品設計へのフィードバックを得ることができた。 L e x x P l u s s の 実 証・フィードバックスキ ーム 複数のユース ケースでの実証 RaaS(Robot as a Service)ビジネスモデルにより、製品データを恒常的に収集し、変わりやすい物流 トレンドに合わせて製品を開発することを当初より検討。 ビジネスモデル の構築 量産・量販時のビジネスモデルを想定した上で、製品設計・開発を推進 実証 パートナー の探索 スピード感をもって現場での実証を行うため、倉庫や工場における業務の効率化・自動化に強い課題意識 を持っており、将来自社製品を導入する可能性のある物流企業や工場を持つメーカーを実証パートナーと して探索。 ビジネス モデルの 構築 強い課題意識を持っているユーザーを探索し、関係を構築 Hybrid-AMR技術により自律走行・軌道走行を統合制御できる、倉庫の工程間搬送に特化した自動搬 類 型共通 各製造事業者からの製造可否やコストについての意見をもとに、 製品の設計を改良、一般化し、量産を行いやすい設計を担保 スタートアップの活動のポイント 個別企業の課題解決を志向するBusiness × User領域の企業は、事業規模の拡大が難しくなりがちであるため、 当初から事業 規模を拡大させるためのビジネスモデルを構想することが重要。 製品は過剰適合が事業規模拡大の阻害要因となりるうため、複数の企業における現場実証と、複数の製造事業者への設計・製造 両社からのフィードバックを踏まえた改良により、 試作品の性能・使い勝手を向上しつつ、 製品として一定の汎用性を担保することが可能に 17 CASE STUDY BOOK 委託を実施することで、製品が現場や製造事業者に過剰に適合するのを防ぐことが重要。 現場実証においては、製品の使い勝手を直接ヒアリングするのではなく、業務上の課題をヒアリングすることで、業界課題を理解 することができ、汎用的に製品設計にフィードバックすることができる。 CASE STUDY BOOK 18
「水先案内人」を介した協力関係の構築・販路開拓 CASE スタートアップと共創パートナーが直接接点を持つことが難しい場合は、お互いを橋渡しできる「水先案内人」との関係を構築 することが重要である。以下はスタートアップの例だが、共創パートナー側からもこのような「水先案内人」との関係を構築して A -2 ク オリ アース 協力関係を 構築する B -1 B -2 B -3 B-4 類 型共通 業界キーマンを介して協業パートナーとの関係を構築 おくことで、スタートアップからのアクセスに繋がる可能性がある。また、共創パートナーや「水先案内人」との関係を構築する ためには、相手の文化を理解し、 「懐に入る」ことも重要である。 日本の「フードテック」業界を牽引するシグマクシスが開催するピッチイベントで、食品小売大手のUSMHとの接点を持った。 USMHは、シグマクシスからスタートアップ連携についてアドバイスを受けていたこともあり、その後の協業に向けた協議をス Eco-Pork ムーズに進めることができた。 供給サイド・需要サイドのそれぞれで「キーマン」と連携し、 共創パートナーとの関係を構築 イベ ント を 通じ て 知 り 合 う 製造業者や弁理士・弁護士など、供給サイドに関わる共創パートナーとは、自社に出資も行っているリバネスを通じて、関係を構 イベ ント を 通じ て 知 り 合 う ク オリ アース USMH 築。また、各社とのコミュニケーションにおいては、適宜、 リバネスが「翻訳」の機能を担っている。 シ グ マクシス 一方、地域に根付いて活動する畜産業者など、需要サイドに関わる共創パートナーとは、これらプレイヤーとかねてよりネット ワークがあり、スタートアップに対しても理解がある鹿児島大学のA氏の紹介で関係を構築。A氏とは、元々は農水省の補助事業 アドバ イスを 受 け た お か げ で ス ム ーズ な 協 議 が 可 能 に で知り合った。 A氏は、Eco-Porkの確かな技術力と畜産業への理解の深さに感銘を受け、畜産業者を紹介することを認めてくれた。紹介や協 議の際には、A氏が「翻訳」の機能を担うことで、コミュニケーションを円滑に進める事ができた。 ファースト ア セント 紹 介・コミュニケ ーション の 製造業者 「インフルエンサー」となるプレイヤーにコンタクト 紹 介・コミュニケ ーション の 橋 渡し 橋 渡し 出資 畜産業者 ターゲットユーザーである「お母さん」にプロダクトを認知し、関心を持ってもらうために、 「お母さん」と接点があり、かつ影響力 もある助産師が所属する協会にコンタクト。自社プロダクト・サービスの良さを理解してもらうように説明を尽くした。そこでファ ンになってもらえれば、草の根的にユーザーにも広がると考えている。 顧問 Eco-Pork リバ ネ ス 弁理士 弁護士 お 母 さん 鹿 児 島 大 学( A 氏 ) 畜産業者 ファースト ア セント コン タクト・商 品 説 明 ( 訴 求 す れ ば )推 薦 お 母 さん 助 産 師(の 協 会 ) お 母 さん Eco-Pork 「丁稚奉公」を通して相手の文化を理解し、社会実装の「土壌」をつくる MI-6 銀行を通してコンタクトが難しいユーザーへの販路開拓を実現 Eco-Porkは、 「養豚向けの生産管理ソリューション」の社会実装を目指し、畜産業者にコンタクトした。 しかし、当初、 「生産管理 ソフトウェアを作れば生産管理の概念が伝わる」と思っていた所、実際には、 「生産管理」や「QCD」の概念や用語が伝わらない 状況だった。 そこで、まず、現場を知るために養豚場に「丁稚奉公」のつもりで通い詰めた。 その中で、現場の人が嫌がるようなことにもひた むきに取り組む内に現場担当者との関係を築くことができた。そして、鹿児島大学のA氏の後押しもあり、実証にこぎつけること ターゲットである素材企業や大学等のユーザー候補との接点が少ない中で、広範な顧客基盤を有している大手銀行に相談。融 資等で直接関係のある銀行の支店から本店を経由して支店にアプローチした。その支店を通して顧客企業の経営企画部門を紹 介してもらい、そこからさらに研究開発部門を繋いでもらうことで、ターゲットにコンタクトできている。 ができた。 紹介 そこからも同じように現場を重視し、実証を続けたが、上記の概念を本当の意味で理解してもらい、同じ目線に立ってもらうま 相談 で、足掛け2-3年はかかった。 既にニーズがあるプロダクトなら、ここまで関係構築と理解の獲得に時間はかからないが、 「ニーズ」ではなく 「ウォンツ」を叶え るプロダクトの場合には、時間をかけてでも、同じ目線に立ってくれる共創パートナーを得ることが重要である。 19 CASE STUDY BOOK MI-6 紹介 企業 融資 大手銀 行 本店 大手銀 行 本店 紹介 大学 CASE STUDY BOOK 20
現行規制や「ローカル・ルール」を踏まえた地域での実証 CASE 炎重工 「最先端の制御技術で一次産業を自動化する」ことを掲げ、宮古市で実証を行うMarine Droneのほ か、生体群制御、水中モニタリングカメラ等を開発。地元岩手県の宮古市の実証を通して密漁対策ド そのうえで、潮流や海上の電波状況等のローカル・ルールのフィードバックを受けて、現行のハードウェア を前提として、ソフトウェアの更新や現場のオペレーション等で対応している。 B -1 B -2 B -3 B-4 Business × Community 岩手県の東部に位置し、リアス海岸で知られる三陸海岸に面している。地域のサケ・イカ・サンマ等の水 揚げ量減少に対応し、水産業の課題解決に資する企業との連携を推進しており、炎重工の密漁対策ド 地域課題の解決に繋がるソリューションを自治体主導で探索 宮古市は地域産業の課題解決に資する民間の技術を自治体主導で積極的に探索し、必要であれば実証 フィールドを提供する取組を進めていた。 水揚げ量の減少が続く中で養殖業の展開を検討しており、地元のスタートアップである炎重工が提供する 水揚げ時の魚類選別に電気信号を活用するサービスに着目。 水産業の他の課題解決にも取り組む中で、炎重工からMarine Drone密漁対策モデルの協力依頼を受 け、実証フィールドの提供を開始した。 自治体が地域の漁業組合とのコミュニケーションの「ハブ」として支援 宮古市が自身も地域課題解決を行うプレイヤーとして実証に積極的に協力し、地元事業者と企業をつな ぐ仲介役の機能を担っていたことが円滑なコミュニケーションの鍵となった。 宮古漁協は宮古市を通して、船舶航行に関する現行規制・規格のみならず、地域の自然環境や業務プロセ スに関する「ローカル・ルール」に関するフィードバックを行うことができた。 例えば、現地の潮流の状況を踏まえて、船舶を係留すべきポイントや潮流が激しいポイントでの係留方法 等、地域の担当者しか分からない生の声を炎重工に伝えた。 フィードバックを 基にプロダクト 改良 実証の成果をもとに、他地域への横展開・ルールメイキングを検討 フィードバックを 基にプロダクト 改良 また、ハードが必要な部分は機能を追加しており、悪天候時には現場作業者の環境が厳しい等のフィード バックを受け、放送中継車を購入して現場を遠隔からモニタリングできるようにしている。 実証・協業を 進める 密漁対策ドローンの 有人船での フィールド実証 炎重工は、製品自体は無人船として自律移動が可能だが、現行で航行可能な無人船は2馬力以内かつ目 視操作であることを踏まえ、まずは一部機能に制限をかけて有人船で実証を開始した。 密漁対策ドローンの 有人船での フィールド実証 まずは現行規制やローカル・ルールの範囲内で実証を推進 A-3 宮古市・宮古漁協 との関係構築 水産業者へのヒアリングや展示会の中で密漁対策のニーズが大きいことが分かり、宮古市にMarine Drone 密漁対策モデルの開発協力を依頼し、実証フィールドを提供してもらった。 宮古市・宮古漁協 との関係構築 炎重工は、岩手県が管理しているダムや湖など、様々な場所で開発・実証にチャレンジする中で、岩手県 や県内の市町村に協力してもらえる関係性を作り上げ、宮古市では、最初は自動餌撒きサービス向けの船 型ドローンを開発し宮古市などへ提案を行っていた。 宮古市 協力関係を 構築する ローンに着目して地元漁業組合の実証フィールドを提供。 ローンを磨き上げ、地域水産業の課題解決を目指す。 ヒアリングや展示会を通してユーザーのニーズを把握し、サービスを開発 A -2 地域課題の解決を見据えて、 「次の一手」を検討 炎重工は、宮古市で得たノウハウ活用してサービスを他地域に横展開することで、将来的には無人航行 に関する制限緩和とより多くのユーザーへサービスを届けていくことを構想している。 スタートアップの活動のポイント 21 宮古市としては、密漁ドローンの将来的な導入の判断は即断できるものではなく、あくまで実証の結果や 今後の2馬力制限への対応の状況を経て行うことになるが、地域課題解決には中長期的な目線が必要で あると考えている。 そのため、可能な範囲で製品の改善やエビデンスの蓄積に向けて実証フィールドを提供し続け、地域の ニーズをフィードバックする協力的なスタンスをとることで、より良い製品が完成することを期待している。 無人船での実証・ ルールメイキング へ の 踏 み 込 み︵ 未 来 ︶ 宮古市からのフィードバックを受けることで、環境に合わせた船舶の航行方法、現場との交渉の仕方、 データの取得方法炎重工自身にも他地域に展開する際のノウハウが蓄積されている。 無人船での実証・ ルールメイキング へ の 踏 み 込 み︵ 未 来 ︶ 現在は現行ルールの範囲内(有人船、2馬力以内の無人船)で実証を進めているが、風が強い海上で無人 船を運行するためには、船舶ロボットの2馬力制限を払拭することが不可欠。 地方自治体の活動のポイント Business × Communityのプロダクトの磨き上げには地域の実証フィールドと既存の業務プロセスに理解が深い地域に根付く スタートアップは、最初から地域事業者のニーズに100%叶うプロダクト・技術を保有してはいるわけではない。実証を通して地域 事業者(一次産業の担い手等)との関係構築が不可欠。 課題解決に資するプロダクト改善を行うためには、地域の実情を知る事業者のフィードバックが不可欠。 まずは、現行規制・規格や地域のローカル・ルールの範囲内で実証を進めることで、地域主体のニーズのうち、試作品で対応可能 地域主体とスタートアップが良好な関係を築くためには、自治体が両者の関係を調整しながら、地域のニーズとスタートアップのプ な部分とそうでない部分を見極める。 ロダクトで実現できるシーズを聞き取り、課題解決の方策・方針を主体的に検討することが求められる。 その上で、地域が目に見える形で効果を実感できるよう、地域主体のフィードバックに耳を傾けて現場のオペレーションに適した 地域事業者は、そうした自治体を通して現行規制・規格や地域のローカル・ルール等のニーズをスタートアップに届けることで、ス 周辺機能設計や実証環境整備を行うことが、今後の展開のパートナーとして関係を続ける鍵となる。 タートアップ側も地域ニーズに沿った開発を進めることができる。 CASE STUDY BOOK CASE STUDY BOOK 22
スタートアップ・大企業それぞれの強みを活かした実証・協業 CASE A -2 るクラウドサービスシステムを開発。そのうち、物流のラストワンマイルの課題解消を目指す「DeliRo (デリロ)」の社会実装を目指し、東京都の中央区佃エリアでの実証を推進。 つけることが出来るかが重要だと考えている。そのため、パートナー候補との面談の際には、 「自動運転ロ ボットの社会実装により実現される世界」を必ず提案している。提案に対する相手の反応から、 「本気度」 B -1 B -2 B -3 B-4 Consumer × Community ENEOS クの生活プラットフォーム化」を重要ミッションとして掲げている。ENEOSホールディングスのCVCであ る「未来事業推進部」では、上記の長期ビジョンの下、スタートアップ投資・連携を通して、サービスステー 新サービスの社会実装に必要な活動を検討した上で、 出資先のスタートアップを決定 「サービスステーションの有効活用」に資するロボットを活用したサービスを検討する中で、ZMPを含む 複数社が候補に挙がった。 をうかがい知ることができる。 その中で、ロボットの社会実装に向けては、ロボット技術の高度さだけでなく、法規制への対応・ルールメ ENEOSは、業界のリーディングカンパニーとして、業界全体の未来のあり方を本気で模索しており、上記 イキングが必要になると判断し、最終的にはZMPとの連携を決めた。 の提案で琴線に触れた手応えがあった。 ENEOSから ZMPへの出資 プレスリリース等を通して多くの企業から問い合わせを貰う中で、いかに「本気度」の高いパートナーを見 実証・協業を 進める ションで提供可能な新サービスの検討、ならびにサービス提供に必要な新技術の実証等を進めている。 ENEOSから ZMPへの出資 自社のビジョンを共有し、 「本気度」の高い企業を特定 A-3 ENEOSホールディングスは、2040年グループ長期ビジョンにおいて、 「サービスステーションネットワー 自動運転技術開発で培った自律移動技術を応用して、無人低速自動運転ロボットとそれを制御・管理す ZMP 協力関係を 構築する ZMPは既に道路使用許可の取得やルールメイキングを先進的に進めており、そのノウハウを取り入れる ことが重要だと考えた。 大企業の「信用」・「説明力」を活かしてスタートアップの活動をサポート 実証を進めるにあたり、必要な機能の棚卸しを行って、パートナーのリソース・強みを踏まえて役割分担を 運用だけでなく、警察庁とのやり取りを自社が主導。既に同じエリアにおいて、 「デリロ」の兄弟にあたる 主導的に進めた。その中で、ENEOSは実証全体の統括とサービスステーションの連携等を担い、ZMPは 一人乗りロボ「RakuRo(ラクロ)」での公道走行を実施していたこともあり、 「デリロ」が「歩行者」と同 ロボット運用、法規制の対応、地域住民への説明等を担った。また、宅配する店舗の確保や受発注システ じである認定を受けることが出来た。 ムの構築は、ZMPとは別の出資先のエニキャリが担う形とした。 また、自動運転ロボットのプロダクト・サービスの社会実装のためには、地域住民や自治体等からの理解獲 もちろん任せきりにして終わりということはない。例えば、地域住民等への説明において、 ZMPが門前払 いを食らわないよう、ENEOSの企業名で活動を進めて貰ったり、必要に応じてENEOSの担当者が説明 得が必要不可欠。これに関しても、 「ラクロ」での実証を通して、関係各所への説明の経験があるZMPが ZMPは、 「DeliRo」に関してENEOSとの実証の他にも共創パートナーとの実証を推進している。また、 そのために、案件ごとに社内の担当者(エンジニアのリーダー)を立てている。そして、担当者ごとに定期 的にフィードバックを共有し合う仕組みを構築している。 実証の成果を踏まえてサービスモデルの構想と課題を具体化し、 スタートアップと協議 実証を通して、自動運転ロボットにどの程度の経済メリットが必要になるのか、またサービスを提供するた めにどのような活動・機能が必要になるのかが明らかになった。ここから先は、ビジネスとしての現実性が 問われると考えている。 ZMPとは、ロボットの稼働率の向上、稼働可能なエリア・建物の範囲の拡大等、乗り越えるべき壁を共有し ている。また、自社としても、サービス提供にあたってのサービスステーションのアセットの活用方法等を 運用範囲の 拡 大・本 格 展 開 学びを相互にフィードバックし合うことで、効率的に活動を進めている。 運用範囲の 拡 大・本 格 展 開 「三兄弟」の他の自動運転ロボットの社会実装に関する活動も進めている。これらの各実証から得られた を行うことで、確実に理解を得られるようにサポートした。 課題の整理・ 第2回実証 実証で明らかになった課題を、他のプロダクト・ユースケースにフィードバック 課題の整理・ 第2回実証 主導して進めた。 第1回実証 ENEOSからは、連携を始める前から法規制への対応力を評価・期待されていることを受けて、ロボットの 第1回実証 パートナー企業からの評価・期待を踏まえて、法規制への対応や 住民への説明を主導 検討している所である。 スタートアップの活動のポイント 長い目で見て協業可能な共創パートナーを見出すために、 「自社のビジョンに共感してもらえるか」を重視するアプローチが有 事業会社の活動のポイント 効。また、業界全体の「次の一手」を模索するリーディングカンパニー等は、有望な共創パートナーになり得る。 法規制への対応や地域住民への説明について、全てを自社で担う必要はないが、プロダクトのことを一番理解しているスタート アップの関与は大なり小なり必要。その活動が長期的に見て社会実装に必要な場合は、積極的に担うべき。 実証を通して、当初想定していなかった課題が明らかになることもある。その際に、例えば複線的に進めている他の実証計画に反 映することで、効果的に活動を進めることが可能になる。このように1個1個の課題を地道に乗り越えていくことで、確実に社会実 装に近づいていく。 23 CASE STUDY BOOK 社会実装に向けた時間軸が長くなる時こそ、新サービスの社会実装に向けた構想を具体化しておくことが重要。これにより、連携 相手の決定や実証における検証内容等の設計等のあらゆる活動を、事業化を見据えて行うことができる。 実証・協業時に、事業会社・スタートアップ・その他パートナーのリソース・強みを踏まえて役割分担を設計することも重要。大企業 の場合は、これまでに培ってきた社会からの信用・説明力が、スタートアップに無い強みとして、活用できる。 CASE STUDY BOOK 24
企業の行動原理・組織力学を踏まえたコミュニケーション CASE クオリ アース A -2 協力関係を 構築する A-3 実証・協業を 進める B -1 B -2 B -3 B-4 Business × User プロトン凍結技術と調理加工技術、 「レシピのデジタル化」技術を活用し食品流通企業に対して既存メ 競争の激しい食品小売り業界で成長し続けるために、 「突き抜け鮮度・商品との出会い・エンリッチ・繋が ニューの冷凍食品化にあたるすべての工程のサポートを実施し、最終的には、高品質冷凍食品による日 り創出」の4つの価値を、製造小売業への業態転換や外部パートナーとの連携を行いながら、 顧客に提 本食の海外展開を目指す。 係を構築。同社主催のピッチイベントを通じ、USMHと知り合った。 そこで、USMHが小売業から製造小売業への業態転換を目指していることを知り、自社の技術との親和 供することを目指す。 経営層に、中長期的な協業のビジョンとそこに至るまでのステップの両方を説明 自社の4つの価値を共同検討していたシグマクシスに、 「サプライチェーンの強化」 ・ 「冷凍技術」をテーマ とした外部パートナーの紹介を依頼。凍結技術に強みを持つクオリアースを紹介してもらった。 シグマクシスから、お互いの目指す方向性や、スタートアップとの付き合い方(意思決定のスピードの違い フードテックの イベントを通じた 関係を構築 社長のA氏が、知人の紹介を受けて、国内の「フードテック」の第一人者であるシグマクシスの担当者と関 フードテックの イベントを通じた 関係を構築 業界のキーマンを通じて共創パートナーとの関係を構築 USMH 等)を共有してもらっていたことで、クオリアースとの協議はスムーズに進んだ。 性を感じて、提携に向けた議論を開始した。 社内で稟議を通す際に、提案のスケールがあまりに大きすぎると、経営層にとって現実感が無く、 「絵に描 いた餅」に見えてしまうことがある。そのため、新規事業開発担当(B氏)は、中長期のビジョン達成までの 自社の工場・ECサイトの運営経験から商品開発・製造の現場で起きている課題や課題解決のノウハウを 熟知しているA氏が、マルエツの店舗責任者との関係を構築。 店舗での商品 開発実証 店舗での商品 開発実証 現場の課題を理解することで責任者・担当者との信頼関係を構築 ステップ感を示すことで、経営層の期待値をコントロールすることを意識していた。 ボトムアップ型のアプローチで実証を設計。理解を示してくれる 社内キーマンにコンタクト 自社のプロダクトである「レシピのデジタル化」を活用した試作品の開発や製造プロセスの検討を行うこ 過去にスタートアップと連携した経験を踏まえ、B氏は、最初にホールディングスの経営層に提案してから とで、商品開発の円滑化やノウハウの形式知化といった、 「レシピのデジタル化」プロダクトの価値を理解 事業会社(店舗)との連携を進めるトップダウン型のアプローチを取らず、経営層には、事前に伝えた上 してもらえるように努めた。 で、まず事業会社を交えた検討と試験的な商品開発を行うことに決定した。 度高く実施した。 経営層の目線に合わせて、長期的な協業のビジョンを発信 通・販売・採算管理、調理・製造作業のデジタル化など、USMHの新業態の開発に必要なソリューションを 幅広く提供するビジョンと技術があることを伝えた。 スタートアップの活動のポイント 現場担当者との信頼関係の構築においては、自社課題の共有と具体的な課題解決策の提示が、経営層への自社ソリューションの訴 チェーン改革をミッションとしている部長クラスの担当者に声をかけ、協力を得た。 実証に参加した現場担当者を巻き込み、具体的な成果とともに経営層に提案 現場担当者が納得した状態でその後の活動を進めることができ、経営層への提案に現場担当者を巻き込 んで推進することができた。 経営層への報告に現場担当者が参加し、質疑応答が活発となったことで、クオリアースの強みを具体的に 経営層に伝えることが可能となった。 事業会社の活動のポイント 新規事業担当者等、スタートアップとの連携プロジェクトをリードする人物は、経営層⇒現場担当者(トップダウン・長期)と現場担 求においては、長期的な協業のあり姿と必要なソリューションを提供可能であることの説明が、先方との関係構築に一役買った。 当者⇒経営層(ボトムアップ・短期)のアプローチを使い分けること、また、スタートアップのプロダクト・サービスに対する関係者の クオリアースは、このような「面的な連携」を、食品業界の経験が豊富な社長のA氏と、食のデジタル化に関する造詣が深く、大企 これらを完遂するためには、①現場経験、②経営視点、③スタートアップへの理解、が求められる。これらは基本的にはその企業で 業の新規事業開発の経験もあるCTOのC氏が、上手く役割分担しながら進めている。 25 スがもつ「レシピのデジタル化」の価値を理解してくれ、かつ決裁権がある担当者として、社内でサプライ ホールディングス の商品企画部での 商品開発実証 心となり、商品戦略のための栄養PLCバランスの見える化や競合企業比較のマッピング、商品化後の流 ホールディングス の商品企画部での 商品開発実証 役員報告では、 「冷凍食品製造・開発技術を持っているベンダー」だと捉えられないよう、CTOのC氏が中 ただし、いきなり現場担当者の理解と協力を得るのはハードルが高い。そこで、各事業会社で、クオリアー 役員報告・提案 役員報告・提案 経営層への提案も見据えて、現場担当者と新規事業開発担当のB氏のチームを交えた議論を毎週と、密 CASE STUDY BOOK 期待値をコントロールすることが求められる。 の経験により培われるものだが、特に③に関しては、シグマクシスのような業界のキーマンとの連携で補うことも可能である。 CASE STUDY BOOK 26
大学の「フォーマット」に寄り添った共同研究の推進 CASE ジャパン ヘルスケア オーダーメイドインソールである「HOCOHインソール」を活用して筋骨格系疾患の予防医療に取り組 むヘルスケア・スタートアップ。大学との臨床研究でエビデンスを蓄積し、現在の整骨院事業に加えて、 健診事業や病院事業に領域を拡大することを目指している。 数の研究や質の高い研究を行い、学術的な お墨付き を得ることができる共同研究者を探していた。 CEOであるA氏の出身大学である千葉大学整形学科に声かけしたところ、子供の運動に関心を持ち卒業 協力関係を 構築する 千葉大学 整形学科 A-3 実証・協業を 進める B -1 B -2 B -3 B-4 Consumer × User 脊椎脊髄外科、関節外科、スポーツ整形外科、手外科など、専門分野別に高度な研究を行う。 B先生の研究室では足の外科、スポーツ整形について探求しており、子供の運動に関心を持つ C先生が主導してジャパンヘルスケアのオーダーメイド・インソールの臨床研究を実施。 自身の研究テーマの方向性を踏まえて共同研究の実施を決定 CEOであるA氏の知人の先生の紹介を受け、足に関する整形外科を研究対象とする先生の研究室で話を 伺うことになった。A氏が千葉大学整形学科の卒業生であり、B先生とも大学院の同期であったことが大 きく、温かく迎え入れて研究室内で協力者を探すことになった。 ジャパンヘルス ケアの声かけで 共同研究を開始 ジャパンヘルスケアは三重大学とインソールの効果に関する研究を進めていたが、自社製品を使って複 ジャパンヘルス ケアの声かけで 共同研究を開始 自社のビジョンに関心を持ってくれる研究者に「あたり」をつけて、コンタクト A -2 臨床研究の実務を担当するC先生は、元々子供の運動についての研究を行っていたこともあり、実際のプ 研究に活用したいというニーズを持つB先生、C先生と出会い共同研究を開始した。 ロダクトを使った子供の偏平足改善に関するRCTが関心と合致したことで共同研究に手をあげることに なった。 果・結論」などの情報を整理した上で、事前研究を踏まえた想定される結果について事前に共有していた ことがお互いの認識合わせができたポイントであった。 ビューや結果解析については大学側に事前に役割分担していた。 スタートアップの活動のポイント 共同研究において研究者が最も重視することは、 「研究内容が学術的に正しいものであるか」である。 そのため、学術的に研究結果が認められるための手続きや手順に時間がかかったり、必ずしも自社プロダクトの性能・機能を 27 また、A氏が想定する研究内容に対して、過去論文等を参照しながら、医学論文のエビデンスとして利用 できる計測方法に修正するようアドバイスを行った。 想定される研究成果について、スタートアップ側の期待値をコントロール B先生・C先生は測定結果を解釈する前段階から、A氏の研究成果への高い期待値に対して、学術的な観 点から冷静な指摘を行っている。 ジャパンヘルスケア側は、 「インソールを履くことで偏平足が解消される・運動能力が向上する」という ビジョンに一致したドラスティックな結果を期待していたと考えられるが、学術的に正しい計測・解釈の 方法をとる限り、必ずしも100%望ましい研究結果が出るわけではないことを事前に伝えている。 研究結果を基に 検診・医療領域に 展開︵未来︶ その 上で 、大 学 側にも積 極 的に協 力してもらえるよう、隔 週で 進 捗 等を共 有した上で 、計 測 方 法 のレ 研究結果を基に 検診・医療領域に 展開︵未来︶ 研究のスケジュール管理等は自社でコントロールしてスピード感をもって進めることができた。 とを認識合わせできたことである。 倫理審査委員会・ 臨床研究 倫理審査委員会・ 臨床研究 あり、場合により差し戻しを受けることもあったため、約5ヶ月の時間を要した。 通常の研究等が存在する大学としては、当研究にすべてのエフォートを割いて貰うことはできないため、 学術的・倫理的に正当な手順で臨床研究を行うことの重要性について粘り強く説明し認識のすり合わせ 特にポイントとなったのは、介入研究では倫理審査委員会に3か月〜半年程度の時間がかかってしまうこ て見込まれるスケジュール感について、早い段階でアドバイスを受けることができた。 倫理審査に係る手続きでは、臨床研究保険・PL保険等を取得した上で膨大な申請書類を提出する必要が A氏は当初できる限り早く事業に必要な研究成果を得たいというスタンスであったが、B先生、C先生は、 を行った。 こうした土台があったからこそ、千葉大学から計測方法・対象等への根拠付けの方法や、倫理審査を含め スタートアップにできること・できないことを明確し、役割分担 臨床研究に必要なステップやスケジュールに関する認識合わせを実施 臨床研究のステップ や成果について 目線合わせ A氏自身が医者であることもあり、医療界(アカデミア)のフォーマットに則った「タイトル・背景・方法・結 臨床研究のステップ や成果について 目線合わせ 求める研究成果を明確化し、アカデミアのフォーマットに沿った情報を整理 大学(研究機関)の活動のポイント スタートアップはビジネスの一環として共同研究を行っており、研究成果が認められるためには学術的な手順や方法が必要である ことを十分に理解していないケースもある。 100%保証するような研究結果が得られない可能性があることを見込んでおく必要がある。 研究の後半段階で想定された成果が得られないと言われたり無理なスケジュールを求められたりすることを防ぐためには、共同 また、研究者は必ずしも共同研究にすべてのリソースを割くことはできない。役割分担を明確化して研究者のオーナーシップを確 研究に必要なスケジュール・ステップ感や想定される成果について、研究開始・途中段階でスタートアップ側に具体的に認識を共 保しつつ、全体管理はスタートアップ側がコントロールすることで求める成果・進捗とのずれを防ぐことがポイント。 有することが大切だ。 CASE STUDY BOOK CASE STUDY BOOK 28
海外市場を熟知する事業者との連携 CASE A -2 スタートアップが海外展開を進めるためには、現地認証や商流に応じて改めて製造・販売に関する戦略を練り直す必要があり、 想定より大きなコストや期間がかかってしまう。これに対し、現地の認証・商習慣に精通した共創パートナーと協業することで、 協力関係を 構築する A-3 実証・協業を 進める B -1 B -2 B -3 B-4 Consumer × User いつでもどこでも胎児モニタリングができるポータブル型分娩監視装置「iCTG」を開発し、国内だけ メロディ・ インターナショナル リバネス ファースト アセント ユカイ 工学 でなく東南アジアに製品を展開している。海外展開に当たり、現地の商習慣への理解や現地プレイ ヤーとのネットワークに長けたリバネスの支援を得て戦略を検討。 戦略を検討しやすくなり、 「想定外」の事態を減らすことができる。ここでは、海外展開で躓きがちな各ポイントについて、スター トアップが共創パートナーと連携して、どのように対応しているのかを紹介する。 Design/Manufacturing ファースト アセント ユカイ 工学 赤ちゃんの睡眠をサポートするスマートヘッドライト「ainenne」を提供している。 海外認証取得に苦 労する中で、海外で販売経験を持つユカイ工学からのアドバイスを受けて量産の検討を行っている。 Rule making 先輩スタートアップの助言により、 「地に足の着いた」 設計・製造を実現 ファースト アセント ローカル市場の事情を踏まえて認証取得等を実施 ユカイ 工学 ファーストアセントは海外展開の当初、どの認証を優先的に取得するべきかの目途がつかず、各認証取得に必 ファーストアセントは、現地販売に必要な認証については簡単に情報収集できる一方で、認証取得に必要なア 要な仕様変更のコストがかさんでしまうことが課題となっていた。 クションについては情報収集が難しかったため、ユカイ工学に相談をした。 そこで、海外展開経験が豊富なユカイ工学に相談して限られたリソース内で必要な認証やそれに必要な開発 販売に必要な認証の情報は、設計・製造事業者よりも販売店の方が詳しいとのアドバイスを受け、現地の販売 の絞り込みを行った。 店からのフィードバックを受けて必要な認証を定める戦略をとることにした。 ファーストアセントはクラウドファンディングでの海外展開を見据えていたため、まずは最低限必要なFCC認 メロディ・ インターナ ショナル 証の取得に必要な製品の安全性や電波の規格等の機能に絞って開発を進めることにした。 リバネス メロディ・インターナショナルは、必要な認証の理解と、自社製品が要件を満たしているかの判断が規制当局 必 要 な 認 証・機 能 の 絞 り込 み ステップ 担当者やローカルルールに依存するため、認証に掛かるスケジュールが不透明だった。 現 地 販 売 に 知 見を 持 つ 販 売に必 要な認証 認証取得に必 要な プ レ イヤ ーと の 関 係 構 築 の見 極 め 機 能 の 絞り込 み 左記の認証取得に最低限必要な機 ター、海外経験のあるスタートアッ バックを受けて想定する販売方法 能に絞って開発を行い早期に認証 プ等に相談 に必要な認証を見極め 取得に着手 アプローチすることでフィードバックを受けることができた。 海 市 Demonstration 外 場 認証取得に向けた 現地の販売店やユーザーのフィード スの現地法人を介して現地の保険局や医療従事者、医療サービスをよく知る現地のスタートアップ等に直接 パートナー連携方法 現 地 事 務 所を持 つアクセラレー リソースに限りがあり海外展開初期から認証関係のコンサルを依頼することは難しい中で、リバネスとリバネ 現地プレイヤーとの関係構築 ファースト アセント ユカイ 工学 フィードバックを受けた 販売に必要な認証・取得に 開発方針の検討 必要な要件のフィードバック メロディ・ インターナショナル 販売代理店 リバネス 実証パートナー メロディ・ インターナショナル リバネス 実証パートナー 「実証の進めやすさ」も考慮してターゲット市場を選定 Distribution メロディ・インターナショナルは、最終的な量販に必要な認証の条件だけでなく、認証取得前の製品の実証を 行うために必要な申請等の調査を行い、実証に前向きなプレイヤーを見極めて病院を探索している。 例えばフィリピンでは、現地医療機関が実証実験の実施に前向きである一方、実施には薬事認証登録や倫理 メロディ・ インターナ ショナル リバネス 現地の代理店の要望・ユーザーのニーズを踏まえて見直し 委員会の申請等が必要となり、申請を代理で行う現地機関とのネットワークが重要であった。 また、同じ国内でも、まずは大学病院・国内の実績を基に説得しやすい三次医療機関で実証を行い、そのエビ デンスを以って保険局の承認が必要な一次医療機関への展開を目指している。 メロディ・インターナショナルとリバネスは、海外への販路拡大を進めるために、プロダクトの仕様やサービス モデル等を見直し。見直しの際には、現地の代理店の要望やユーザーのニーズを吸い上げた。 例えば、プロダクトについては、ユーザーである医師のニーズを踏まえて、既存端末(タブレット)でサービスを 利用できるように改良した。また、現地の代理店が時差がある中でも短時間でサポートができるよう、新たに 実証 先の 検 討で重要な観 点 の検討 29 CASE STUDY BOOK 最終的な量販に必要な認証・規格は 実証にあたり規制当局等への手続 厳しいか? きが存在するか? 認証前の製品の実証が可能な制度 となっているか? 実証パートナー の検討 既存の協業先との関係があり実績 を活用できるか? 見直しの視点 参入する国・地域 体制を構築した。 プ ロダクト 開 発・設 計 製 造・物 流 販 売・サ ポ ート ユーザーのニーズを踏まえ 現地の価格水準や輸入規制を踏まえて、 代理店がスムーズに導入・メン て、プロダクトの仕様を変更 代理店が受け入れられる体制を構築 テナンスできる仕組みを確立 CASE STUDY BOOK 30
実証に留まらない本格的量販・共同開発の実施 CASE ORPHE A- 4 関係性を 進化させる B -1 B -2 B -3 B-4 Consumer × User VISION2030において、 「プロダクト」、 「ファシリティとコミュニティ」、 「アナリシスとダイアグノシス」を いる。スマートシューズ領域で培ったノウハウを活用し、ライフログ・医療等の他領域にもユースケース 3つの事業ドメインとして掲げ、あらゆる角度から健康的で豊かなライフスタイルを実現することを目指し、 を展開し、足元から世界を変えるプラットフォームを構築することを目指している。 そうした理由から、外部の実証事業での連携で関係を深化させ、ASICS Accelerator Programに応 募、採択されて共同研究を開始した。 ランニングシューズ事業の共同開発では、歩容データの利用権限をアシックスとの2社で共有して事業化 による相手側のメリットを確保していた。 また、大企業であるアシックスが細かい実績を積み上げられるよう、CESへの出展・クラウドファンディン グでの販売等、段階的なマイルストーンを設定して目線合わせをしていた。 スタートアップの活動のポイント Consumer向けのプロダクトは、販路拡大にあたりユーザー接点を有する企業・組織のチャネルを活用する必要があるが、大企業 との実証で得られた実績や大企業側のメリットが十分に説明できず、事業化に結び付かないことがある。 実証倒れ の連携を防ぐためには、単に自社のプロダクトを販売してもらう関係ではなく、自社のコア技術を活用して大企業側の 経営ビジョンにあったプロダクトを開発したり、大企業側の既存のビジネスモデルを変革する等、大企業の経営レベルが協業のイ ンセンティブを持てるようなメリットを確保する必要がある。 同社にはスポーツ工学研究所が存在し、共同研究の内容は定期的に研究所のトップを含む経営側にイン プットする体制となっている。 そうした体制の中で、 VISION2030で掲げられるアナリシスとダイアグノシスのテーマに沿って、データ ドリブンでランニング効率を高める提案をすることで、経営層の理解を得ることができた。 出展・販売試験により経営層が納得する実績を作り、協業を円滑化 共同研究を行った試作品をCESに展示した際には大きく顧客の関心の大きさを実感できた一方で、販売 実績がないため、経営サイドとしてすぐには直営サイトでの販売には踏み切れなかった。 そのため 、提 供 する価 値を検 証 するために、クラウドファンディングサイトでの 販 売を行 い 、スマート シューズへの感度が高いアーリーアダプターでの反響の大きさを確認して実績を積み上げた。 これまでの連携実績を梃子に、自社研究を進めていた領域への参入を検討・推進 スマートシューズの販売実績を積み上げ本格量販に漕ぎつけたことで、アシックスとORPHEは、共同で 戦略的な課題解決を行うパートナーとしてさらに信頼を深めていった。 次のステップとして、当初はランニングスマートシューズの海外展開を検討していたが、半導体不足や海 外市場の見通しがついていないことから、国内販売に注力することにした。 また以前から取り組んでいた歩行中の膝への負担軽減の知見を利用し、変形性膝関節症治療の領域での 可能性を模索するため、セルソース、ORPHEと再生医療向けのモニタリング事業の共同研究を開始 した。 医療領域の 共同研究を開始 ORPHEは、医療を専門とするセルソースと連携し、変形性膝関節症患者の歩行改善傾向を定量的な データで示すことで、実績・体制の両面からアシックスが協業しやすいよう工夫していた。 医療領域の 共同研究を開始 大企業であるアシックスにとって、現場部門が存在しない医療領域への参入の意思決定は簡単にできる ものではなかった。医療機器化を視野に入れた場合の法的な確認事項も多く共同研究契約の検討には時 間がかかった。 アシックスは、ORPHEとのスマートシューズの外部の実証をきっかけに関係を深め、センシング技術・歩 容データを活用した新たなプロダクトの開発に関心を持ち、 ASICS Accelerator Programで採択。 現場部門を 巻き込んだ 本格販売開始 ランニングスマートシューズで実績と信頼を獲得したORPHEは、セルソース・アシックス3社と連携し、互 いの新規領域である変形性膝関節症患者の再生医療領域の共同研究に踏み込んでいる。 全社ビジョンの重点テーマに沿うスタートアップを探索し、 社内での意思決定を促進 想定以上の販売数、売上の実績を確認できたことで、経営サイドとしても直営サイトでの本格量販に踏み 切ることができた。 現場部門を 巻き込んだ 本格販売開始 連携実績を梃子に他のユースケースへの展開も推進 コト売りへの展開を進めている。 ランニングシューズ の共同研究・試験販売 ORPHEとしては自社のリソースの関係上できる限り早く事業を進める必要があったが、大企業であるア シックス側の意思決定の難しさを理解した上で協業先にもメリットがあるよう事業を進めていた。 ランニングシューズ の共同研究・試験販売 事業会社の組織力学を理解した上で、量産・量販に向けたステップを構想 アシックス ASICS Accelerator Programで 実 証 ・ 共 同 研究を開始 アシックスは靴のハード開発・量産・量販までの機能を一気通貫で保有しており、ORPHEにとって互いの リソースを活用して事業を進める理想のパートナーであった。 ASICS Accelerator Programで 実 証 ・ 共 同 研究を開始 ORPHEは自社のコア技術であるセンシング技術、歩容データを活用したスマートシューズの開発を進め ていたが、何度も踏みつける靴の中にセンサを搭載する構造上、機能性や耐久性、デザイン性等を自社の みで確保することに苦労していた。 CASE STUDY BOOK 実証・協業を 進める コア技術であるセンシング技術とそこから得られる歩容データを活用したスマートシューズを販売して 製造・販売の両方の機能を有する事業会社との関係を構築 31 A-3 事業会社の活動のポイント 研究部門での「出島」実証から現場部門を巻き込んだ協業へのステップアップには、①全社ビジョンに沿ったプロダクト開発を経 営側に理解してもらうこと、②量産化の前段階で細かな実績を積み上げることが重要になる。 ①については、経営ビジョンにあったR&D目標を定めて新規事業部の十分な研究開発予算を確保するとともに、プロダクト開発・ 試験販売の細かな進捗・実績を定期的に経営トップに情報共有することがポイントになる。 ②については、自社の直営店・サイトでの本格量販の前段階として、価値検証において実行可能な展示会やクラウドファンディン グ等の方法で顧客の反応や売上の細かな実績を積み上げることがポイントになる。 CASE STUDY BOOK 32
スタートアップのビジネスモデル変化に応じた連携の進化 CASE トリプル・ ダブリュー・ ジャパン (TWJ) 自立排泄の実現など排泄関連の課題解決を目指し、超音波センサーにより膀胱のふくらみを検知し、 光洋 排泄を予測するデバイス「DFree」を開発。個人向け、法人向けなど、販路を拡大中。 おむつなど排泄関連商材と掛け合わせ、国内での販売拡大とグローバル展開を目指す。 長期的には、DFreeとおむつは競合製品となってしまう可能性もあるが、光洋製品や周辺事業と、DFree との親和性、商材の棲み分けをアピール。自社製品の販売だけでなく、光洋のおむつ販売との掛け合わせ による顧客ロイヤリティー向上を訴求し、提携を実現。 B -2 B -3 B-4 Consumer × User 品質とサービスを常に進化させ、排泄で悩む人がいない世の中を目指す。自社技術で解決できない課題 について、外部企業との連携によりテクノロジーで解決することを考えており、 「DFree」の個人・法人 向け販売において提携中。単なる販売にとどまらず業務改革においても連携中。 新規ビジネスの創出を目指す中で、ビジョンの一致したスタートアップとの 提携を開始 会社全体として、既存のビジネスの延長ではない新たなビジネスを創出するという強い課題意識を持って いた。 従前から販売代理店として関係のあったTWJと協議をする中で、個別の最適ケアを志向する光洋と、排 泄全般の課題解決を志向するTWJとで課題解決のビジョンが一致したため、おむつの法人販売領域にお ける提携を開始。 自社顧客ロイヤリティの向上や競合優位性の獲得を見据えて連携を推進 光洋のおむつとTWJのDFreeは、長期的には競合し得る商材ではあるが、DFreeのテクノロジーにを通 じて自社顧客のロイヤリティを高めること、競合他社への優位性につながると考え、ビジネスモデルを検 討。 大企業である自社単体での新規事業ではなく、スタートアップであるTWJとの協業という形をとること により、介護業界の販売店や介護施設などの各種ステークホルダーに比較的受け入れてもらうことがで きた。 担当者が経営層と意思疎通を図ることで、業務改革における連携を実現 スタートアップの活動のポイント ITの導入によるサービスの高付加価値化や、おむつの販売数の増加を目指していた中で、TWJ側からの 提案を受け、手作業での受注業務の自動化によるミスの削減及び、介護施設に展開する毎月の受注表の 作成の自動化による施設担当者の手間軽減を目指す。 従来の連携から連携内容が変化したが、担当者が迅速に社長に相談、社長が判断することで、連携を発 展させることができた。 業界全体の 課題解決の実現 業界全体の 課題解決の実現 上記活動を通じ、既存の製造・販売オペレーションにおいて、介護施設での発注、販売店への情報提供、 メーカーでの受注等に関する課題があることを発見。光洋に、業務改革のパートナーとして、受発注管理 システムの改善や手作業入力のデジタル化を提案、共同で開始。 B -1 法人販売における全国的な提携に加え、TWJのブランド力を活かす形で、TWJのプライベートブランド 製品を製造、個人販売向け市場に参入。 DFreeとの親和性のあった光洋との法人向けのおむつ販売提携を全国規模に拡大。 DFreeによる消費者へのブランド力のある自社と、法人向けおむつの製造に強みを持つ光洋とで共同 で、TWJのプライベートブランドおむつを製造し、個人向けおむつ市場に参入。 関係性を 進化させる 個人販売への 新規参入︑業務 改革でも提携 自社とパートナーの目指す方向性を踏まえて、新たな業態に挑戦 個人販売への 新規参入︑業務 改革でも提携 特に、DFreeと光洋の既存の商材であるおむつを組み合わせることにより、新規顧客の獲得につながるこ とを営業担当にアピール、光洋側にメリットがあるような形でのビジネスモデルの検討、インセンティブ設 計を実施。 A- 4 おむつの法人 販売における提携 光洋の法人営業担当に対し、勉強会を開き、DFreeの仕組み、使い方、料金体系、効果などについて教 育・指導を実施し、競合し得るDFreeとおむつとの立ち位置を明確化。 おむつの法人 販売における提携 パートナー側にもメリットのあるビジネスモデルを設計 実証・協業を 進める 以前より関係性が あった中で︑ 協業に合意 製紙会社、おむつメーカーなど、様々な企業と交渉を行っていたが、スタートアップとしてはリソースが限 られるため、本気で事業に取り組むパートナーを探索。業界の中でも課題意識が強く、熱意のあった光洋 との交渉を開始。 以前より関係性が あった中で︑ 協業に合意 課題意識が強く、本腰を入れて検討してくれるパートナーを探索 33 A-3 事業会社の活動のポイント スタートアップとしては、人的リソースが限られる中で、課題意識が強く、本腰を入れて連携・提携に臨む共創パートナーを探索す 会社全体として、新規ビジネスを創出するという課題意識を共通で持つことにより、スタートアップからの提案を受けやすくした ることが重要。 り、協業をスムーズに進めることができる。 自社製品と共創パートナーとの製品が競合する場合は、両社の製品の棲み分けの仕方や、顧客のロイヤリティの獲得など共創 競合し得る商材を持つスタートアップとの提携時には、長期的な課題解決のビジョンが一致していることと、お互いにとって利が パートナー側のメリットの提案・実現が重要である。 あるビジネスモデルを構築することが重要。 連携が奏功している場合、異なるビジネスモデルなど様々に連携が拡大、関係性が変化することが考えられる。共創パートナーと スタートアップとのビジネスモデル・提携の仕方は変遷しうるため、必要に応じてそれまでの担当者だけではなく、経営層など上位 密にコミュニケーションを取り、相手にとっても利のある形で連携の拡大を提案、開始することが重要である。 層も巻き込みながら判断を行うことが重要。 CASE STUDY BOOK CASE STUDY BOOK 34
「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」について さい ご に MEMO 「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」について 令和3年度「グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業費補助金」 (ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業)で は、J-Startupをはじめとした国内外の先端的スタートアップと、各種プレーヤーが協力して社会実装の成功事例を生み出し、そ のノウハウを共有。さらに先端的開発への対応力も高め、共に新たな産業を作り上げるためのエコシステム構築を促進する。 具体的には、ソフトとハードの融合領域にて事業を行うスタートアップ等を選定し、それらの事業化に向けて必要な支援を行う 「事業化支援機関」と連携し、プロダクトの社会実装に向けた実証等を行う事業にかかる経費を補助する。事業化支援機関は実 案件への取組を通じ、エコシステム構築を加速する。さらに、この過程においてシンクタンク等がノウハウや課題などにつき調 査を実施し、発信。採択事業者以外のプレイヤー(支援者・スタートアップ等)にも共有するなどを通じて、支援の活発化、エコシ ステムの拡大を促進する。 「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」に関する成果物 【2018年度】 ものづくりスタートアップのための 契約ガイドライン&契約書フォーマット スタートアップと設計・製造業者等の取引においてトラブル回避につながる 「契約」のノウハウを紹介。 【7名の弁護士等の専門家が監修】 【2018・2019年度】 ものづくりスタートアップと製造業等の連携ケーススタディ スタートアップと設計・製造業者等の連携についてあるある問題とその解決Tips を、実例をベースに紹介。 【14社のスタートアップの実例が掲載】 【2020年度】 ものづくりスタートアップのための社会実装ガイドライン SH融合領域のスタートアップが取り組む「社会実装」の全体像とその活動のポイ ントを紹介。 【9社のスタートアップと5名の投資家等が監修】 35 CASE STUDY BOOK CASE STUDY BOOK 36
MEMO 37 CASE STUDY BOOK MEMO CASE STUDY BOOK 38