製造業の中心で、アジャイル開発をさけぶ

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November 26, 25

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EdgeTech+ 2023

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ダイキン工業 アジャイル内製センターの外部登壇資料を掲載しています

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1.

製造業 の中心で、 アジャイル開発 をさけぶ EdgeTech+ 2023.11.16 (木) 14:00-14:45 | パシフィコ横浜 F202 Photo by Morinobu

2.

アジェンダ 本日話すこと • アジャイルを成功させるためには • アジャイル内製化チームの歴史 • チームが組織にもたらす価値 • チームから組織への展望 話さないこと • アジャイルやスクラムの詳細 2

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会社紹介 ダイキン工業株式会社 • グローバルな総合空調メーカー ▶︎「空気で答えを出す会社」 • 数値で見るダイキン工業 ▶︎売上高: 39,816 億円 ▶︎従業員数: 96,337 人(連結) Citation: https://www.ac.daikin.co.jp/pichonkun ▶︎海外事業比率: 83 % ▶︎創業: 1924 年 Citation: daikin.co.jp/tic 3

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会社の取り組み紹介 ダイキン情報技術大学 • 背景 ▶︎AI・IoT人材の不足 ▶︎DXの推進 • 取り組み(2017年12月〜) ▶︎今年度末までに1500名の人材を社内で育成 • 強化領域 ▶︎ITスキル ▶︎AI活用 ▶︎AI技術開発 Citation: https://toyokeizai.net/articles/-/271400 4

5.

自己紹介 鶴田 穣士(つるだ じょうじ) 塚本 大貴(つかもと ひろき) ダイキン情報技術大学 入社4年目 ダイキン情報技術大学 入社2年目 アジャイル内製化チーム スクラムマスター アジャイル内製化チーム エンジニア • 好きなキーワード • 好きなキーワード ▶︎テスト, スクラム, TDD ▶︎エネマネ, DevOps, スクラム • 5

6.

チーム紹介 アジャイル内製化チーム 2つのスクラムチーム 要件定義/設計/テスト/運用を含めてフルサイクル開発 PO SM 開発 PO SM 開発 6

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アジャイル開発 うまくできてますか? 7

8.

アジャイル開発が うまくできている とは何ですか? 8

9.

アジャイルがうまくできているとは何か アジャイルの本質 • 「価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供する」こと • その実現のために、検査と適応のフィードバックループで改善していく 検査 適応 9

10.

アジャイル開発が うまくできている とは何ですか? 10

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アジャイルがうまくできているとは何か アジャイルがうまくできているかの検査を行う 振り返りで開発プロセスが改善されている気がする... ↑これは主観的 客観的な視点での検査が重要 11

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アジャイルがうまくできているとは何か 私たちが考える客観的な検査観点 1 開発生産性の定量的な指標 2 継続的に事業価値を提供できているか 3 社外からのフィードバック 12

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私たちのチーム状態 1 開発生産性の定量的な指標 • Four Keysにて計測 ▶︎組織の市場競争力と相関の高い指標 ▶︎開発生産性が高いチームとして表彰(製造業唯一) Citation: https://award.findy-team.io/2023 13

14.

私たちのチーム状態 2 継続的に事業価値を提供できているか エネマネソリューション EneFocus α • 空調の運用を見直して電力料金を削減するサービス ▶︎webアプリで業務の効率化(業務工数 85%減) ▶︎年々、事業規模・契約件数を拡大中 Citation: https://www.daikincc.com/fcs/service/ene_focus_a/ 14

15.

私たちのチーム状態 3 社外からのフィードバック • 継続的な社外発表を通してチームの取り組みの評価を受けてきた 2022.11 EdgeTech+ 2022 「未経験のITエンジニアがアジャイル開発で内製化したら大変な目にあった話」 2023.06 JaSST'23 Kansai 「Bug:ゼロからはじめるカオスエンジニアリング」 2023.07 スクラムフェス大阪 「大手空調メーカーでプロダクト価値にうるさい開発チームができるまで」 2024.01 RSGT 2024 「激録・開発密着10ヶ月!!〜消えたスプリントゴールの行方〜」 15

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休憩(交代) 気が滅入る? 君の生活にユーモアがたりないのかも。 Citation: peanuts Photo by Morinobu: 休憩猫 16

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アジャイル内製化チーム の歴史 17

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チームの歴史(概要) 2020年 結成期 定着 2021年 2022年 混迷期 2023年 成長期 展開期 アジャイルによる内製化をどのように社内で認めてもらったか? スクラムがなぜ回らなくなったのか? どのようにスクラムを実現・発展させたか? アジャイルによる内製化をどうやって社内で広めるか? 18

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アジャイルによる内製化をどのように社内で認めてもらったか? 結成期 混迷期 成長期 展開期 アジャイル内製化チームを結成した背景 • 基幹事業の開発運用を社内で持ちたい ▶︎ベンダー委託では柔軟にフィードバックを反映できない • アジャイルによる内製化を始めた 社内でアジャイルが本当にうまくいくのかは不安視されていた 19

20.

アジャイルによる内製化をどのように社内で認めてもらったか? 結成期 混迷期 成長期 展開期 まずチームとしての信頼を得る • 早く市場に出して、事業価値を認めてもらうことを目指した • 半年でシステムリリース、1年余りで商材化を達成 ▶︎アジャイルで継続的に開発できる体制を確立した Citation: https://www.daikincc.com/fcs/service/ene_focus_a/ 20

21.

アジャイルによる内製化をどのように社内で認めてもらったか? 結成期 混迷期 成長期 展開期 まずチームとしての信頼を得る • 早く市場に出して、事業価値を認めてもらうことを目指した ❌スクラムとしての成長は後回しに • 半年でシステムリリース、1年余りで商材化を達成 ▶︎アジャイルで継続的に開発できる体制を確立した ❌システム品質への意識がなかった ❌プロダクト価値を検査する意識がなかった Citation: https://www.daikincc.com/fcs/service/ene_focus_a/ 21

22.

スクラムがなぜ回らなくなったのか? 結成期 混迷期 成長期 展開期 次第に問題が露呈 ❌スクラムとしての成長は後回しに • スクラムイベントが形骸化し、改善が回らない状況に陥った ❌システム品質への意識がなかった 検査 • 設計 / テストの知識がなく、開発速度が低下し始めた ❌プロダクト価値を検査する意識がなかった • 追加した機能が全く使われていないことが発覚した 適応 22

23.

スクラムがなぜ回らなくなったのか? 結成期 混迷期 成長期 展開期 既存のプロセスを変えていくことにも不安があった • 現状のプロダクト開発速度が更に低下するんじゃないか? • プロセスを増やすことに本当に価値があるのか? 23

24.

どのようにスクラムを実現・発展させたか? 結成期 混迷期 成長期 展開期 スクラムを改めて学び直した • スクラムについて正しく理解することから始めた “ スクラムの核となるデザインやアイデアを変更したり、要素を省略 したり、 スクラムのルールに従わなかったりすると、問題が隠蔽され、スクラムの利点が制限される。 場合によっては、スクラムが役に立たなくなることさえある。” 引用元:スクラムガイド 2020 • 全部やったら上手くいくんじゃないかと期待を持つように 24

25.

どのようにスクラムを実現・発展させたか? 結成期 混迷期 成長期 展開期 スモールスタートで完全なスクラムを実践 • 研修チームでスクラムを学び、実践した ▶︎プロセスの成長・改善につながることを実感できた 2つのスクラムチーム 実プロジェクトへ反映 PO SM 開発 PO SM 開発 • 計画的なタスクの消化 / 改善が行えるように • 現在のチーム体制に 25

26.

どのようにスクラムを実現・発展させたか? 結成期 混迷期 成長期 展開期 スクラムとしての更なる成長のために • アジャイルコーチによるフィードバックと議論 ▶︎チーム内 → 外部への視線が向くように • スクラムチーム同士の相互扶助 ▶︎各チームで起きた問題(プロセス / 技術)の相談・解決 • 社外発表への参加 ▶︎外部の視点を得て、スクラムの検査・改善に繋げた スクラムの認定資格も取得 Citation: https://www.scrumalliance.org 26

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アジャイル内製化チームの歴史 結成期 混迷期 成長期 展開期 これまでの経験を通してアジャイルが回るようになった 1 開発生産性の定量的な指標 • 開発生産性の定量的な指標 ▶︎Four Keysを計測し、改善サイクルを回した 2 継続的に事業価値を提供できているか • 継続的な事業価値を提供できているか ▶︎ステークホルダーとともに、プロダクトの方向性について検査した 3 社外からのフィードバック • 外部からのフィードバック ▶︎社外発表を通して、開発プロセスに対しての客観的評価を受けた

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スクラムがなぜ回らなくなったのか?(再掲) 結成期 混迷期 成長期 展開期 混迷期に直面した問題 ❌開発速度の低下 ❌機能が使われていなかった ❌改善が回らない 28

29.

スクラムがなぜ回らなくなったのか?(再掲) 結成期 混迷期 成長期 展開期 混迷期に直面した問題 → 検査・改善できる ❌開発速度の低下 1 開発生産性の定量的な指標 2 継続的に事業価値を提供できているか 3 社外からのフィードバック ▶︎可視化・改善が可能に ❌機能が使われていなかった ▶︎プロダクトについて検査 ❌改善が回らない スクラムの実施 ▶︎更なる改善 ✔︎ 29

30.

アジャイル内製化チームの 組織への展望 結成期 混迷期 成長期 展開期 30

31.

アジャイル内製化チームの組織への展望 改善を繰り返すチームが組織に何をもたらすのか チームが組織にとっての生きた文化になる • 組織の制約の中で実践できていることが重要 • 社内で成功している事例が一番参考にしやすい ノウハウを組織全体に広げられる • スモールスタートから広げることが成功への近道 31

32.

アジャイルによる内製化を どうやって社内で広めるか? 32

33.

アジャイルによる内製化をどうやって社内で広めるか? 「良い設計」「質の高いコード」が分からない 普段、ベンダー委託していてノウハウがない 社内技術コミュニティ 開発自走支援 開発文化・スキルをチーム → 組織レベルに 33

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アジャイルによる内製化をどうやって社内で広めるか? 社内技術コミュニティ 開発自走支援 毎週の共有会 / オフラインイベントの開催 ヒアリングによる課題抽出 チャットを用いた技術交流 自走のための技術提案とサポート フルサイクルでの開発経験をもとに 内製化が有効なプロジェクトを中心に 社内全体へ発信 個別に支援 広く深く社内に開発文化を根付かせていく 34

35.

チームの歴史(再掲) アジャイルによる内製化をどのように社内で認めてもらったか? ▶︎基幹事業のノウハウを社内で形成するために開始 ▶︎チームの事業価値を示すことで、継続的な体制を確立した スクラムがなぜ回らなくなったのか? ▶︎スクラムとしての成長やスクラムイベントをおろそかにしていたから ▶︎3つの観点で客観的に検査することで防げる どのようにスクラムを実現・発展させたか? アジャイルによる内製化をどうやって社内で広めるか? ▶︎スモールスタートで始めて、成功体験やノウハウを広げていく 35

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結論(交代) 私がかなたを見渡せたのだとしたら、 それは巨人の肩の上に乗っていたからです。 Citation: wikipedia(シャルトルのベルナルドゥス) Photo by Morinobu: アンチパターンの肩の上に立つ現場猫 36

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まとめ アジャイル開発がうまくいくために • 開発生産性の定量的な指標を持とう • 継続的な事業価値を提供できているか検査しよう • 社外発表を行い外部に晒されて見直しをしよう • チームの成長をおろそかにしない 改善を続けるアジャイル内製化チームが組織にもたらす価値 • チームが組織にとっての生きた文化になる • ノウハウを組織全体に広げる近道になる 何かを新しく始める時にはスモールスタートが有効 37

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ご清聴 ありがとうございました Photo by Morinobu EdgeTech+ 2023.11.16 (木) 14:00-14:45 | パシフィコ横浜 F202