【DeNA QA Night #6】ガチャのパトロールの取り組み

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March 18, 25

スライド概要

2025/03/05に開催されたイベント「DeNA QA Night #6」の「セッション2:ガチャのパトロールの取り組み」の登壇スライドとなります。

イベント概要:https://dena-qa-night.connpass.com/event/340470/
「DeNA QA Night #6」アーカイブ動画:https://www.youtube.com/watch?v=9GKIsbJRh-4

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DeNA が社会の技術向上に貢献するため、業務で得た知見を積極的に外部に発信する、DeNA 公式のアカウントです。DeNA エンジニアの登壇資料をお届けします。

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関連スライド

各ページのテキスト
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ガチャのパトロールの取り組み IT本部 品質管理部 ソーシャルQAグループ Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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本日のアジェンダ 1 有料ガチャに対するリリース前の取り組み 2 有料ガチャ検証リリース後の取り組み 3 パトロールのAI活用事例 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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登壇者紹介 ● 林 丈二 プレサートチームに所属し、 主にApple/Googleのガイドライン観点での 審査や、レピュテーションリスクの審査に従事 ● 無藤 大吾 主に新規タイトルのリリースQA、スマホゲームアプリ、ブラウザゲー ム、コンシューマーやPC向けタイトルなどを担当 兼務しているソーシャルQAでは主に有料ガチャ検証を担当 ● 加藤 賢 プレサートチームに所属し、Apple/Googleのアプリ審査に関するサポー トや、自社サービスの社内ルールが守られているかのチェックに従事 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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1. 有料ガチャに対するリリース前の 取り組み Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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はじめに 今回の発表では、DeNAグループにおける有料ガチャへの取り組みを通じて、 どのようなリスクに対応しているかを解説しています。 有料ガチャ検証を担当しているプレサートチームでは、 ユーザーへ安心・安全・誠実なガチャ を届けることを理念としております。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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用語解説 ■プレサートチーム DeNAの品質管理部内にあるチームです。 事業リスク低減のため、Appleガイドライン、Googleポリシーへの違反リスクについて審査しています。 また、各種サービスで実装される 有料ガチャに対して、ガチャガイドラインに準拠していること、 優良誤認・有利誤認といったレピュテーションリスクがないかといった審査 も行っています。 ■CESA 様々な企業が会員として名を連ねている 「一般社団法人コンピューターエンターテインメント協会」 という独立した組織であり、DeNAも正会員として参加しています。 東京ゲームショウやCEDECといったイベントの主催や、会員企業による教育支援などを手がける他、 ガチャガイドラインを含め、ゲームに関する様々な規定やガイドラインを制定・公開しています。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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有料ガチャに対する DeNAの姿勢 DeNAでは、2016年のプレスリリースにおいて以下の宣言を行っています。 ・ CESAの「ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式運営ガイドライン」への賛同 ・ 自社ゲームの有料ガチャについて 、全てのアイテムの提供割合を個別に表示する ・ 有料ガチャを運営する部門 とは別の独立した 部門にて、表示される 提供割合と 実際のシステム設定に齟齬が無いことを検証する ・ ガチャアイテムの 提供割合に 関する不一致や、その他の問題が発見された場合、 速やかに公表し顧客対応や改善策、防止策の策定と実施を行う Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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有料ガチャに対する DeNAの姿勢 前ページの宣言を守るため、CESAガイドラインへの準拠だけでなく、 DeNA独自のガチャガイドライン (以下「DeNAガイドライン」)も制定しています。 ■ より多くのガチャを対象とするよう、有料ガチャの定義を拡充 ■ ガチャの仕様や提供割合などについてユーザーが容易に 認識できるよう、表示すべき事項を細かく定義 ■ 本番環境に公開されている有料ガチャも定期的に調査し、 リリース前検証の結果通りになっていることを確認して記録を残す Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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有料ガチャ検証 リリース前の取り組み 1. ガイドライン、レピュテーションリスク観点での事前確認 2. ガチャチェックリストの運用 3. ガチャの個別提供割合の確認 4. ガチャの提供ロジックの確認 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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より詳しく! ガチャがリリースされるまでの 大まかな 流れ 検討 設定 表示 提供 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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より詳しく! ガチャがリリースされるまでの 大まかな 流れ 検討 設定 表示 提供 1. ガイドライン、レピュテーションリスク観点での事前確認 企画段階・仕様段階でCESAおよびDeNAのガチャガイドラインに違反する部分がないか、 リリース後に問題になり得る部分がないかを確認し、リスクがある個所について関係者と 協議します。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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より詳しく! ガチャがリリースされるまでの 大まかな 流れ 検討 設定 表示 提供 2. ガチャチェックリストの運用 ガチャごとのガイドラインの準拠状況をQAと開発が記入 し、有料ガチャ検証時に提出しています。 3. ガチャの個別提供割合の確認 設定された値をもとに算出・表示される個別の提供割合と、実機で表示されている 個別の提供割合とを比較し、数値に一切の相違が無いことを確認・記録します。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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より詳しく! ガチャがリリースされるまでの 大まかな 流れ 検討 設定 表示 提供 4. ガチャの提供ロジックの確認 ゲーム内に表示されている提供割合と、実際にガチャを実行した際の提供結果を比較し、 分析部門と協議して決定した許容可能な誤差の範囲に収まり、過度な乖離が出ていないことを 確認・記録します。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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リリース前の有料ガチャ検証については以上となります。 次からはリリース後のパトロールについて解説します。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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2. 有料ガチャ検証リリース後の 取り組み Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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本番パトロールについて 当初、DeNAではプレスリリースで表明している 「有料ガチャを運営する部門から独立した別部門にて、 表示している提供割合と実態に齟齬がないか確認」 こちらについて検証を行い、 問題となる事例は見つかっておらず、 安定した運用ができておりました Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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ゲームを取り巻く社会情勢、環境の変化 しかしながら昨今の情勢として、 企業のコンプライアンス面の問題に対し市場が厳しくなっており、 炎上した際のリスクが年々増大していることから、 検証の精度を更に引き上げる必要性がでてきました。 そこで、プレスリリースで表明した部分に加え、 ユーザーがいる本番環境でリリース後検証を行う事とし、 ガチャパトロール観点を拡充しました。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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体制・観点の刷新 従来の体制や観点も残しつつ、パトロール観点の拡充を行いました ・専門性の高い人材をアサイン ・対象のガチャをより問題を含んでいそうな筐体へと変更 ・レピュテーションリスクになりうる観点の拡充 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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専門性の高い人材をアサイン ・新規・運用タイトルのプランナー経験者 …開発目線の取り入れ ・新規タイトル担当のテストリーダー …直近の新規リリース時の基準やナレッジを元に旧タイトルを確認 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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専門性の高い人材をアサイン ・資金決済法関連やガチャ検証を専任で担当してきたテストメンバー …優良誤認・有利誤認観点のチェック強化 ・社内審査部門メンバー …直近のソーシャルゲーム業界の動向を取り入れる …レピュテーションリスクに繋がり得る表現等の検出 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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手法の刷新 体制変更後は、従来に加えて以下のような検証を行っています。 ・対象ガチャを「訴求が強いもの 」、「仕様変更があったもの 」に変更し、 表示している提供割合と実態に齟齬がないか確認 ・ガチャ関連画面に優良誤認、有利誤認等観点 で懸念がある表示がないか ・同時期にリリースされた全ガチャが検証対象から漏れていないか Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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パトロール実施後の流れ 前記チームで本番パトロールを行い、検出された各種事項について 以下4部門で修正の必要性や優先度などを最終判定します ・品質管理部門 ・法務部門 ・リスクマネジメント部門 ・CS部門 最終判定の結果を品質管理部から関係者へ伝え、対応されていきます Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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検出事項の事例 ① ・ガチャTOP画面の訴求画像に、ガチャ実行で出ないアイテムが表示 BOXタイプで、条件を満たすと内容の更新が可能なガチャ(ガチャチェンジ)になる 条件を満たしガチャチェンジ後のみに取得できる目玉アイテムを、 ガチャチェンジ前のガチャ画面に大きく訴求していた また、それ以外のアイテムを画像で訴求していない点も問題視 初心者ユーザーがガチャチェンジ前に取得できると誤認する恐れがあり、修正 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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検出事項の事例 ② ・ガチャ提供アイテムの限界突破表記がわかりにくい あるガチャ訴求において「限界突破でLvXXまで上限レベルアップ可能」と記載。 実際はLvXX+αまで強化が可能だったため、誤認され得る状態。 原因としては複数獲得によるアップのみ考慮した記載で、別アイテムで 上限アップ可能な点を考慮漏れしていた 実際より弱く見えてしまうため優良誤認ではないが、誤った表記だった Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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3.パトロールのAI活用事例 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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AI活用事例 ● 初年度のパトロールの課題 CESAガイドラインでは、ガチャの提供に際して景表法を遵守するように定められ ています。 その景表法では「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれ のある行為の制限及び禁止」が規定されています。 ユーザー(消費者)の「自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為」 の判断は、検証者の主観で差異が生じることがありました。 そのため、初回にパトロールを実施した際は、その差異を関係者ですり合わせて 個別に調整していたので、検証完了までかなり時間を要しました。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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AI活用事例 ● 対策 各ガチャの報告事例から共通の検証観点を一般化して検証項目書に反映すること で、検証結果の品質の均質化とすり合わせ時間の短縮化を図りました。 ただ。。。 ・項目書を見直す時間が足りない ・過去事例が大量にあるので観点や共通部分の整理が大変 これらを解決するためにAIを活用しました。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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AI活用事例 ● AI活用のポイント ・過去に検出した問題事例の整理 ・検証観点の作成 ・テキストの校正 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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AI活用事例 ● 過去事例からAI活用した項目化の流れ ①過去事例の要点まとめと一般化 ②要点からの検証観点の抽出 ③共通する観点の集約 ④項目書の文章校正 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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AI活用事例 ● 過去に検出した問題事例の一般化と観点作成 問題報告資料 → 要点のまとめ → 観点作成 (Googleドキュメント,JIRA等) ▼概要: 「キャラ召喚が初回無料」という記載に 誤認の可能性がある ▼観点 1.初回無料の定義 明確に「1連のみ無料」と記載されて いるかどうかの確認。 ▼問題の詳細 「キャラ召喚は初回無料」と記載されて いるが、1連のみ無料であり、3連および 11連は無料ではないため、誤認の可能 性がある。 2.ガチャの種類と無料提供の範囲 3連および11連ガチャが無料の対象外 であることの明記があるかどうかの 検証。 補足:ゲーム内のヘルプには「キャラ召 喚」に回数の定義が含まれていない。 3.ヘルプおよびお知らせ内容の整合性 ヘルプとお知らせの内容が一致して おり、ユーザーが誤解しないように 記載されているかどうかの確認。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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AI活用事例 ● 共通する観点の集約 複数の事例で重複する観点が出てくるためAIで観点を集約 ・AIで集約・提案された観点を元に人力で項目書に落とし込む 最終的な項目書イメージ カテゴリ 誤解を招く表現の排除 検証観点 ユーザーに魅力的な仕様に関して誤解を生まない説明である (x回無料、x回で獲得可能、x限定ボーナス等) 参考事例 「ガチャAは初回無料」と記載されているが、実際は初回1連のみ無料で、 初回3連や初回5連などが無料ではない点が読み取りにくい Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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AI活用事例 AIを活用することで、繁忙期でも項目書の 大幅な見直しを行うことができました。 今後もAIの力を借りながら、ガイドラインを遵守し、 ユーザーに安心・安全・誠実なガチャを届けていけるよう取り組んでいきます。 Copyright © DeNA Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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